仲間はずれありがとう
Netflixで「ワンピース」が公開される約1週間前、オードリー若林と星野源が2人でトークする番組「LIGHT HOUSE 」が配信された。
「LIGHT HOUSE 」とは灯台のことで、若林、星野源2人に付けられたユニット名だ。
大勢の人を照らしている2人だけど、その足元は暗いという意味が込められているという。
今、飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍している佐久間さんがプロデュースしていることもあって、非常に面白く見れたし、成功を収めている2人なのに、身近で共感できる悩みの数々を吐露する様子に親近感が沸いて、ますます2人を好きになった。
番組の形式としては、月に1度指定された場所で2人で会って、それまでに書き溜めておいた「一行日記」なるものを発表し合いながら、お互いの悩みや感じていることを話すというだけのもの。
それでも、その季節や場所によって引き出される思いは様々なもので、見応えがあり、2人のファンでなくとも楽しめる番組になっている。
そしてこの番組を通して感じたことを、毎話、歌にすると♯1で明言した星野源。
宣言通り、オープニングテーマも含め6曲が作られ、各話の終わりで歌われている。
初期の星野源を彷彿とさせる、暗くて静かな、だけどグサリと刺さる重い曲が多い印象だ。
その中でも3曲目の「仲間はずれ」が、今の気分にぴったりだった。動画と一緒に歌詞を載せておくので、興味のある人はぜひ聴いてほしい。
ちょうどこの頃、子どもが新しい習い事を始めて2か月ぐらい経った頃で、やっぱり幾つになっても「仲間はずれ」になってしまうなあと落ち込んでいた時だった。
習い事の送迎、そこですれ違うママたちの感じ、LINEグループの会話、その中でどうしても浮いてしまう自分。
馴染めない。
でも、子どもは頑張っているし我慢、我慢。
そう言い聞かせていたけど、限界を迎えつつあった。
子どもの頃から、こういう「仲間はずれ」にあうことは、何回も経験してきた。
周りが求める自分でいないと、「仲間はずれ」にあってしまう。
ちょっと感情を表に出したり、好きなものを熱っぽく話すと、途端にみんなの顔色が変わる。
そういうのキモい。考えすぎだよ。おとなしい子は怒ると怖い。
これは、何度も何度も何度も色んな人に言われてきて、私は私でいることが怖いのだと思う。
だから、新しいコミニュティに入った時、ものすごく気を遣って疲れてしまう。
浮かないように馴染むように、気を付ける、努力する、でも結果として、馴染めないところには馴染めない。
今回はそうだった。
たぶんどんなに頑張っても、私はあの輪の中では生きていけなかった。
自分を情けなく思ったし、こんなに経験や歳を重ねても、越えられないんだと落ち込んだ。
そんな時に見た、「LIGHT HOUSE 」。
若林、星野源の2人も「仲間はずれ」になる苦しみを今も昔も感じていることを知った。
そして、「仲間はずれありがとう」と歌ってしまう星野源の姿を見て涙が出た。
切り捨てられることで、自由になれる。独りになる。そこは座れる。そこに座り、灯りとなる。
私に必要な言葉が、まっすぐに飛んできたような気がして、嬉しかった。
仲間はずれありがとう。
私は私でいられる場所の方がいい。
我慢を繰り返しても、楽しくない。
自分の舵を、誰かに渡すのはもう嫌だ。
番組を見ながら、そんな気持ちが強くなっていくのを感じた。
そして、我慢していた気持ちを夫と息子に打ち明け、話し合いを重ね、私達はその教室を去った。
当初、息子にその習い事を続けさせることが正解のように思っていた自分がいた。
私に似て、優しい優しいと周りから言われている息子に、強さを身に付けさせなければだめだと思っていた。
自分のように「仲間はずれ」にされたら困るとも思っていた。
でも、本当は違う。
「仲間はずれ」にする方が間違っているし、息子がそんな目にあったら、息子が悪いんじゃない。
息子の優しさは、誰かに良いようにされていいものじゃない。彼が生まれ持った素晴らしい宝物だ。
私はそれを守り、助けてあげればいい。
それをする為には、私自身が元気でいなきゃいけない。
私は、舵取りを間違えていたから苦しかったんだと、気付いた。
そして、幾つになっても同じような悩み、苦しみは続いていくんだと知った。
そして、一番驚いたのは、息子の成長だった。
ほんの数ヶ月前は、友達に何か言われても押し負けていると思っていたのに、知らない間に、言い返せるようになり、その子と対等に仲良く遊べるようになって、家に連れてきたりするようになった。
今では息子が好きな昆虫に、その子も周りの子も夢中になって、息子が中心になって遊んでいたりする。
私が身につけさせたいと思っていた強さは、私自身が欲しかったのかもしれない。
子どもは、親の知らないところで知らないうちに成長していくのだ。
改めて、「LIGHT HOUSE 」ありがとう。
お守りのように何度も見返したくなる番組だと思う。できれば、続編も期待したい。
そして、私もここで書き続けることで、誰かの灯台になれたらいいなと、静かに思っている。
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