マガジンのカバー画像

太陽と世晴れて

14
宇宙ライフシリーズ第六部。人間という本質では神であるものをトキにエロ面白く、トキに『無関心な慈悲』から表現。おかげさまでシリーズ完結です。
運営しているクリエイター

記事一覧

太陽と世晴れて【プロローグ】

「さん」 「・・さん」 「恩地さん!」 『ん・・?』 「もう13:30過ぎてますよ、いつまで昼寝してんスか💧」 この日の午後は同僚の亘理に起こされた。 『あ・・。あぁ、すまない』 (つながってると、食後はとくに心地良すぎて眠くなるな・・) 亘理は酒癖はよくないが、自分よりまわりを優先するタイプだ。以前は怒りっぽい性格だったが、トキを重ねた今は笑うことのほうが多い。若い頃、白目黒目がハッキリ分かれ、鋭かったその瞳もキラキラと輝いている。 私は、オジ=サン・毛ノ

光の中を旅してた

あれは私がまだ子供の頃ー。 『痛い!お父さん、ケガしちゃったよう・・』 「大丈夫じゃ。おまえがケガしたわけじゃない」 とか。 『ちょっとあなた!サン、熱があるみたい。病院連れていかないと💦』 「放っておいて大丈夫だ。人間なんだから」 とか。 『お父さん、算数で100点取ったよ!』 「おまえだけのチカラじゃないだろう。先生だけじゃなく、農家の人、スーパーの人、筆記用具を作ってくれる人、鳥さん、豚さん、魚さん、おまえ以外がいてはじめて取れた。みんなで取った100点

トンネルのむこうは、あなた

思考ー決まっている物語。善くも悪くもあなたを縛りつけている。 身体ー思考と同じもの。 感情ー逃げたり否定せずしっかりと味わうべきもの。逃げればとんでもない方向へ爆発する。それが恐れや不安ならその正体は実体なき幽霊だと理解すれば消える。 心ー心もまた決まっていることの結果。 ↑幻想。エゴ。変化しながらも自動でただ起きている。 ↓真理 聖心ー上記とはまったく違うトコロにあるものだがあなたの内側にあり、外側にもあるもの。心についた観念が落ちると顕れる。ほんとうのあなた、わたし

ひかりのぽんぽん

「クッソ、あいつのせいで仕事とれなかったじゃねえか💢」 このトキはいつだったか。 10年近く前のハナシ。 明らかに亘理は怒っていた。 『どうした?亘理さん』 「聞いてくださいよ、恩地さん。またバンボンですよ」 どうも新人の唯我 和三盆が商談中にしゃしゃり出てしまい、プレゼンが上手くいかなかったようだ。自分が話さないと気が済まないタチである彼はマシンガンのように喋りまくる。 自分が一番!というのをいつも前面に出してくるから社員らがつけた愛称はバンボンだ。とりあえず話が

シは消えヒトえ

僕は、御手洗 一。 この名前のおかげで小さい頃からよく 揶揄われたり小バカにされたりしてきた。 ”おい、はやくトイレいってこいよ!”とか。 ”おまえ、便所が一番スキなんだろ笑”とか。 親に訴えると「由来は洗い清めるって意味だからいい苗字なんだぞ」と諭されたけど、僕自身は納得いかないままだった。 そんな僕もー。 この春から関西にあるIT企業に就職。 中小とはいえ、そこそこの従業員数。 社外の方との顔合わせもあり、 名前の話題でたびたび億劫になることも・・。 ある日ー

救われたワレにハレ

「お前は今までジブンじゃないものと完全に同一化していた」 『父さん。こ、これ・・』 「そう。ソレが本来のお前だ太袈支。お前は消え、同時にすべての存在は救われていたと気づく。意味を与える前の在りのまま。ヒトは本質では真我なる天国にいる。空じゃよ」 『人の内側にぜんぶ・・』 「だから云ったであろう。おのれを知る運命にある者でないとすぐには理解できないと」 『ぜんぶ自分。でも・・ほんとうのジブンとは全く関係がない!?同時に思考も身体もぜんぶジブン、何を観てもジブン・・内も

あなたはあなたにワレンダー

本当の私とはだれか? 人間とは一体何なのか? 自分とは何か? もしこの思考に出会ったなら。 あなたが熟す頃合いだろう。 ひょっとするとあなたはこの世界のことを何も知らないのかもしれない。それはあなたがあなた自身を知らないことと等しい。 悟りを求める探求者は、悟ればすべてを得ると勘違いしている。事実はといえば問いや求めるもの自体が消滅する。 至福と平和。 善と美。 光と天国。 完全で永遠。 そのおのれに戻るトキ。 あなたはあなたの完全性と真実を認識する。 トキを同じ

プライドから瞬間移動 ブライトな遊覧飛行

『神野 鼓太郎?』 「ええ。なんか情シス課の人間らしいんスけどね。ウチくる前はかなり年収高いトコにいたらしいっスよ。なんでウチに転職したのかナゾですよね」 『・・へぇ』 亘理の話を聞きながら、私は死んだ親父のことを想い出していたー。 まだ私も小さかった頃なので明確な記憶はないが、親父もそこそこ稼いでいたはずの会社をある日突然たたんだらしい。母の天葉の話しによると、何ら前触れもなく廃業したものだから、当時かなり怒ったと母は少しムスッとした顔で言い放っていた。それからうち

ゆるくちゆ

寛解から治癒へー。 私はワタシをゆるめたー。 ”観念を手放すという観念”を手にしたともいうのかもしれないー。 本当の私じゃないものを手放したー。とも。 表現なんてなんでもいい。 とにかくこの自然とつながっている感じが今はとても心地いいのだ。 そこに溶け込む。 ここに溶け込む。 数か月前ー。 センセのセリフはこうだった。 「罹ると治らないんです」 『・・そう、ですか』 もちろん、この病気に罹ると治らないというのは以前から見聞きしてわかってるつもりだった。

看取りは独りも抜ければひとつ

『最期は孤独なもんや』 「わたしおるやん」 『・・・日真晴。いままでありがとな』 「らしくない事いわんといて。っもう・・泣きたなるやん」 駆け抜けたー。 ダンナの陽蒔の人生はそんなイメージ。一時は死亡フラグの立っていたわたしからすれば、一緒になる人と出逢えただけでとてつもない奇跡みたいなもの。 意固地なトコもあるけど、誰に対しても面倒見のいい陽蒔は、女性からだけでなく、男性からもモテるような人だった。そんなゆとりあるトコにわたしはしぜんと惹かれ、癌が治ってからの十

おちてもてらし

『これ、落ちましたよ』 この日は、女性の落としたハンカチを追いかけ手渡した。 すると。 思いもよらず、少しだけ立ち話しに発展した。 彼女の話によると。 ダンナさんを不慮の事故で亡くされた後に妊娠がわかったらしく、私は少し戸惑いながらも彼女の話に耳を傾けていた。一方で彼女はまぶしいくらいに幸せそうな笑顔をこちらに向けてくれていたことがすごく印象に残ったー。 わかれ際。 彼女から。 「あの・・差支えなければお名前を。よろしいですか?」 『あ、恩地ともうします』 「は

じぶんえおかえり

わたしは羽里間 日真晴。 未亡人であり、一児の母だ。 闘病中に本当のじぶんに戻り、みんなあってくれるおかげで、このキセキの生命をてらすことができてる。 いつもオーバーヒート気味だった思考さんから離れ、ハートでとらえながら、わたしに満たされて生きるようになり、ひどかった生理痛もほとんど苦にならなくなったり、ときどき不思議なことも起こりながら、この愛に満ちた世界を楽しんでいる。 不思議といえば、あのひと。 恩地さんー。 まったく自我を感じない。 自分だと信じてきたものが

あなたあふれて

「ぜんぶオレのことだったんスね」 『亘理のことだし、即ちそれはすべてのわたしのことだよ。それでもお前がそこにあってくれるから気づくことが可能になる者もいるってことさ』 「・・なんとなく解けてきました✨でも、けっこうキビシメっスね💦」 『”ほんとうのこと”をかくというのは書くものも理解しようとするものもそれなりの準備が必要だからさ。きれいごとだけじゃ幻想は解けない。事実では理解するものはどこにもいないうえに、まだ多くのひとは自分と他って感じで分かれてると思ってるんだもの』

ひとはあいそのもの

『魂や御霊と呼ばれているものは、”分かれたナニか”じゃないからね』 「恩地さん、でも分かれたから経験できるのでは?」 『分かれていると感じるのは身体や思考や心の側であって、御霊や聖心というものは”ひとつ””一者”だよ。いくら亘理が”オレの魂が叫んでいる”と言ってもそれは思考であって、”魂そのもの”じゃないってことさ』 「!!」 亘理は改めて鏡世とよばれる現世。つまり、この世界のキセキに気づいたようだったー。 『時間や空間の次元にない”ひとつ”のソレらは瞬時にどこへで