2014譜面

【無料公開】 天國本の出来るまで

特別寄稿としまして「天國本の出来るまで~前編~」について書かせていただきます。

(元記事2014年)

約1年前の3月に理論書『ギタリストなら知っておきたい音楽理論』を発売しまして、その打上げを新宿の某居酒屋で私と編集長、編集担当者の3人で行いました。

写真、理論書

この居酒屋、芝居系の方ならばみんな知ってる有名な居酒屋さん。

お客さんはもちろんのこと、店員さんも“お芝居”を目指している若手がアルバイトをしています。

店内の壁もところ狭きに様々な映画やら舞台やらのポスターでひしめき合っています。

店内では、言い争いをしているのか?と思われるぐらいに声のデカイお客さんが多く、濃い~雰囲気満載なお店です。

そんな異次元な空間での呑みだったので、我々も周りに負けじ劣らずで声を張って、いつもの打上げにはないテンション感で呑みまくりました。

当然今後の話も出まして「来年は地獄本10周年なんで特別なことをやりたいですね~」と、あれこれ地獄本のアイデアを話尽きた頃に「やっぱり早めに天國本は第3弾を作って、シリーズ化したイメージを持たせたいですね」と話は天國本に。

そこで編集担当から出た言葉が「第3弾は振り切ったイメージで“アニソン編”にしようかな~」と思いの丈を語ってくれました。

思えば5年前、地獄本の1本に的を絞って制作して来た私のご褒美として「小林さんの好きな企画をやってみたらどう?」って編集長に言われまして、私は天國本と7弦本の企画2つを伝えました。

それから1年後、2010年に天國本第1弾が発売されたのでした。

写真、天國第1弾

中略 

理論書打上げの後日、めでたく2013年度の新刊として天國第3弾の制作が正式に決まりまして、まずは早めに選曲を決めようと打合せました。

とは言うものの、昔からアニメタル界隈にいた私が言うのも何ですが、まったくアニメに興味がないので、選曲は編集部任せに、まずはリストを送ってもらうよ 
うに頼みました。

18曲を決めるのに20数曲が選曲されていました。ここからアニメ好き知人のリサーチを含めて独断と偏見で18曲を選びました。

ただこれで無事に決まったわけではないのです。なぜならば、著作権法の壁を乗り越えなければ勝手に他人の楽曲を販売するわけには行かないのです。

JASRACの壁、著作権管理会社の壁、そして作曲者の壁。そう、この“壁”は、“許諾”と“お金”の壁です。

今や世界のアニソン、自由に使えなくなっていて許諾が厳しいとは聞いていたのですが・・・

つづく。


「天國本の出来るまで~後編~」

「天國本の出来るまで~前編~」に引き続き、緊急特別寄稿としまして「天國本の出来るまで~後編~」について書かせていただきます。

アニソン選曲から今度は許諾の壁を越えて行くのですが、やはり幾つかは許諾を得られませんでした。

中でも残念だったのは「銀魂」というアニメですね。若者に凄い人気のアニメなので、ぜひ演奏したかったのですが、全面的に使用禁止だそうで、太刀打ちでき 
ませんでした。

ということで二転三転させながら、許可の下りた18曲が決まり、実際の作業に入ったのは初夏を迎えた7月でした。

まずは、アレンジ作業をやるのですが、今回は弟子4人の打ち込み助っ人を用意しました。

1人4~5曲の担当で、7月から月1曲ずつ仕上げさせれば、11月には全ての曲が仮アレンジで打ち込み終わる計算なので、12月に仕上げアレンジ&レコーディング 
を私がやれば音源完成というスケジュールが見えて来ます。

そして、1月に譜面&原稿を完成させれば2月発売ですね!

以上のスケジュールを元に夏から動いていたわけです。

さて、4人の弟子には、1曲ずつアレンジの方向性を伝えて、基本midiデータを完成させてもらいました。

事細かにアレンジを指示する曲もありますが「お任せ!」って曲もあります(笑)

各担当のセンスを信じているので任せるところは任せるのです。

といっても18曲中2~3曲ですがね。

写真、作業リスト表

色分けは気にせずで、これが大まかなリストと指示です。

これを元に各担当と1曲ずつの打合せをする時はする、しない時はしない(笑)で作業を進ませます。

だいたい事細かに打合せしても、担当が実際作業するときには大まかなことしか覚えてないんですよね。

そんなもんです。だから、作業をしながら担当が判断つかない時に随時連絡もらって、問題点を細かく解決した方がお互い楽なんですよ。

「鉄は熱いうちに打て!」でございます。

そして、11月末の頃には18曲すべての基本midiデータが揃って、いよいよ私の作業開始です。

まずは、曲の雰囲気を損なわないように注意しながら全体の小節数を調整します。

書籍譜面には絶対的なページ数という制限がありますので、天國編の場合、見開き2ページで完結しなければなりません。

小節数にしてだいたい60小節がMAXになります。

これに合わせてアレンジし直します。

次に、いよいよ実際に弾くギターのパート譜面を作ります。

今回はアニソンなので、当然ながら歌のメロディがメインになりますが、イントロやエンディングなど印象のあるフレーズはギターでも弾きたいですよね!そのため、原曲を聴いたり、アニメおたくに人気のあるパートを確認しながらギターフレーズとして盛り込んで行きます。

この作業が一番重要で、メロディは適当にオリジナルっぽくアレンジするわけにいかないですから、原曲の歌を何度も聴きながら音程やリズムに間違いがないか確 
認します。

ここで、結構メロディが修正されます。

真面目に笑っちゃうぐらい弟子たちのメロは適当だなっていつも思います(笑)(もちろんバッチリに仕上げてくる優秀な弟子もいますよ) 

このメロディをシビアに修正して行きますと、何やらコード進行もおかしいことになってると気付き始めます。

この辺りが作業のカオス状態ですね(笑)

うりゃ~!ってTweetしたりしてます(爆)

それで、また原曲を聴いてコード譜面を見て、midiデータを見て修正して、を繰り返し、18曲終わる頃には灰になっています。

さて、ここから今度はギターで弾く主メロのmidiデータをFinaleという譜面作成ソフトに移し、五線譜とTAB譜を作ります。

Finale

これで印刷される譜面の原型を私が作ります。メロディは音符ですが、ギターではどこのフレットをどのように弾くのか?をTAB譜で決めなければなりません。

この作業がまた一苦労です。

ここで指使いやピッキングも指定しますので、一旦プリントアウトして、手書きで指使いやピッキング、チョーキングなどの特殊技指定を書き込みます。

必ず三菱ユニHB鉛筆です。

これ以外はあり得ないです(笑)

この感覚はピックと同じですね。

写真、手書き済みの譜面

著作権の関係上、写真は松竹梅フレーズですが、雰囲気伝わりますかね。

そういえばコード進行も手書きしてました。 

これで、譜面作業は一旦終了で、ここからギターREC作業に突入。

メロディはもちろん、バッキング、ときにはクリーンのアルペジオなどを重ねていきます。

とても楽しい作業なのですが、たまにRECしながらmidiデータが気になって変更したくなるんですよね。

ここで再アレンジ作業が始まります。

私の弾きたいバッキングやアルペジオにドラムやベースを合わせたくなるってわけ。

この作業でコードが元々間違っていたり発見されるのも面白いんですよ。

「アイツ適当に打ち込みやがったな~!」なんて具合にね。

そして、RECが完成したら、録音データはすべて“王子”こと弟子の福原くんへ。

そう、今回は全曲を福原くんにミックスさせました。

彼は地獄本第3弾DVD編からの長い手伝いの中からプロフェッショナルに育ったうちの1人ですね。

ついにすべてを任せられるに日がやって来たという感じで弟子の成長嬉しい限りです。

長々書いて来ましたが、こういうレポにしていくとたくさんの人達が関わり、たくさんの作業があって本が出来ているんですね。

改めて(笑) 

“ゴーストライター”が旬の話題になっていますが、芸術を仕事として扱う業界では多かれ少なかれ助手達の才能も本業に大きく左右されますよね。

ステージでのローディーもそうですし、アニメーションの背景画1つにしてもそうです。

脱線。 

さぁ、こうして完成した音源を元に再度譜面チェックを行います。

なぜならば、模範演奏のプレイに譜面が合致しなければならないからです。

簡単に言えばビブラートなど演奏した後じゃないと確認できないものや、譜面より音を伸ばしてたり、休符の捉え方が違っていたりするものなので、そこをチェックし、演奏に合わせて譜面を直します。

例えば演奏が間違えていても録音されてしまっているので、模範演奏が絶対ですね。もちろん大きく間違えてるわけではなく、細かい雰囲気のところなので何も問題ないんですよ。

18曲中、2~3ヶ所がオリジナルになってます(笑)

こんな感じでメインであるTAB譜が完全完成し、ちゃんとデザイナーによる浄書後の印刷データをさらに2回ほどチェックしてOKされたデータが本になります。

長い道のりですね。

他に松竹梅フレーズや解説原稿、手写真撮影などがあって本が完成します。 

さぁ、まもなく2/28(2014年)発売ですね!

もうすでに全国的に予約が殺到している!って噂は少ないですが(笑)

話題になって欲しいなって思います。

天國本が売れて欲しいという単純な願いもありますが、何より日本が誇るアニソンの名曲を通して、たくさんの人にギターを弾く楽しさを伝えたいという思いです。

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