1.令和5年度行政書士試験 問46
続きまして、いわゆる記述式の問46(請負における)についての検証をしてみたいと思います。
2.問われている内容
まずは、事実認定
1)事実認定
1.Aはその所有土地上に建物を建てる。
2.建物については注文者Aが請負人Bとの間で請負契約を締結している。
3.材料はBが提供し、設計もBが担当する。(Aの指示はない)
4.請負代金の支払いとともに、仕事の目的物はAに引渡された。
5.仕事の目的物には雨漏りが発生している。
6.Aは、Bに直ちに雨漏りの事実を通知している。
7.Aは、Bに対して何らかの権利行使をしたい。
2)問われている内容
Aの権利行使の根拠
修補請求以外の手段で権利行使できるか
3.内容の検討から答案作成へ
以上をもとに以下で検討していきます。
1)636条
➀636条は、請負人が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない仕事の目的物を注文者に引き渡したときについての担保責任の制限に関する規定で、材料提供を注文者が行った場合、いわゆる「契約不適合責任」を追及できないと規定しています。
②とすると、本件事案では材料提供が請負人なので、636条1項の後半部分は適用がありません。
③したがって、本件事案では559条による準用で562条以下564条に従い、
ⅰ)追完(修補)請求
ⅱ)請負代金(報酬)減額請求
ⅲ)損害賠償請求
ⅳ)請負契約の解除
の4つをAはBに主張し得ることになります。
2)637条
637条1項にいう「前条の場合」というのは「請負人が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない仕事の目的物を注文者に引き渡したとき」に該当します。
改正前の民法は
「引渡しから1年」
でしたが、見直され、
「不適合を知ってから1年」
となりました。
以上から、
➀請負の目的物について欠陥のあるものを引渡されている
②引渡し直後に雨漏りの事実をAは知った。
③Aは、雨漏りについて直ちにBに通知した。
という事実が認定され、
追完請求(修補請求)
代金(報酬)減額請求
損害賠償請求(ただし、請負人に帰責事由がなければ請求不可)
請負契約の解除(ただし、不適合の内容が軽微なら解除不可)
となりそうです。
一方で、問題文中に、
とされているので、上記2~4を忠実に記述することになります。
4.解答例