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ひかりのぽんぽん

「クッソ、あいつのせいで仕事とれなかったじゃねえか💢」

このトキはいつだったか。
10年近く前のハナシ。
明らかに亘理わたりは怒っていた。

『どうした?亘理さん』

「聞いてくださいよ、恩地おちさん。またバンボンですよ」

どうも新人の唯我 和三盆ゆいが なみはちが商談中にしゃしゃり出てしまい、プレゼンが上手くいかなかったようだ。自分が話さないと気が済まないタチである彼はマシンガンのように喋りまくる。

自分が一番!というのをいつも前面に出してくるから社員らがつけた愛称はバンボンだ。とりあえず話がいつも長い・・。


『唯我さんかー。どうも彼は”俺大好き”って感じだからなぁ』

私はこの手のハナシにはいつも、彼の正体を知りながら、真ん中から観る癒すことにしている。人のせいにしてる以上、亘理も亘理でまだ自分を楽しんでる頃合いだ。

「どうすりゃいいんスかね、まったくアイツは」

『ははは。ま、彼を変えようとせず、まずはお前が変わってみることさ』

「へ?なんでおれが変わんなきゃなんないんスか」

『だって、お前が変わったほうが早いだろ?それにプレゼンなんてものはお前らだけでやってるわけじゃない。よぉ~く考えてみな。どれだけの人が関わってプレゼンの場が成り立っているのか』

「は、はぁ・・」

亘理はこのトキは納得いかない顔をしていたが、翌日出社してきたトキの彼は何かを得たようだった。



あれから10年ー。
パーテーション越しに二人の声が聞こえる。


「今回の契約はお前のお陰だよバンボン!もうバンボンじゃなく頭ポンポンしてやるよホラ!」

「てへへっ♡あ、でも頭ポンポンはセクハラですよ。ねー恩地さん?」

『ハ!そこに信頼神来ありゃ大丈夫だよ』

「バンボンに信頼はねぇーなー😆」

「あ、それちょいヒデぇっス!😂」


ほんとは何があっても大丈夫。
神はおまえらに宿ってんだから。


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