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キムタクに見る、「変わらない」というブランディング

最近、モニタリングやら、年末特番なんかでキムタクこと木村拓哉の姿をよく見る。
多感で、そしてちょっぴり中二病を発祥していた、いわゆるキムタク黄金時代の俺は「カッコつけてていけすかねぇヤツ」と思い、毛嫌いしていた覚えがある。
まあ、あれだろう、みんなが好きなものをあえて嫌う俺かっけー的な思考が働いていたのだと思う。だって若かったんだもの。
ただ、そういうやっかみっていうのは、何も俺だけの感情ではなく、人気者を叩く世論というのはやはりあるにはあったのだ。

いわく

何をやってもキムタクでしかない。

背が低い、足が短い

偉そう などなど。

……………………おそらく全部本当のことである。
誇張はあるかもしれないが、火のないところに煙は立たない。

だが、どうだろう。
多感な少年時代、アグレッシブな青年時代、そして打ちひしがれた中年時代を生き抜いてきた俺は、今、木村拓哉が愛おしくてたまらない。

それは、ありがちな年寄の過去の美化ではない。…いや、きっとそれもあるけれど…でも、最たる理由は木村拓哉がただの木村拓哉にならず、キムタクであり続けているからだと、俺は思う。

悪口にもあったように、彼はいい意味でも悪い意味でも、いつだってキムタクなのである。木村拓哉ではない。キムタクなのである。
結婚をしようが、子供がいようが、年を取ろうが、SMAPが解散しようが、いつまで経ってもキムタクはキムタクなのである。

同じで有り続ける、というのは悪く言ってしまえばワンパターンということで、捉えようによっては進化がない、ということである。
だから、それが簡単であると誤解してしまうことも多いと思う。
だが、それはけして簡単なことなんかじゃない。むしろ最高に難しいことだ。

なぜならば、ワンパターンと思われることは当然悪評も買うし、飽きられる心配だってある。
また、変わらないでいるためには、存外変わり続けていなければ達成できないものなのである。
というのも、周りからのイメージというのは、様々な事実事象を把握した上で刻一刻と変わるからだ。当人が意識しなくとも、知った事実事象と掛け合わせて、キムタクというイメージが再構成されるのだ。

例えば、結婚。結婚をすることで人気が落ちる、なんてことは芸能人にとってはよくあること。そして人気が落ちなくても、妻帯者というイメージが加わり、元からあったイメージがファンの中で微妙に変わっていく。

例えば、子供。つまり、父になったのである。
これはわかりやすく周囲の抱くイメージも変わるだろう。

例えば、グループ解散。母体となるグループが解散となるのだ。当然ながら周囲の抱くイメージは、元・SMAPというものになる。

例えば、加齢。普通の人間が年をとっても変わらずにいられるだろうか。
友人の間であれば、変わらないねぇ、なんて感想も出るだろうが、それでもやはり変化をしていることを認識した上での友人同士の常套句であろう。
友人でこれである。まして芸能人であれば、昔のイメージのままでいつづけることなんか、並大抵のことじゃない。
だいたい、いまだに「ちょ、待てよ!」って言って許される50歳なんているわけがない。

ここで大事なのは、変わらないこと=若作り、容姿の固定化、ということではないことだ。加齢や環境の変化に応じて、元のイメージが壊れない範囲で自分をアップデートしていかなければ、「変わらない」とは言ってもらえないのである。

もしも、容姿や喋り方を保っているだけならば、途端に周囲のイメージは「若作り」や「サイボーグ」、もしくは「イタいやつ」という新しいものに変わってしまうだろう。

かのウォルト・ディズニーは「現状維持では停滞するばかりである」なんて名言を残しているが、木村拓哉、いや、キムタクはまさにそれを体現している存在といえるだろう。

確かに、キムタクが一時期、脚光を浴びなくなった時期は存在していた。
それは、変わらないことによる弊害なのかもしれない。あるいは環境の変化にイメージが追いつききれなかったゆえなのかもしれない。
だが、再びこうしてキムタクが脚光を浴びているのは、露出が減ったタイミングで新たな一面を見せようともがくのではなく、ただ、キムタクがキムタクで有り続けたからこその結果だと思う。

この変わらないこと、というのは俺の中ではブランディングの大切なものの一つだと思う。
特にグッチやヴィトンなんていう、世界的なブランドにおいては必要なものだろう。本当に強いイメージのあるブランドというものは、変わっていったとしても、変わったことそれ自体が、変わらないイメージとなるのだ。
なにを言っているのかわからないかもしれないが、大事なことなのでもう一度いう。

変わったことそれ自体が変わらないイメージとして受け取られること。

それが、それこそがブランドなんだと思う。

まあ、ここまで色々長々と話してはきてたけど、とどのつまり、カッコいい=キムタクなんだよ。
つまり、かっこよければなんでもキムタクっつー話ですわ。
ブランディング?なにそれ?おいしいの?

というわけで、今回の締め。

キムタク、かっこいい。
ずっと、かっこいい。
たぶん、この先も、かっこいい。

以上、お目汚し、失礼いたしました。


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