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「メンタル」に不安を抱えているみなさんへ。

この一週間は、「メンタル」についてのニュースが注目を集めました。

まずは、深田恭子さんが「適応障害」と診断され、当面休養することを発表したニュース。1990年代からアイドル・女優として長らくお茶の間に親しまれてきた彼女がメンタルを患っていたという事実に、多くの方が驚かれたのではないかと思います。

今回のニュースで私も初めて理解したのですが、「うつ病」と「適応障害」は似て非なるもののようですね。うつ病はその原因やきっかけがわからないまま慢性的なうつ状態となる場合が多いのに対し、適応障害は特定のストレス要因に反応して、うつ状態が生じるようになるのだとか。

専門家によれば、いまでは日本の人口の2〜8%が適応障害だとも言われているそうで、もはや誰がなってもおかしくない病だと考えたほうがいいのかもしれません。特にこのコロナ禍によって環境の大きな変化を余儀なくされた方が多く、適応障害になるリスクも大幅に高まっているようです。みなさんも異変を感じたら、すぐに専門医に相談してみてくださいね。

続いて、プロテニスプレイヤーの大坂なおみ選手。先月27日、彼女は開催中の全仏オープンの期間中、記者会見には応じないことを表明しました。その理由として、「アスリートの精神状態が考慮されていない」ことを挙げていました。

しかし、その後、彼女は「2018年の全米オープン以降、長い間うつに苦しんできた」と告白しました。内向的で人前で話すのが苦手な彼女は、記者会見が大きなストレスになっていたこと、大会中ずっとヘッドホンをしていたのは不安を紛らわせるためだったことを明かしました。

当初は、「義務を果たせ」「アスリートの仕事だろ」「あまりに身勝手」と批判を寄せていた人々も、彼女が長年にわたってうつ病を患っていたことを告白すると、今度は「ゆっくり休んでください」「笑顔に戻れる日を待っています」とエールを送りました。

大坂選手が置かれている状況は、その数日間で何ひとつ変わっていません。それでも人々の態度がここまで変わったのは、「うつ病」という私たちにとってかなり重みのある情報がひとつ加わったからです。これに対して、「はじめからその事実を公表すべきだった」と指摘する人もいますが、はたしてそうでしょうか。

「病気なら許される」「病気ではないなら許されない」——。

私たちが生きる現代社会のボーダーラインを、そんなにも厳しい位置に引く必要があるのでしょうか。病気にならないと休めない社会は、あまりに酷ですよね。その手前で、「病気にならないように」休養を取ることにも、もっと寛容であるべきだと思うのです。

また、たとえ本人が病気になったとしても、その事実を公表することにはとても勇気がいります。ならば、本人が病気のことなど明かさず、ただ「休みたい」と申し出たときに、周囲が「それぞれ事情があるよね」「いまはそういうタイミングなのかも」などと受け止めることのできる社会であってほしいと思うのです。

でも、「怪我の功名」などという言葉で片づけていいのかわかりませんが、今回の大坂選手の告白によって、救われた人、勇気をもらった人はたくさんいると思うんです。だって、「うつ病を患っていたって世界一に輝くことができる」という、彼女がとてつもない偉業を成し遂げていたことがわかったのですから。

もちろん、誰もが世界一を目指す必要なんてありませんし、たとえ目指したとしても、それが容易な道のりでないことはよく理解しているつもりです。ですが、周囲のサポートを得ながら好きなことに打ち込み、場合によっては結果を出すことも可能なのだと知ることができたのは、とても大きな希望になるのではないかと思うのです。

わ、こんなことを書いていたら、ダルビッシュ選手まで。


さて、ここからが本題です。ネット上では「メンタルが強い人」の代名詞のように言われることの多い私ですが、

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乙武洋匡の七転び八起き」
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