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オトタケもサウナで「ととのう」のか。

友人と軽井沢に行くことになった。なんとなく気が滅入ることの多かった私を気にかけて「連れ出してくれた」と言ったほうが正確かもしれない。

初日は、雨。「曇り、ときどき雨」といった感じではなく、しとしと降り続いている。途中、高坂サービスエリアで小腹を満たし、軽井沢に到着したのは東京を出てから2時間半近く経った頃だった。

軽井沢でインターナショナルスクールを経営する友人とカフェでおしゃべりして、別荘に到着したのは16時過ぎだった。別荘と言っても、もちろん私の所有ではない。友人のご縁で泊まらせていただいている、私たちの秘密基地みたいな場所だ。

私がここを訪れるのは2年ぶり。何も変わっていない落ち着いた佇まいに、心が安らぐ。窓の外に目を向けると、視界一面に広がる濃い緑に、穏やかな雨が降り注いでいる。車椅子と雨の相性がどうしようもなく悪いせいで、子どもの頃からずっと雨が嫌いだった私が、おそらく人生で初めて「雨も悪くないな」と感じていた。

ここで、私は前言を撤回しなければならないことに気がついた。2年ぶりに訪れたこの秘密基地を、さっきは「何も変わっていない」と表現したが、リビングルームの外に広がるウッドデッキの右隅に、真っ黒な布で覆われたテントのようなものが設置されていることに気がついたのだ。

スクリーンショット 2021-06-27 午後0.26.21


スタッフのハマちゃんが、マスクの上からでもわかる人なつっこい笑顔で、私たちにこう告げた。

「サウナを導入したんです」

私の人生には、そもそも関係のないものだと思っていた。車椅子で入れるサウナなど聞いたことがないし、友人が抱えてくれれば入れるのかもしれないが、汗でびちょびちょになったオッサンを抱えるなど、「整う」どころか、「乱れる」に違いない。

そう思って避けてきたサウナが、目の前にある。ハマちゃんがホスピタリティ全開で、ダメ押しする。

「もうご準備できてますので」

なるほど、ここ軽井沢は東京とは打って変わって肌寒いくらいの陽気だというのに、ハマちゃんがさっきからうっすらと汗をかいて赤い顔をしていたのは、そういうことだったのか。

「オトさん、じゃあ入りましょうか」

友人が涼しい顔でハマちゃんから海パンを受け取った。どうやら覚悟を決めるしかないようだ。

オトタケ、初のサウナ!!!!

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乙武洋匡の七転び八起き」
https://note.com/h_ototake/m/m9d2115c70116

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