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飯塚幸三被告の「禁錮5年判決」に思うこと。

今月2日、飯塚幸三被告に「禁錮5年」の判決が下った。一昨年4月、飯塚被告が運転していた車が暴走して、松永真菜さん(当時31歳)と娘の莉子ちゃん(当時3歳)が死亡したほか、7人の重軽傷者を生んだ大事故だった。

この間、被告は一貫して「車両の故障」を主張しており、自身の過失を認めようとしなかった。ご遺族である松永拓也さんの記者会見における悲痛な表情と相まって、飯塚被告は“国民総バッシング”の対象となり、多くの人から厳罰に処されることが望まれるようになった。

下津健司裁判長は、裁判を異例とも言える説諭で締めくくった。

「遺族の精神的、身体的な苦痛、永遠に別れなければならない悲しみは深く、まったく埋められていません。被告は真摯に向き合って、遺族に謝罪していただきたい。被告は過失を否定していて、深い反省をしているとは思えません

この判決に関するいくつかの記事を読んだが、本来、交通事故における死亡事故の場合、飲酒や無免許運転など悪質でないかぎり、実刑にまで至るケースはそう多くないのだという。今回のように「過失」で実刑に至った理由としては、客観的な証拠が示されているにもかかわらず、決して過失を認めようとしない飯塚被告の態度に加え、遺族や社会の処罰感情が重視された可能性が高いという。

“社会の処罰感情”によって判決が変わってしまうことにはどこか空恐ろしさも感じるが、ともあれ判決が下ったことで、それも実刑判決が下されたことで、世間に渦巻いていた「飯塚憎し」の感情もひとまずは着地場所を見いだせたようにも思う。

だが、私は「これにて一件落着」とするわけにはいかないと思っている。まだ議論すべきことが残っているだろうと思うのだ。

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