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全国手料理放浪記 富山県

「電気」という単語の入った料理をあなたは幾つ挙げられるだろうか?一つも思い浮かばない方がほとんどだろう。
強いて言えば飲み物だが電気ブラン?くらいなものか。

今回の全国手料理放浪記はそんな世にも珍しい電気料理を紹介する。

富山県。

富山で電気と言えばやはり黒部ダムの水力発電による電気だろう。
クロヨンでお馴染み関西電力所有の発電所の発電量は凄い。
こんなのを食わされたらきっと電気大食いでお馴染みのGAL SONEの腹も一瞬で破裂だ。

ドドドドドッ…
放水路の近くで電気料理屋のオヤジ(外見は100%関西電力の人)がヘルメット頭をぺこり。

「いらっしゃいませ」
(と言っても水音が凄すぎて何も聞こえない)

この後もオヤジは歩きながら何かいろいろと喋っていたが何も聞こえない。
轟音と霧の中を(時おり光の屈折で虹が見えたりした)しばらく進むと重そうな鉄扉があった。

「いやいや、こんな鉄扉、誰が料理屋なんて気がつくんですか?」

と言っても聞こえはしないので黙ってオヤジに続いて扉の中に入ると、シーン…としていた。

「改めてようこそいらっしゃいました。遠いところをありがとうございます。私、当店料理長を務めております、中野と申します。お客様、早速お食事の準備にかからせていただきますのでこちらの椅子に座ってベロを出していてください。いえ、何も心配は要りません、本日はお客様の為に富山産の出来立て採れたての新鮮な電気を各種ご用意させていただいております。さささ、どうぞどうぞ!どうぞこちらへ!」

返事や質問をする間なんて1ミリもなかった。
私はオヤジの言われるがままにその場にあった丸椅子に座ってベロを出した。

と、その瞬間にベロにこれまで感じたことのない旨みが拡がった。

うんまぁ!!!

ニヤリとするオヤジ。
いつの間にかカウンターの向こうで割烹着姿になっている。

…甘い!…辛い!…苦い!酸っぱい!渋い!甘辛い!甘酸っぱい!…宝石箱や!エレクトリカルパレードや!…リオのいや浅草サンバカーニバルや!カニ尽しや!…シド&ナンシーのすすり泣きや!…

ベロにこの世の全ての味覚を思う存分感じ、私はもう大満足だった。

なんて凄いんだ電気料理!
どう言う仕組みなんだ、電気料理!
さすが富山・黒部ダムの採れたて出来立ての生電気!

おあいそ!
と言いかけてオヤジをみたら、発電自転車漕いでやがった…

・富山
・黒部ダム
・電気料理
・オヤジ(世界の中野浩一)のチャリ生漕ぎ
・⭐️⭐️⭐️⭐️

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