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【ハコベル_トップインタビュー】ハコベルで働いたことが、個人の職業的価値を高める組織を作りたいーー「物流危機」という社会課題に対峙しながら成長できる環境を

ハコベル株式会社は、仕組みやテクノロジーによって伝統的な業界をより良くすることを目指すラクスル株式会社の一事業として2015年12月よりスタートしました。2022年8月には分社化、企業間物流最大手のセイノーHDとのジョイントベンチャー(JV)となり、これまでラクスルが手掛けてきた荷主と運送会社・ドライバーのマッチングサービスと物流業務をDX化するプラットフォームからなるハコベル事業を引き継いで事業規模の拡大とサービス拡充に取り組んでいます。

業務の非効率性やドライバー不足などの課題を抱える日本の物流業界に、これからどう取り組んでいくか、そのためにどのような人材を求めているのかをラクスルでハコベル事業を率いたのちに合弁会社の代表取締役社長CEO(最高経営責任者)に就任した狭間健志に聞きました。

ハコベル株式会社 代表取締役社長CEO 狭間 健志
1985年大阪府出身。2009年東京大学大学院農学生命科学研究科修士課程修了。同年ベイン・アンド・カンパニー・東京オフィスに入社。多岐にわたる業界の日系・外資系のクライアントを担当し経営課題解決に貢献、2017年までマネージャーとして勤務。2017年8月ラクスル株式会社に入社。マッチングプラットフォーム事業を軽貨物ラストマイルから一般貨物の地場輸送・幹線輸送まで拡大・収益化、荷主に対して配送計画・管理業務を行うためのソフトウエアを提供するSaaS事業を推進。2022年8月1日より現職。

ーー改めて、これまでのキャリアからお聞かせいただけますか。

2009年に大学を卒業し、ベイン・アンド・カンパニーというコンサルティング会社に8年間勤めたのちに2017年にラクスルに転職しました。 転職のきっかけは、自ら事業に関わりたいと思ったことが大きな理由でした。昔から世の中に役立つビジネスに関わりたいという思いがあったこと、大学時代には農学部で稲の研究をしていたこともあり、社会インフラにあたるようなエッセンシャル(必要不可欠)な事業・サービスに携わりたいと考え、ラクスルが運営する「ハコベル事業」を次のステージに選びました。

ーー現在、ハコベルとして解決に取り組んでいる物流業界の課題とはどのようなものですか?

この業界はアナログで「非効率」が解決されていない面がある一方、非常に品質レベルの高い業界でもあると思っています。コロナ禍であってもスーパーやコンビニから物が途絶えることはありませんでしたし、オペレーション力が世界有数のレベルにある業界だと思うんです。ただ、その品質の高さが”人の頑張り”によって支えられていることが課題だと感じています。

日本の物流業界のクオリティは「世界有数」と話す狭間

コロナ禍において多くの企業でテレワークが推奨されましたが、企業の物流部門や物流会社だけは出社をしていましたし、残業時間も少なくありません。今後、少子高齢化によって労働人口が減少していくことを考えると、このやり方では永続的には成り立たないだろうと。私たちは”仕組みをつくる会社”なので、そういった”人の頑張り”だけで成り立っている業界の「不」を解決できたらと思っています。

ーー2024年4月1日から、働き方改革関連法によってドライバーの時間外労働時間が年間960時間に制限されます。運送・物流業界はこの「2024年問題」を目前に控えていますが、それらの問題を解決していくためのビジョンはありますか?

大きくは2つあります。ひとつは我々の行っているマッチングビジネスが課題解決の糸口になると考えています。運送業界は人的なつながりを辿って、自社で受けられない仕事を下請け、孫請けと依頼していく「多重下請け構造」が長らく解決されていません。運送会社は「どこに仕事があるか」、荷主は「どこの運送会社が空いているか」という情報を必要としており、それらが見える化されて直接受発注が行えれば、多重下請け構造は徐々に解決されるはずです。

現在、ハコベルのマッチングプラットフォームには13,640社の運送会社・38,456台の車両・40,676人のドライバーさんの登録をいただいています。(※)この仕組みを介することで荷主と運送会社さんを直接結びつけることが可能になりました。
(※)登録者数・登録台数・ドライバー数はそれぞれ2021年11月までの実績


ふたつ目が、配送に関するアナログ作業をデジタル化するシステムを提供すること。荷主と運送会社間でやり取りされる物流業務の多くが未だにアナログのままで、非効率で働く人の負荷になっています。ここをデジタル化することで物流部門の残業時間抑制やドライバーさんの労働時間管理、トラックの待機時間削減など社会課題解決につなげられると考えています。

我々はこの2つを武器に、2024年問題の解決を図ろうとしています。

ーー2022年8月には、企業間物流最大手のセイノーHDとジョイントベンチャー(JV)を設立しました。狭間さんは、これをハコベル第二章の幕開けと表現しています。

第一章として「使っていただければ満足していただけるサービスになる」というところまでは至れたのではないかと思っています。今後は、さらなるサービスの普及を通じて「利便性」「効率化」を感じていただき、使うことが当たり前になる状態をつくることが大事だと思っています。

セイノーHDさんとのJV設立背景もそこにありました。ハコベルのサービスを自社の営業網で広げていくと考えたときに、全国に何百・何千人規模の営業拠点を持つことは現実的ではないと感じていたんです。すでに全国に営業所を持ち、圧倒的な顧客基盤と信頼されるブランド力を構築されているセイノーHDさんのネットワークの中でサービス浸透を図れることは非常に魅力的でした。

当社の築き上げてきたプロダクト、テクノロジー力とセイノーHDさんの顧客基盤、ブランド、営業ネットワークが掛け合わされば、日本の物流業界を変えられる、そんな確信がありました。

圧倒的な顧客基盤とブランド力を持つセイノーHDとのJV設立は「ハコベルの成長」にとって必然だった

ーーセイノーHDとのJVによって、将来的にどのようなことを実現させていきたいと考えていますか?

セイノーHDさんもおっしゃっていることですが、我々は一社の力だけではなく企業単位の垣根を越えて、物流業界や日本全体に必要なサービスを提供していきたいのです。物流分野は横たわる領域が非常に広く、業務に関しても多岐にわたるものです。今、我々はトラック輸送に関するソリューションしか提供していませんが、お客様からすれば倉庫も生産拠点も物流課題のひとつですし、手段も陸運・空運・海運と多岐にわたります。また、社会からの要請であるCO2など環境に配慮した物流の構築というような課題もあります。

ですから、1社単体ですべてのソリューションを提供するのは不可能で他のソリューションを提供している他社さんとも協業しながら、お客様の課題全体に対応していくことが大切だと思っています。

このように、企業間の垣根を越えて協業していくことが「オープンパブリックプラットフォーム」の考え方です。弊社もこれからサービスを増やして行きたいと考えていますが、“自前”であることにはこだわってはいません。他社の素晴らしいソリューションがあれば、どんどん連携を強めていきたいと考えています。

ーーご自身から見たハコベルの組織カルチャーと求める人物像はどのようなものでしょうか?

シンプルな言い方になってしまいますが、”良い人”が多いと思っています(笑)。物流危機は大きな社会課題であり、ここに対峙したいと感じているような「社会貢献」に対して感度の高い人間が集まっているのではないか、と。

私はいつも面接のときに「自分にない経験・能力を持っている人に集まってもらうこと、そしてそれぞれがリスペクトしあえる組織でなければいけない」と伝えているのですが、自分にできないことをできる人をきちんとリスペクトできる集団が理想です。そうした人材を見極めるために、面接ではその人の素直さを見ることが多いですね。

そして、最も大事にしていることは「オーナーシップ」です。お客様の課題やサービスの課題、運送会社さんの課題、自社組織の課題を”自分ごと”として捉えて、オーナーシップを持って解決に動けるかどうか。オーナーシップさえ持っていれば、壁にぶつかったときも、ほかの人に助けを求めることができるはずです。変なプライドや見栄が先行して遠回りをしてしまう人よりも、課題を解決するために周りをうまく使っていく人のほうが良いと思いますね。1人で何もかもできる人などいないので、素直にどんどん周囲に頼れる人がいいですね。

組織の思想として、最も大事にしていることは「オーナーシップ」

ーー社員の年齢層や社内の雰囲気を教えていただけますか?

20代から40代のメンバーがほとんどで、人数のボリュームゾーンは30代なので全国的に見れば若い会社だと思います。かと言って、20代ばかりのスタートアップというわけではないので「地に足のついた人」が多いのではないでしょうか。

いま組織拡大を進めているところで、近い将来には現在の2.5倍ぐらい、150人から200人くらいのサイズにしていきたいと考えています。さまざまなバックグラウンドを持つ人たちが、同じ目標を持って社会課題に挑み続けていることが弊社の強みだと思っていますので、もっと色々な能力や経験を持った人たちに入社していただいて、その力を発揮してもらいたいと考えています。

ーーハコベルで働くことの魅力と今後の組織像について教えてください。

過去にコンサルタントとして多くの企業を見てきた経験から思うのは、「世の中にとって良いこと」と「会社の成長」が同時に実現できる事業やサービスって、意外とありそうでないんですよね。 学生時代の就職活動の際に、大手メーカーのOB訪問で言われたことが強く記憶に残っています。自分たちは競合他社とのシェア争いに日々邁進しているけれども、実はどちらかの会社がなくなってしまっても誰も困らないのではないかと思うことがある。それが悩みだと話していて「なるほど」と。

ハコベルのいいところは、自分たちの事業拡大が運送業界全体の課題解決にイコールでつながっていること。人が仕事を辞めたくなる理由として、人間関係や経済面のほかに、「なんで自分はこんなことやっているのだろう」と、ふと疑問を感じることだと思うんです。ハコベルの事業は社会課題と直結しているサービスなので、そういった疑問に陥ることがほとんどないですね。仕事をするうえで自分のやっていることが社会の役に立つという大義は、とても大切だと思っています。

ーーメンバーの採用・育成や成長環境について、どのような思いを持っていますか。

「物流」というドメインでプラットフォーム事業を営んでいることから、長期で事業づくりをしています。そのため社内外含め関わる人が非常に多くなりますので、組織も”長期戦”で捉えていますね。大量に採用して、毎年何割か辞めていくことを是とする考えではなく、会社と個人がWin-Winになるような関係構築を重視し、互いに信頼を構築して長期で価値づくりをしていく組織を目指しています。

また、一緒に働くメンバーに対しては人生の大事な何年間かをここで過ごしてもらうわけなので、入口と出口で「その人の市場価値が高まる」ステージを提供したいと思っています。私自身としては「実践こそが成長への最短ルート」だと考えているので、会社としては良質な”打席”の数を数多く提供することを重要視したいですね。

単に打席に立つだけではなく、「その人が経験したことがないステージ」をどう用意できるかも大切です。経験業界×ビジネスモデル×職種×マネジメントのいずれかドライバーを変化させた”新しい舞台”における活躍をサポートすることで「ハコベルで働かなければ得られなかった新しい経験」を積んでもらい、その人自身のライフタイムでの価値が高まる環境を作りたいです。

たとえば、物流会社でオペレーションをやってきたメンバーが今では「SaaSビジネスにおけるCSのプロ」になっていたり、運送会社でドライバーや配車管理をしてきたメンバーが「物流DXのスタートアップにおけるビジネス開発とマネジメントポジション」という立場になっていたりします。すこし掛け合わせのドライバーを変えただけですが、その変化が個人のキャリアにとって大きなプラスになることがあります。

ハコベルで何年働くかは個人の人生プラン・捉え方にもよりますが、貴重な何年かを過ごしてもらうからには「ハコベルで働いたこと」がその後にわたって、その人の職業的な価値につながるように組織設計して「ハコベルにいなかったら、ここまでキャリアが広がらなかった」と思ってもらえるような環境づくりをしていきたいですね。

ハコベルで働くことに興味のある方は、こちらをご覧ください。


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