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誹謗中傷って、なぜなくならないかわかります?

この一週間は、羽生結弦さんの離婚話で持ちきりだった。

羽生さんは離婚理由として、妻や自身の親族などに対する誹謗中傷やストーカー行為、許可のない取材や報道などを挙げている。私も25歳のとき、父の葬儀でマスコミに押しかけられ、悲しみに暮れる母にレンズを向けられて怒りに打ち震えた経験がある。だからこそ、羽生さんの悔しさ、無念さにはどうしても心を寄せてしまう。

妻の名前を実名報道した地方紙『日刊新周南』には批判が集まっているようだ。一部には「報道する自由がある」とメディア側に立つ意見も見られるが、私は賛同できない。不祥事などであればまだしも、結婚というきわめてプライベートなことに対して「知る権利」を押しつけることには慎重であるべきだろう。

当の『日刊新周南』は、『現代ビジネス』の取材に対して、

「なぜ結婚相手を隠す必要があるのか、まったく理解できません」
「そもそも内緒にするような話だったのか」
「男なら最後まで守り抜けよ」

と開き直った上に言いたい放題。「男なら守り抜け」などと、この時代に古典的ジェンダー観をあふれんばかりに露呈させてしまうあたり、ひどく人権感覚に鈍いメディアなのだろうなと、怒りを通り越してかわいそうにさえ思えてくる。いや、そうもいかない。怒りは忘れずにしっかりと携えておく。

こうした事態を招いたきっかけはクソメディ……もとい、人権感覚に乏しい旧来型メディアだったとしても、そこで得た情報をもとに羽生さん及び元パートナーに対する誹謗中傷など、とても許されるわけがない。今回、このような結末を迎えてしまった悲劇に関して最も責任を感じるべきなのは、クソメディ……もとい『日刊新周南』ではなく、(元)ご夫妻に言葉の刃を向けた愚かな人々だろう。

「誹謗中傷は許されない」

この言葉だけなら、異論を唱える人はいないだろう。しかし、現に木村花さんは亡くなり、最近も故ジャニー喜多川氏による性被害を訴えていた元ジャニーズJr.の男性が亡くなった。私の大切な友人でもあるryuchellも、それが直接的な理由かは定かではないが、晩年はおびただしい量の誹謗中傷に悩まされていた。

「誹謗中傷は許されない」

ほとんどの人が理解しているはずなのに、なぜ誹謗中傷は一向になくならないのか。なぜ、それによる被害者がいなくならないのか。

答えは、いたって簡単である。

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