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「田舎には丁寧な暮らしがあるという幻想」みかんぐみ・竹内氏✕暮らしかた冒険家・伊藤氏✕TURNS編集長・坂本氏 #これからの暮らしの可能性 のイベントレポート

地域とのリアルな繋がりかたを紹介する雑誌『TURNS』、等身大でリアルなリノベーションを紹介する『これからのリノベーション -断熱・気密編- 』、4日間のトークイベント「Off-Grid Life Lecture &Talk」をまとめた1冊『これからの暮らしかた – Off-Grid Life – トーク集』という3誌合同発刊イベントとして、それぞれの視点で観る「これからの暮らしの可能性」を探るトークイベントが開催されました。

2018年6月11日@渋谷ヒカリエ 8/COURTで開催されたイベントに参加してきました。当日のツイート( #これからの暮らしの可能性 )をまとめながらレポートしてみました。


今回は3誌合同発刊イベントということで、各誌の編集をされている3名のゲストが登壇。TURNSは定期購読しているし、みかんぐみ・竹内さんの断熱トークを聞いてみたかったのですごく嬉しい…!

坂本二郎(TURNS編集長・第一プログレス取締役)、竹内昌義(建築家・東北芸術工科大学)、伊藤菜衣子(暮らしかた冒険家)

「これからの暮らしの可能性」と題して3人がパネルディスカッション。

DIY、断熱リノベーション、東京と地方の違い、丁寧な暮らしとは?

あたりが主な話題となった2時間のイベントでした。

暮らしかた冒険家・伊藤さんは東京→熊本→札幌と移住経験あり。

セルフリノベーションした(西粟倉の床材も使っていただきました!)熊本の家が寒くて辛かった経験から、断熱の重要性を実感。札幌での気密・断熱性の高い家づくりに生かされているとのこと。

自分のためのDIYは納期も無いし、お客さんも居ないから辛くなってくる。Do It Yourselfではなく、Do It Othersが楽しい。

自分自身のためのDIYやDIYが目的となってしまったDIYは長続きしないし次第に辛くなってくる。誰かと一緒にその過程を楽しめる「Do It Others」が良いとのこと。なるほど。

みかんぐみ・竹内さん「職人不足→DIYが当たり前の社会」。

自分自身も材木屋として日々、建築業界の方々と接していますが、大工などの職人さんが見つからないという話を本当によく聞きます。

決まった図面・構法・後期でプラモデルのように組み立てていく新築住宅の大工さん以上に、いま必要とされているのは現場を見て手を動かせる大工さん。家ごとに状況や環境が異なる中、現場を状況判断しながらリフォーム・リノベーションができる大工さんが本当に少ないのだと聞いています。そういった人には人工(にんく・一日あたりの賃金)は当然高いものになっています。

暮らしかた冒険家・伊藤さんのお話の中で印象的だったのは情報発信の重要性。それは「私はこんなことを考えてるよ」という意思表示以上に「分からないことは素直に人に聞く」「困った時は助けを求める」ということ。


その際に「私は何がしたい人なのか、何を手伝って欲しいのか」を明確にする必要があります。また、相手にとってのメリットをイメージしてもらうことができるか。確かに自分にメリットの無いことを他人は手伝ってくれませんものね。

私は手が足りなくて困ってます。DIYに興味はあるけど自分の家でDIYするのは気が引けるという人は私の家を実験台にしてDIYに挑戦してください。

セルフリノベーション中には、毎日のように知らない人が遊びに来てくれて家づくりを手伝ってくれたそう。情報発信って意見を述べることと感じてしまいがちですが、助けて欲しいと意思表示する=弱さをさらけ出す、って大切ですね。

長野・諏訪でRebuilding Center Japanを運営する東野夫妻も急遽登壇し、パネルディスカッションに加わってくださいました。

中古住宅を購入したので、これからいろんな人を巻き込みながらセルフリノベーションに取り組んでいく予定。家の半分は高気密・高断熱、残りの半分は断熱なしでその違いを実感できるようにするそうです。

ゲストのお話を伺って感じたのは、大切なのは商売も生活も収支のバランス感覚。やっぱりこれに尽きます。

東京で高収入で働いたとしても、収入の三分の一近くを支払って狭い家に住むのは違和感があります。ビジネスも同じで売上至上主義に陥ってはいけませんものね。

田舎に行けば丁寧な暮らしができるなんて幻想

暮らしかた冒険家・伊藤さんの「アンチ・田舎で丁寧な暮らし」が痛快でした。田舎にユートピアがあると思ったら大間違いだ!

自分自身は東京で働いた後に人口1,500人の西粟倉村に移住しました。今でも月に一回は出張で東京に来るけれど、「東京は住む場所ではなくて誰かと会うための場所」。

イベントでも東京の意味についてゲストの方々が触れていたけれど「地方で生活する人たちが集まりやすい場所」くらいでしかないのかもしれません。


岡山・西粟倉村では水道水をガブガブ飲むし(源流が流れる村だから水道水が美味い)、近所のおばちゃんが育てた農薬たーっぷりのアスパラを食べてます(産地直送徒歩5分の新鮮さ!)。

毎日のように流れる川を見ているし、おばちゃんが野菜を育てるところを見ています。それは、自分が身体に取り入れるものの過程を見ているということです。

野菜を育てるって簡単じゃない、だからこそ、おばちゃんの苦労が少しでも小さくなるための農薬なら自分は喜んで食べたいと思うもの。表面を撫でたようなオーガニックで丁寧な暮らしなんか要りません


家賃数十万の都会のタワーマンションよりも、ボロでも自分で手をかけ直しながら住み続ける家の方がいい(タワマンには一生住めそうにない)

とりあえず国産ということで選んだ豚肉よりも、下手くそながらも自分で捌いたシカの方がいい(そのためにもっとシカを獲れ自分)

そんなことを改めて感じたのでした。

田舎に住んでいるので東京のイベントに参加したのはかなり久しぶり。楽しくイベントレポートをまとめることができました。

「参加したいと思ってたけど参加できなかった!」と思っている人に読んでもらえると嬉しいです。

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