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選挙に行かない人のことを、正直うらやましく思ったりもする。

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本日、「第49回 衆議院議員総選挙」が公示されました。ちなみに「公示」と「告示」の違いって知ってました?  

衆議院の総選挙と参議院の通常選挙の際は「公示」、それ以外の選挙では「告示」が使われるそうです。なので、今回は「公示」なのですね。

さて、「選挙に行こう」的なメッセージは私もこれまでにさんざん出してきましたし、今回は人気芸能人のみなさんも声を上げてくださっていました。


なので、今回は少し違った角度から文章を書いてみたいと思います。これまでのように「選挙に行こう」といったメッセージを書こうとすると、どうしても“いい子ちゃん”にならなければいけない、正論を言わなきゃいけないという意識に縛られていたのですが、今回はもっと率直に、心の奥底の本音を吐き出してしまおうと思います。

そう、「選挙に行かない人のことを、正直うらやましく思ったりもする」という話です。

20歳で選挙権を得てからというもの、私は(海外長期滞在中以外)欠かさず選挙に行っています。なぜだろうと考えたとき、まずは育った環境が大きく影響しているのかなと。両親が必ず選挙に行く人で、子どもだった私も連れて行ってくれていたので、「選挙とは行くものである」という感覚が刷り込まれているように思います。

あ、ほら。やっぱりデータでもそう示されているみたいですね。とはいえ、私もすでに45歳。いつまでも「親の影響で」とか言ってる年齢でもないわけです。さすがに幼少期の経験から離れたところで「選挙に行き続ける理由」なるものがあるわけです。

それは何なのか。端的に言えば、「変えたいことがあるから」です。このマガジンでも繰り返し伝えているように、この社会はマジョリティを前提につくられています。つまり、マイノリティとして生まれると、それはたんなる「違い」にとどまらず、「生きづらさ」となってしまうのです。

だから、変えてほしい。だから、変えていくんだ。

私には、そうした強い思いがあります。もちろん、メディアでの発信を通じて多少は変えていくことができる部分もあるのだと思います。けれども、やっぱり政治にしか変えられないことがある。バッジをつけている人にしか、変えられないことがあるんです。

本当なら、私自身がバッジをつけて「変える」ために力を尽くしたかった。けれども、みずからの不始末のせいで、それが叶わなくなった。だから、誰かに託すしかない。私の思いを受け取って、変えてくれそうな人に、託すしかない。だから、真剣なんです。だから、切実なんです。私の一票は。

ところで聞くところによると、選挙に行かない人がいるそうです。投票所に一度も行ったことのない人がいるそうです。「入れたい候補がいない」とか「結局は誰に入れても同じ」というのが理由だったりするそうです。

正直、うらやましくて仕方ありません。

変えたいこと、何もないんだな。
困ってること、何もないんだな。
そういう境遇に生まれてくることができたんだな。

これね、嫌味でも何でもないんです。本心からそう思ってるです。誰かに何かを変えてもらわないとスタートラインにも立てない人生なんて、あまりに不公平で、あまりにしんどすぎる。

こういうことを言い出すとね、また「親ガチャ論争」みたいな話になって、「でも乙武さんは◯◯に恵まれてる」とか言われるんでしょうけど、これは決して私の話だけではないんですよ。マイノリティであるがゆえにスタートラインにも立てない人、立ててはいるけれどそのラインがずっと後ろに引かれている人たちがいるんですよ。彼らの一票もまた、切実なんですよ。

投票率は、毎回50%前後。2人に1人しか選挙に行かない国。

「その一票、俺にくれないかな」

こんな不謹慎なことを、思わず考えたくもなる。

だからと言って、選挙に行かない人を責めるつもりなど毛頭ありません。ご自身はもちろん、身近にいる人々でさえも、政治に変えてもらわなければならない困難を抱えている人がいないって、本当に幸せなことだと思うんですよ。ただ願わくば、そうした幸せな日々から得られた余力を、ほんの少しでいいので、「スタートラインに立つことさえ苦労している人々」に向けてもらえたらなと。それだけです。

さて、これから12日間の選挙戦が始まります。私も各党の政策をじっくり吟味して、「私の想いを託せる相手」を見極めようと思います。

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