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テニスはフォームのコンテストではない

世界で最高のテニスコーチの一人として世界的に認められているであるピーター・バーウォッシュ。彼の「テニスはフォームのコンテストではない」とワードはとても有名です。

ピーター・バーウォッシュは、テニス界において革新的なアプローチを持つ選手として知られています。彼のプレースタイルは伝統的なフォームに囚われることなく、個性と創造性に溢れていました。彼は様々なショットや戦術を駆使し、相手を惑わせるプレースタイルを展開しました。バーウォッシュのテニスは、フォームの枠にとらわれない自由なプレーの象徴となっています。それはコーチとしても同じでした。

テニスは、世界中で愛される人気のあるスポーツです。その競技性や戦略性、そして選手たちのスキルは、観客を魅了し続けています。しかし、テニスにおいて最も重要な要素はフォームそのものではありません。

本記事では、なぜテニスはフォームのコンテストではないのかを探求し、その魅力と競技性に焦点を当ててみます。

漫画「ブレイクバック」にて



テニスの魅力

テニスの魅力は、単に美しいフォームや技術的なスキルだけではありません。むしろ、テニスは個人の能力や戦略の結晶であり、プレイヤー同士の競争がもたらすスリルや緊張感が魅力の一部です。テニスはボールを相手のコートに打ち込むという目標を持つ競技であり、その達成に向けた様々な方法や戦術が存在します。


フォームの重要性

テニスにおいて、正しいフォームはプレイヤーのパフォーマンスを向上させるために重要です。適切なフォームは効率的な動きや正確なボールの制御を可能にし、ケガの予防にも繋がります。しかし、フォームが完璧であることがテニスで成功するための唯一の要素ではありません。プレイヤーの身体能力や戦略、判断力も重要な要素であり、個々の選手のスタイルや特徴を反映します。



個性と多様性の尊重

テニスは、個々の選手の個性や多様性を尊重するスポーツでもあります。プレイヤーたちは自分自身のスタイルでプレーし、自らの強みを最大限に活かすことを追求します。一人一人の選手が異なるフォームを持ちながらも、彼らが競技の中で共有する目標は同じです。テニスは個々の選手が自身の個性を表現する場であり、フォームの差異がそれぞれのプレーヤーの魅力を引き立てる一因となっています。



結果重視の競技性

テニスは結果重視の競技です。試合の勝敗は、最終的なスコアやポイントの獲得によって決まります。観客やプレイヤー自身にとって重要なのは、ボールを打ち込むことや相手を打ち負かすことであり、フォームがそれを実現する手段となるのです。優れたフォームが結果に繋がることは間違いありませんが、フォームそのものが勝利の鍵ではありません。



プレイヤーの成長と進化

テニスは継続的な成長と進化を促すスポーツです。選手は試行錯誤を重ねながら自身のフォームを改善し、より効果的な技術や戦略を獲得していきます。個々のプレイヤーは自身の限界を超えるために、フォームの微調整やスタイルの変化を試みることもあります。このプロセスは、テニスが単なるフォームのコンテストではないことを証明しています。



テニスは「非常事態」のゲーム

テニスは、単なるフォームのコンテストではないということがわかりました。テニスの魅力は、フォームだけではなく、競技性、戦略性、個性、そして結果への執着心によって生まれます。プレイヤーは自身のフォームを向上させる一方で、個々のスタイルや強みを活かし、目標を達成するための戦術を練ります。テニスは多様性を尊重し、成長と進化を促すスポーツです。

さらに特性を理解すると「理想の条件」のもと、ボールを打つことは多くありません。テニスのレベルが向上すればするほど、非常事態に出くわす場面は増えます。

漫画「ブレイクバック」にて


最小パワー

「もし良い条件でなければ…」
これを常に想定することが大切です。つまり保険をかけておくこと。言い換えると「最小能力」の確保です。

いかなる非常時にも「これだけはやってのけられる」というものがあれば、安心してプレーすることができます。

・絶対に返球できる
・絶対にラケットにボールを当てることができる

テニスにおいての最小能力とは「ラケットを振らなくてもボールを返せる」という事実を理解することでもあります。



相手を知る

相手をどう扱うか、相手の作戦にどう立ち向かうか、こういうことを学ぶことは重要課題です。

自分と戦ってはいけません。相手と戦うことが重要です。

自分の最大パフォーマンスを発揮すれば勝てるとは限りません。相手に勝つために自分の最大パフォーマンスを発揮する必要があります。
自分の思い通りにプレーすることは、必ずしも勝利につながるわけではないのです。日頃より、どういう相手と戦うのか?どういう相手に勝ちたいのか?想定する必要があります。それが「〇〇選手に勝ちたい」のように、明確なターゲットが存在するのであれば、練習の質はとても高くなります。



最後に

テニスは「対人競技」です。対戦相手が同時に存在します。

陸上のような記録で競うものや、フィギュアスケートのような採点で競うものであれば「自分の最大パフォーマンスを発揮する」ことが、そのまま戦績や順位につながるかもしれません。思い通りに動作すること、つまり理想的なフォームがそのまま成果につながりやすくなります。フォームの要素が大きいと言えます。

ただテニスのように相手と競うものになると、様々な要素が絡んできます。
フォームは重要な要素ですが、たくさんある要素のうちの一つとも言えます。逆に、勝つためにフォームを捨てることだってありえます。

私も現役時代、どうしても勝ちたいがために、ラケットに当てて返球するだけで4時間近く戦ったことがありました。それは当時の私のテニスおける理想や美学に反してましたが、勝つための戦略として選択しました。

だからといって「フォームなんてどうでもいい」とは全く思ってません。
この記事でも書いているように「理想の条件」の時があります。その時、フォームは大きな要素となります。フォームを活用するためにも「理想の条件」作りが大切です。予測、ポジション、フットワーク、フィジカルなど様々な要素が整えば「理想の条件」に遭遇する確率も高くなるはずです。


ピーター・バーウォッシュは、こうとも言ってます。
テニス上達の秘訣は「守備の基礎作り」だと。

最小能力を理解し、構築する。要は返球能力を高めていく。
その後パフォーマンスを向上させることができれば、個人の能力が向上し、戦略の結晶が作られやすくなります。

「理想の条件作り」これもスクールで提唱していきたいと思ってます。

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