YouTubeの「月9」

日本トップクラスのYouTuber「東海オンエア
チャンネル登録者数は、驚異の530万人越え。
彼らが主演するYouTubeオリジナル配信ドラマの脚本を担当しました。
全10話のドラマが、3月23日から毎週1話ずつ配信され、
現在第9話まで無料配信されています。

毎週、月曜9時に配信されるので、
自分の中では「YouTubeの月9」と呼んでいます。

脚本の依頼があったとき、正直なところ「東海オンエア」という存在を
全く知りませんでした。
我々の世代は、まだまだYouTubeよりもテレビの視聴時間の方が長いせいか、
YouTube界の情報にはかなり疎いと言えます。

ところが、周りの30代より下の世代の人たちに聞くと、
これがほぼ100%の認知度で、
どうやら今の世の中は、知らない世代と知ってる世代が、
まるでパラレルワールドのように真っ二つに割れているようです。

仕事をするからには、まずは相手の事を知らなきゃと、
彼らが毎日アップしている動画を見始めました。
最初のうちは、どうしてもいろいろと気になって入り込めませんでした。
テレビの世界で長年仕事をしてきた弊害と言えます。
しかし、立て続けに何本も見ているうちに次第に慣れてきて、
いつの間にか止まらなくなってしまい、
「何だか楽しそう」、気がつくとそんな目で見ていました。
よくよく観察してみると、ただ思いついたことをやりっ放しではなくて、
どの動画もきちんとそれなりにオチがあり、
しかも、ちゃんとしていたのです。
深く分析したわけではないけど、そういうところがここまで人気がある
理由ではないでしょうか。

脚本のプロットがある程度出来上がると、
いよいよ本人たちと対面して打ち合わせする事になりました。
これも年代のせいでしょうが、それでもまだYouTuberというものに対して、
いい印象がありませんでした。
「好きなことやって生きて行く」
というのを堂々とやっているのはどうなんだ?そう思っていました。
(誰よりも自分がそうやって生きてきたことは棚に上げ)

実際に彼らに会って、そのイメージは見事に覆されました。
彼らはYouTube界のスターになった今も
生まれ育った愛知県岡崎市を拠点に幼馴染みの6人で活動しています。
このドラマ企画にも、かなり真剣に取り組もうとしているのがわかり、
地方に住むとても素直な好青年たちだというのを感じました。
言葉は悪いけど、本当に普通の人たちでした。
そういう人たちがスターになる、そんな時代のようです。

今や売れっ子芸能人と同じくらい忙しい彼らが、
ウソみたいに隙間のないスケジュールの中、
一ヶ月間東京のホテル住まいをしながら撮影に挑みました。

東海オンエア主演YouTubeオリジナル配信ドラマ
株式会社グレーゾーン・エージェンシー」は、
毎週月曜日21時配信。
すでに9話まで配信され、来週は最終10話目が配信されます。
彼らの人気により、第1話はあっという間に250万再生を突破。
ほぼ演技経験のない彼らが、本格的なドラマに挑んでいます。
シリアスなドラマパートと彼らの持ち味を活かしたパラエティパートに分かれた
斬新な構成。よかったら、ぜひご覧下さい。


平成のはじめと令和のはじめ

ずっとコントは書いてきましたが、連続ドラマというのを書いたのは、
放送作家生活の中でこれでたぶん2作目。
1作目は遡ること30年前、テレビ東京で日曜9時に放送されていた
ウッチャンナンチャン主演「コンビニエンス物語」。
ちなみに、こちらは〝日9〟でした。

ウッチャンナンチャンにとっても初めての主演ドラマで、
当時も、徐々に人気が出てきて一番忙しい時期に
隙間を縫うように撮影していたのを思うと、
比べるものではないけど、なんだか似たような境遇だと感じました。

そういえば、このドラマの主題歌は、
THE MINKSの「パッシュ」という曲で、
間奏部分でボーカルが「平成元年パーッシュ!」と叫んでいました。
まさに30年前の叫び。
当時も新しい時代の始まり独特の高揚感と不安があったような気がします。

手前味噌ながら、奇しくも、
平成の若者と令和の若者を描いたドラマに携わったということです。

この「コンビニエンス物語」には毎話ゲストが
コンビニの客の役として登場する構成で、
第1話にはダウンタウンが出演してくれています。
コンビニの店員役のウンナンが深夜に働いていると、近くの工事現場で働いている警備員に扮したダウンタウンがやってくる、という設定です。
そういえば、そのシーンは半分くらいアドリブでした。
そこも2本のドラマの共通点のようです。
結局、そういうドラマしか書けないという事なのでしょう。
時代が時代だけにVHSしか出ていません。
どこかにあると思うので、見たい方は頑張って探して下さい。


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