見出し画像

東京が世界都市としてニューヨークやロンドンに追いつくためには

世界最大の都市、東京

東京は事実上、世界最大の都市だということはあまり多くの日本人は知りません。なんとなくニューヨークやロンドンのほうが格上というイメージを持っている人のほうが多いと思います。

東京都の人口は約1,400万人、首都圏全体で3,700万人と、世界で最も人口が多い大都市圏です。さらにその経済規模も世界最大で、2014年の東京都市圏の実質GDPは1兆6,170ドルと、カナダやスペイン一国のGDPに匹敵する規模です。

ところが、多くの研究機関が発表する世界都市ランキングでは、東京は世界3位~5位のあたりに位置することが多く、ニューヨークやロンドンに比べて1ランク格下と評価されています。


以下が著名な指標における東京の順位です。

Global Power City Index(森記念財団)・・・3位

Global Cities Index(A.T.カーニー)・・・4位

GaWC(ラフバラー大学)・・・9位

The Business of Cities(JLL)・・・5位


東京が世界都市の首位に立てない理由とは何なのでしょうか?


金融やITで遅れを取る

画像1

都市規模では東京は世界1となりましたが、金融や情報産業では東京がニューヨーク・ロンドンに勝ったことは過去1度もありません。

その理由は多々ありますが、1つ大きな要因に言語の壁があります。

ニューヨークやロンドンは英語圏の都市です。英語は世界の共通語ともされ、英語で発信されたニュースは世界中の人が読みますが、日本語のニュースはほぼ日本人しか読みません。ソフトウェア産業においてもほぼ英語一強です。そのためニューヨークやロンドンと東京とでは情報発信力に顕著な差が生じます。

また、留学先・海外投資先としても英語圏か否かで全く評価が異なってきます。ニューヨークやロンドンは世界中から留学生や研究者、ビジネスマンを受け入れていますが、生活や仕事するのに日本語習得が必須である東京は外国人にとってハードルが高く、むしろアジアの中だと英語圏である香港やシンガポールが選択されるケースが多いです。

日本の中で見ると東京一極集中ではありますが、東京は海外からヒト・モノ・カネを吸い寄せる力が弱く、そうした閉鎖性が世界都市として評価を下げているようです。


世界のリーダーは米と欧

画像5

「英語が通じるか否かで評価されるなんて、欧米中心的じゃないか!」と納得いかない方もいるでしょう。

そうです。世界は欧米が中心なのです。

世界の有力な投資家はアメリカとヨーロッパに集中しており、彼らの投資活動が世界経済を動かします。そして、彼らの活動の拠点がニューヨークとロンドンなのです。

第二次世界大戦後、欧米諸国の物価や人件費が上昇する中、欧米人投資家たちは、人件費が低廉なアジアなどの途上国に工場を建てたり新たな販路を開拓するために営業拠点を開設していきました。

そして、アジアの中でもどこの国や都市に投資するかは、政治の安定度、治安、税率、インフラ、ビザの取りやすさ、そして「西洋的な価値観」などの事情を考慮したうえで決定されます。

香港やシンガポールはまさに欧米人にとって好条件を揃えた都市であるため、欧米からの投資を受け入れてアジアのハブにまで台頭しました。

画像4

ちなみに上で言う「西洋的な価値観」とは、たとえば民主主義、英語が通じやすい、情報の自由、ジェンダー平等、表現の自由などです。

面白いものだと「ナイトクラブの数」なんてものがあり、森財団の世界都市ランキングの評価点には「ナイトクラブの数」が考慮されています。

それが都市の評価となんの関係があるんだよ!って日本人は思うものですが、欧米人にとって必須とも言える娯楽であり、欧米人ビジネスマンを迎え入れるのに必要な社会基盤と考えられているからです。


世界都市の定義が根底から覆ろうとしている

画像2

しかし上記は従来の話です。

従来、「投資する側」「投資を受け入れる側」との間にはヒエラルキーが生まれていました。そもそも投資先にすら選ばれないような途上国(代表的なのは北朝鮮)は発展すらしませんでした。欧米人は民主主義国に投資するので、民主化した国ほど発展するという法則が2000年代までは存在していました。


ところが現在では、急速な経済発展を遂げた中国も、今では投資を受け入れる弱者側ではなく、欧米と同じく投資する強者側に立場が変わってきています。

そして中国もまた、中国的な価値観の通ずる国や都市に投資する傾向にあります。当然、中国と険悪な関係にある欧米諸国の都市は、中国人投資家からすると優先度は低いと思います。それが例えロンドンやニューヨークであっても、アジア人というだけで暴行されるような都市で働きたくないと思うのは当然です。

また、サウジアラビアやUAEなどの石油諸国は徐々に投資する側になってきており、彼らもまた、イスラムに寛容な都市に投資するでしょう。

そのため英米を頂点とした世界都市のヒエラルキーは大きく崩れようとしており、世界都市の定義や評価も再検討する必要性があると思います。


中国的な価値観とは、アジア人に寛容、中国語が通じやすい、中国政府のやり方に逆らわないなど。


東京が世界のハブになるには

画像3


香港、北京、上海、シンガポール、ソウルなど他のアジアの世界都市の台頭により、東京の国際的地位は下がると多くの学者は予測していました。

しかし今になって考えれば、この予測は正確ではありません。

むしろ地位が低下したのはニューヨークやロンドンなどの欧米の都市でした。

その一方、中国の北京や上海といった都市も、いくら巨大な内需に支えられようが、欧米に敬遠されれば世界の首位には立てません。

こうした中、東京が世界都市として輝きを取り戻すには、「アジアの中で貴重な民主主義国の都市」として、その役割を世界に示さなければなりません。

もちろん今の東京では不十分です。

昔から日本政府は主権に関わる事柄には敏感ですが、グローバルイシューには無関心になる傾向がありました。日本という国自体が、世界の主役となるにはあまりにも保守的・閉鎖的であり、そのため海外からヒト・モノ・カネが入ってきにくいのです。

公平で透明性のある、国際的に開かれた、人権保護に手厚い国にならなければ、国際社会から東京が評価されることはありません。

だから、政治家たちが世界の中で日本の置かれた状況や立場を理解せず、己の権力や保守的な価値観にこだわり続けているようでは、東京は真の意味で世界都市になれないのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?