見出し画像

新型コロナの水際対策期間中に日本に来てみた

仕事で日本に来ています。今回の滞在は少し長くて1カ月半。
実は5月中旬に到着したのですが、まー大変でした。

コロナがらみの渡航規制がまだ一部残っている時期だったので、出発前は、
在デンマーク日本領事館にビザを取りに行ったり(私はイギリス国籍なんですが、通常なら3か月以内の滞在はビザ不要)、私を客員研究者として受け入れてくれる日本側とやりとりしたり、PCR検査を予約したり。

そんな中、航空会社は二度もフライトの変更をしてくるし(そして料金が高い)、準備で時間とお金がかかりまくり。

で、事前PCR検査は、出発直前の72時間以内に受ける必要があり、これが陽性だったら数週間を要した準備も予約した飛行機も全部チャラになるわけで、結果待ちの間は気が気ではありませんでした。
(まぁ最悪の場合、渡航を延期すればいいんですが、さらに時間とフライトの追加料金がかかります)

ただ、私のフライトの数週間前に、デンマークを含む欧州からの入国については、入国後の自宅待機がなくなったので、それだけは幸運であったと思います。


入国検査:こっけいなまでの人海戦術

とはいえ、羽田空港についたら、もう一度PCR検査を受けねばならず、その上いくつものチェック・ポイントを通過しないといけないんですが、これが意味不明。

仮設デスクに座っている係員の人に、出発前にすでにオンラインで提出した同じ書類を紙文書で提示したり、必要な追跡アプリがスマホにインストールされているかを見せたり、あと、同じ基本事項を何度も何度も、各チェックポイントで聞かれました。

あまりにも繰り返しが多いんで、「あの、さっきのデスクで、これはもう何度もお伝えしましたけど?」と言うと、「えぇ、でも決まりなんで」。

でた、日本のお家芸、「決まりですから」対応。

いやまぁ、みんなの健康に関わる事なんでいいですよ、でもね、やり方があまりにも前時代的なんですよ。

例えば、到着後に空港内で受けたPCR検査の結果を「はい、こちらのかた、陰性でーす!」と隣のデスクにいちいち声高に伝えたり(プライバシーへの配慮なぞ微塵もない。陽性者がいたらどうするんでしょうか)。

最後のチェックポイントでは、追跡アプリがスマホに入ってるかどうかチェックするためだけに、係員(と多分バイトの学生達)が長蛇の列をなして待ち受けていました。

この、「係員が長蛇の列をなして」というのは誇張ではありません。係員の腕章だかバッジだかを付けた人達が、やや手持ち無沙汰気味に20人近く通路に並んでました。

とぎれとぎれにチェックポイントに向かって歩いてくる入国者の数にたいして、明らかに多すぎる係員の数です。なんかその光景がシュールすぎて、もはや先進国のものとは思えず。

日本の生産性の低さを目の当たりにした気がします。

滞在中:「臨機応変」がきかない組織

もちろん、日本には日本のやりかたがあるし、「ヨーロッパではもうマスクはとっくにしなくていいのに何故日本はまだいるのだ」と言うつもりもありません。

ただ、滞在先の大学でも、まず最初に、出発前(入国時のものではなく)に受けたPCR検査の結果コピーを、なぜか紙の文書で再度提出せねばならず(そして、これもデンマークを出発する前に、PDF 文書で送付済みであるにも関わらず)。

コピーを持参して下さい、と事前に聞いてはいたものの、「ご指示通り持ってきましたけど…、あの、なんで紙で提出しないといけないんですか?」と聞かずにはいられませんでした。

相手の返答は、またもや「そういう決まりですから」。
国立の大学にお邪魔していたこともあって、「国からそう言われてるんで」とか、「政府の方針なんで」というバリエーションもありました。

いまだに親方日の丸なんですね。思わず、「昭和か?」、と突っ込みそうになるのを何度も抑えた葉隠です。

こうしたチェックは入国時や最初の訪問時に限りません。
2週間ほど前、その大学のコンピューター・ルームで仕事をしていたら、どこからともなく大学職員とおぼしきオッさんが歩み寄ってきて、おもむろに、「あの、マスク着用をお願いします」。
は?

私が作業をしていたコンピューター・ルームは通常だと約50人は収容できる広さで、その時そこにいたのは私と、あとコンピューター・ルームのはるかかなたの対面の角に座っていた学生がひとり、それだけです。

なにそれ、ぜんぜん密じゃないじゃん。話すわけでもないし。

葉隠:「この状況でマスクがいるんですか?」 
どこまでも反抗的な葉隠です。

大学職員:「えぇ、そういうルールなんで」

あ、またこれか。
脱力感のあまり、それ以上は反論せず、とりあえず素直に従ってマスクを着けましたが(そのオッサンが立ち去るまで)。

念のために申し上げておきますが、私は人一倍ルールには忠実で、きまりや規則は、たいてい遵守します。ですが、日本はもうちょっと融通が利いてもいいように思うんですが、ダメなんでしょうか。

ルールを決めることは大事です。そしてそれを守ることも。ただ、日本のルールやら政策やらは、国際標準からかなり後れを取っている。この「ズレ」が一番の問題だと思います。

公共機関:アナウンスや指示が多すぎ

あと、電車、バスなどの交通機関って、なんであんなにずーっと注意事項のアナウンスを流しつづけてるんでしょうか。

これは地域にもよるんでしょうが、特にバス内のアナウンスがしつこすぎる。

停車する場所を伝えるだけじゃなく、「お釣りは出ませんので両替を事前に~云々」が終わったかと思ったら、「マスクの着用をお願いします」、「席は距離をあけて座って下さい」、「換気のために窓を開けております云々」、そして、それに従わない場合は「係員がお声をかけさせてもらうこともあります」と念押しするというご丁寧さ。

日本ってこんなにナニー・ステイト(子守国家)だったっけ? あるいは、えらい人たちは、一般市民は何回も言わないと理解できないバカか、あるいは潜在的に反社会的な群衆だと思ってる?

あと、コロナに限ったことではないのかもしれませんが、日本のスーパーマーケットとかショッピングモールって、何かしら店内放送がのべつ流れてるんですね。

やかましい宣伝が終わったと思ったら、コロナ関連の注意事項が延々とアナウンスされ、それが終わったら音楽がかかって、とその繰り返しで、落ち着ける時間がほぼないに等しい。(百貨店とかはさすがに静かで、BGMも静かな音楽でしたが)

当然、デンマークやイギリスでもありますよ、店内放送。でも、日本のものほど「主張」していないというか、日本ほどうるさくないような気がします。店や施設による、と言われればそれまでですが。

日本のバスやスーパーマーケットでは、思わず耳をふさいで「もうやめてー」って何度も言いそうになりました。音に反応してるのか日本語に反応してるのかは自分でもわかりません。純粋な外国人(非日本人)がどう感じているのか聞いてみたいところです。

慣れの問題なのかなぁ。

でも、個人的主観としては、ただただもう窮屈な国。そう感じざるを得ません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?