もしも私に手足があったら、どうしてもやってみたいこと。
みなさんからよくいただく質問のなかに、「もしも手足があったら、こんなことをしてみたかったというものはありますか?」というものがあります。まあ、あまり真剣に「たられば」を考えるのは生産的ではないと思うのですが、あくまでお遊びとして考えてみるのは面白そうです。
さて、パッと思いついたのは、次の3つです。
まず1つ目は、楽器の演奏。私はかつて友人達とバンド活動をしていたのですが、担当はボーカルでした。ですが、それは決して歌が上手いからではなく、「おまえは楽器が弾けないからボーカルね」という、いたってお粗末な理由だったんです。
2018年4月から始まった義足プロジェクトの一環で義手を装着しているのですが、ただそれは何かをつかむことができるような機能があるわけではなく、ただ棒状のものがついているだけなんですね。それなのに、「これがあればドラムが叩けるかな」「指のような機能をつければギターが弾けるかも」などと妄想が膨らんだものです。
でも、もし手足があったら(足は関係ないか)、サックスを吹いていたかもしれませんね。え、理由ですか? いや、ほら、サックスをかっこよく吹けたら、なんかモテそうじゃないですか笑。
次に思い浮かんだのは料理でした。YouTubeチャンネル「乙武洋匡の情熱教室」では料理企画にもチャレンジしているのですが、あくまでスタッフに手伝ってもらいながらの挑戦。日常的に自分で料理をするというのは、やはり難しいのが現実です。
ですが、私自身、6年ほど前からワインにハマっていることもあり、ワインに合うようなおつまみや料理を自分で作れたら楽しいだろうなとは思うのです。特に私が懇意にしている優秀なシェフたちは、「なるほど、この食材とこの食材を組み合わせて、こんなハーモニーを生み出すのか」と感動すらさせてくれるので、私自身がそうした感動を生み出すような料理を作ってみたいなあ、などと料理の才能の有無を棚に上げて思ったりもしています。
まあ、そこまで本格的な料理ではなくても、休日にささっと作ったパスタがめちゃくちゃ美味しかったり、スパイスからこだわったカレー作りに挑戦したり、というのは憧れますけどね。
さて、3つ目。正直に言うと、これがダントツですね。1つ目や2つ目はあくまで趣味の範囲ですが、この3つ目が叶うならば、私の人生は大きく変わっていたのではないかとさえ思っています。
あ、もしかしたら日頃から私の発信をチェックしてくださっている“乙武ツウ”の方々は、「きっとスポーツだな」と予想されたかもしれませんが、じつは違うんです。もちろん、手足がある状態でスポーツに熱中してみたかったという思いがないわけではないのですが。幼少期からこの体なりにできる範囲でスポーツはやってきたので、上位3つまでに入るかと言われると、そこまででもなかったりするんですよね。
というわけで、もしも私に手足があったら、人生で最もやってみたかったことのダントツ1位は——。
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