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On the border〜知らない世界に会いに行く〜大塚由祈子篇


作中に登場する職業の方に実際に会いに行き、お仕事の実態をお伺いする「On the border~知らない世界に会いに行く〜」、今回は番外編!

作中で、ツバメ食品萩島工場総務課勤務、馬場倫子を演じる大塚由祈子が、食品工場見学を疑似体験できる、キユーピーマヨテラスさんにお邪魔してまいりました!夏の工場見学はどこも大人気。マヨテラスさんの事前申し込みも、結構ギリギリでした。

みんなご存知、キユーピーマヨネーズ。おうちの食卓で、どこかの食堂で、出会ったことのない日本人はきっとほとんどいないのではないでしょうか?
可愛いキユーピーちゃんに出迎えられてお邪魔したマヨテラスさん。初めて知ることがたくさんの、とっても楽しい時間になりました!




工場入り口にて。季節の装いがかわいいキユーピーちゃん!


マヨテラス、ツアーの始まり

改めまして、お邪魔したのは「キユーピー マヨテラス」。京王線仙川駅から徒歩7分ほど。
元は工場だった建物だそうです。老朽化に伴い建て替えを余儀なくされたとき、工場機能を引き揚げ、移転することが決まりました。しかし近隣の住民の方からの「工場前のキユーピーちゃん、いなくならないでほしいです」「工場がなくなっても、キユーピーさん仙川から消えちゃわないで」などの声が後押しになり、オフィス機能を備えた建物の1階に疑似工場見学が可能な施設を新しく作った、という経緯なのだそうです。



いざ、入館。イエーイ、の、ゆっこちゃんです。


ゆっこちゃんとハマカワ、受付を済ませて入場すると、そこはとってもポップで可愛い空間が広がっていました。野菜モチーフの椅子、アニメーションが流れる画面、たくさんのキユーピーちゃん、商品の展示。
始まる前から大人も子供もワクワクしちゃっているのが手に取るようにわかります。
そこへガイドのお姉さんがご登場。ツアー中の撮影、録音は不可となっていましたので、必死にメモを取るハマカワです。

最初にご案内いただいたのが、キユーピーとマヨネーズの歴史。

皆さま、マヨネーズって、どこ発祥の食べ物か、ご存知ですか?
マヨネーズは、スペイン生まれ。メノルカ島のマオンと言う地名から由来しているのだそうです。マオンソース、が転じて「マヨネーズ」と呼ばれるようになったと言う説が有力なのだそうです。
キユーピー創業者は、アメリカ留学をしていたらしいのですが、その最中にポテトサラダに出会います。同時にマヨネーズという未知のソースを知り、栄養も豊富、何よりこれまでに食べたことのない美味しさに衝撃を受け、これを日本に持ち帰って販売したい!と思い、帰国後奮起。キユーピーの創業に至った、ということなのだそうです。なんだか、朝ドラとかプロジェクトXに出てきそうなお話だなぁと思いました。
それから、誰もがキユーピーといえば、思い浮かべるあのキユーピーちゃん。アメリカのデザイナーによる発案で、「誰からも愛されてほしい」との願いを込めて、愛くるしい赤ちゃんをモチーフにデザインされたんだそうです。確かに、キユーピーちゃんを前に、険しい顔なんかできませんよね。
そんなマヨネーズ、日本に流入してきた当初は、もっぱらカニや鮭の缶詰めや焼き魚にかけるソースとして使われていたそうです。家庭でも洋食が普及するにはもう少し時間がかかったのでしょう。鮭のムニエルにオランデーズソースがかかっていたりすることがありますが、あれの和食スタイル、という感じなのかなと思いました。

*ゆっこ感想*
小さい頃からキユーピーには親しみを持っていましたが、なぜマヨネーズのマスコットになったのかなんて考えたこともありませんでした。「マヨネーズもキユーピーのように愛されてほしい!」という願いが込められて「キユーピーマヨネーズ」が生まれたというエピソード、感動でした!
またキユーピーの商品が多数展示されていたのですが、ドレッシングやジャム、酢や病院用食品など、マヨネーズという基軸の商品からこれだけ多様な加工食品・商品が展開されるのかとビックリしました。


さまざまマヨのいろいろ講義

お次はガイドのお姉さんの「マヨネーズの中に入っていきましょう」とのご案内で、マヨネーズ型をしたドーム状のお部屋に移動。マヨネーズの中に入る、というセリフがなんだか面白かったです。

このお部屋では、マヨネーズや容器の具体的な構造、秘密、さまざまなマヨネーズの種類を教えていただきました。
例えば、蓋の部分が白いキャップになっている「キユーピーハーフ」。
マヨネーズの主成分は油、卵、酢ですが、このうち65%以上が油でなければ「マヨネーズ」と定義、表示することができないという決まりがあるそうです。ハーフは油分をカットしているため、厳密には「マヨネーズ」として売り出してはおらず、分類としては「ドレッシング」の仲間ということになっているのだそうです!パッケージを見ても、実はどこにも「マヨネーズ」とは書かれていないのだとか。
また、ニーズに合わせてマヨネーズの種類自体もものすごく豊富です。赤いキャップのスタンダードなマヨネーズはもちろん、80%カロリーオフを実現した「ライト」、ピンクのキャップはコレステロールゼロマヨネーズ、緑キャップはコレステロール値を下げたい人向けの特定保健用食品、いわゆる「トクホ」のマヨネーズ。亜麻仁油を使った紫キャップ、卵不使用の薄ブルーキャップ、など、全部は見たことないかもしれない、というくらいたくさんの種類が並んでいました。
その中でもガイドのお姉さんおすすめが、濃い黄色のキャップでパッケージされた、燻製マヨネーズ!お酢を燻製してから使用したマヨネーズだそうで、なんに塗ってもほんのり燻製香が移る、大人の味わいのマヨネーズだそうです。お酒のつまみの何にディップしよう・・・と、ハマカワの脳内はすでに居酒屋さん状態に。

*ゆっこ感想*
マヨネーズを美味しく食卓に届けるために、顧客の多様なニーズに応えるために、たくさんの工夫が凝らされ、商品バリエーションが生み出されていることがよくわかりました。例えばマヨネーズが空気に触れないように容器が細かく多層になっていたり、マヨネーズのチューブ一本の量も業務用やテイクアウトに付属させる用のものまで様々な種類を生産していたり、海外に展開するマヨネーズは地元の人に求める味(チーズマヨネーズ・トリュフマヨネーズなど)にアレンジしたり。世界各地の人々に愛されるようになるまで、マヨネーズの品質はもちろん、企業が試行錯誤を重ねて開発してきたのだろうと、その執念を感じるほど、本当に多彩な商品がありました。


いざ、疑似工場へ!

いろいろなマヨネーズを教えていただいた我々、とうとう疑似工場部分へお邪魔します!
工場に出勤する作業員さんと同じに、入り口で、エアシャワーを浴びます。両手を上に上げたキユーピーちゃんのポーズでくるくるくるー、とその場で何回も回転。こうして風圧でゴミや汚れを吹き飛ばしてから入るのだそうです。これがなかなかの風圧!手元の取材メモ、この時点の字の乱れがひどいです。風圧にびっくりしちゃったんだと思います。

工場内部に入ると、まず目についたのは蛍光グリーンの鮮やかな床面。
ちょうど、「未開の議場 2023」フライヤーの円の真ん中部分みたいな色をしていました。この鮮やかな色は意図的なもので、汚れがついたときわかりやすくするためにあえてこの色にしている、というお話がありました、合言葉は「ピカピカ」だそう。確かにこれだけツルツルでパキパキのお色だと、綺麗をキープするための努力は必要そうです。食品を扱う会社ならではの、衛生への強いこだわりを感じました。

工場内部を表すお部屋では、タンクローリーで運ばれてくる大量の油、1分間に600個の卵を割ることができる機械がフル稼働の割卵室など、マヨネーズ工場ならではの圧巻の光景がビデオ投影されています。
卵は特に、こだわりの様子が伺えました。卵の黄身がマヨネーズになるのはもちろんなのですが、他の部分の活用がとにかく徹底されています!白身は製菓用のメレンゲなどに利用されるとのことで業務用卵白に。割り捨てたと思いきや殻も有効活用。カルシウム補充用食品や、タイヤの原料、「エコチョーク」と呼ばれる学校用チョークの原料になったりもしているのだそうです。卵殻膜、と呼ばれる殻の下に存在する薄い膜は、なんと化粧水に加工されるのだとか!栄養満点な上に捨てるところなし。卵、なんて優秀な子なんでしょう。
ちなみに面白かったのが卵の黄身の色のお話。あれ、鶏にあげている餌の色で変わるんだそうです。パプリカやカボチャなどの色の濃い食品をあげていると濃い黄色に、白米など淡い色の餌をあげていると薄ーい色になるんだそうです。そして、この濃い色と薄い色の餌を交互に与えると、なんと黄身はマーブル模様のコントラストを描くのだとか!そんな黄身の卵、見たことない!お家で鶏さんを飼ってらっしゃる方、もしいらっしゃったら試してみていただけませんでしょうか・・・。

その次の、原料室、というところもとても興味深かったです。ここは各種原料となる塩や砂糖などの調味料類を、期限、量、種類の全て機械で管理している、というお部屋でした。どこのラインに塩2kg10/31期限のものを1本、といった具合で、機械にかざして、それが何かしら間違っていれば「ブー」と鳴り、「ピンポーン」が鳴ったらok、という流れで、ラインの要求する原料と持ち出そうとしている原料が整合しているかをチェックするというお部屋なんですね。
実はこの部屋、従業員の方がかつて「どうしよう・・・今日のアレ、入れるもの間違えたような気がする・・・でももう入れちゃったし・・・どうだったんだろう・・・わかんない・・・怖い・・・」と、自分のミスがあったのではないかという猜疑心からついに不眠を発症してしまった、ということに端を発しているんだそうです。従業員の心の負担になってしまう工程を少しでもなくそう、という企業努力が生んだ「ブー」「ピンポーン」だった、というわけです。やさしさですね。

*ゆっこ感想*
昔の工場では卵を割るのもすべて手作業だったそうですが、今では機械化されて作業効率も上がったそうです。機械やロボットに仕事を取られて、人間の仕事が無くなってしまうのでは?なんて危惧されている昨今ですが、人間が「ミスしていない!」と安心するために機械が協力してくれているのだと思うと、素敵な機械との協働の形を見つけていければ、未来は明るいですね!

キユーピーさんが太っ腹すぎる件について

最後はお待ちかね、試食の時間です!
明るくて広々した、ポップな家庭科室みたいなところに通していただいた我々を待っていてくれたのは、キユーピー創業者さんも感涙の、みんな大好き、ポテトサラダでした!もぐもぐタイムに、ガイドのお姉さんが教えてくださったのは、野菜とマヨネーズの美味しい関係。
マヨネーズや、ドレッシングなどに使用されている植物油は、野菜の栄養素の吸収を助ける働きがあるのだそうです。例えば、ブロッコリー。塩茹でしていただくのがポピュラーな食べ方ではありますが、ベータカロテンの吸収量に着目してみると、そのままでいただくよりも植物油を合わせた方が吸収率が高く、マヨネーズを合わせるとさらに圧倒的に吸収率が高まるのだそうです。ポテトサラダも同様で、じゃがいも、玉ねぎ、にんじんなどを茹で野菜として食べるより、マヨネーズと合わせたポテトサラダとして調理した方が、必須脂肪酸、カリウム、ビタミンA、E、Cなどの数値が格段に向上します。美味しいだけじゃない、マヨネーズ、えらい!
そんなキユーピーさんおすすめの野菜の食べ方は、いつものサラダにゆで卵を入れること、だそうです。卵は栄養たっぷりですが、惜しくも含まれていない栄養素が、食物繊維とビタミンC。そこで、サラダにゆで卵を添えて、マヨネーズと一緒にいただけば、栄養バランス完璧の一品が出来上がる、というわけなのです。

ここで、来場者の我々に、キユーピーさんからプレゼント!
ポテトサラダをご馳走になったのに、まだ何かいただけるのかしら、と思っていたら、お姉さんが小箱を2つ取り出して、「賞味期限が近いものになりますので、幾つでも、お好きなだけ、持って帰っていってください」と、小袋タイプの「辛子マヨネーズ」を大サービス。「ほんとにお好きなだけどうぞ」とおっしゃるので、遠慮なく掴み取りして参りました。フードロス削減に貢献だ、とか言いながら、それはもう、ザクザクと。ありがとうございます!

それからさらに、お土産もありました。「キユーミー」というちょっと高級ラインの、美味しいお野菜を使ったスープのレトルトパック。それから、最初の方でお話を伺った、燻製マヨネーズ!これ、何種類かマヨやドレッシングがある中から選べたのですが、ゆっこちゃんもハマカワも燻製マヨ一択!でした。さらにお馴染みのキユーピーちゃん人形もお供についてきて、思わずにっこり、であります。

マヨテラスさん、予約こそ必須なものの、入場無料なんです。それでこのホスピタリティ、ちょっとすごすぎます。取材で来たというのに、気づけばゆっこちゃんもハマカワもすっかり普通に楽しんでしまいました。

最後、解散した後に、ガイドのお姉さんを呼び止めて、ちょっぴりお話。

なんでも、元は工場の割卵担当のところにいらっしゃったそうなのですが、工場見学の担当がしたい!と志願されて現在のガイドさんになられたそうです。マヨテラスそのものの立ち上げにも関わっていらっしゃったとか。

キユーピーの工場見学は昭和36年から始まっていて、昨今の工場見学ブームの端緒を開いた、いわばパイオニアだったそうです。近隣の小学校などの社会科見学の定番コースとなっていたことなどもあり、「工場見学だけは残してくれませんか」という、地元の方からの愛溢れるお声が非常に多かった、とのお話。また、正門前にはキユーピーちゃんの時計台があり、高いところでクルクルとキユーピーちゃんが回り続けているのですが(冒頭にお写真を載せた、あの子です!)、そんなキユーピーちゃんに対し「雪の日にはだかんぼなのが可哀想で、お洋服着せてあげてほしいです」とのお声が地元の方から上がったりもしたんだとか。ガイドさん、かつてはキユーピーちゃんに自ら季節の装いのお洋服を着せてあげたりもされていらっしゃったそうです。

地元・仙川と相思相愛のキユーピーマヨテラスさん。萩島のツバメ食品工場も、もしかしたらこんなふうに愛されているのかもしれません。

*ゆっこ感想*
ひたすらに「愛」を感じる工場見学でした。地元の人たちからの、働いている人たちからの、創業者からのキユーピーマヨネーズ愛。ちなみに2014年にはキユーピーマヨネーズファンクラブというオンラインコミュニティが開設されて、14万人以上の顧客からも愛されているそうです。顧客に商品のことを知ってもらおう、愛してもらおうとする積極的な姿勢は、演劇をやっている私たちも見習うべきだなぁ、なんて。
創業から100年弱、より愛されるマヨネーズを目指してこだわり続けてきて、これからも発展し続けるための努力を惜しまないキユーピーさん。
きっとツバメ食品も同様に、商品の美味しさを追究して、フードロスが無いように加工食品を多様に展開させ、愛されるために挑戦し続けている食品会社・工場なんじゃないかと想像が膨らみました。
だって馬場さんには、ちゃんと「愛」がありますからね!




というわけで今回は、大塚由祈子とハマカワが行く、マヨテラス擬似工場見学編でした!
皆様ももし興味が沸いたら、ぜひ足を運んでみてください。楽しかったですよ!


キユーピー マヨテラス(予約必須)


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