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On the border〜知らない世界に会いにいく〜木村聡太篇

作中に登場する職業の方に実際に会いに行き、お仕事の実態をお伺いする「On the border~知らない世界に会いに行く〜」、今回は作中で行政書士・葉浦充を演じる木村聡太が、行政書士事務所の代表さんにお話を伺ってきました。
意外な経歴をお持ちの行政書士さんから聞くことができた色々に、木村は大いに背中を押されたようで・・・?



お話を伺った方

若山慎さん(52)

元俳優さんの行政書士さん。
地元で「ひらり行政書士事務所」を開業されたばかりです!




俳優業からの華麗なる転身とガッツ


ハマカワ(以下、ハ) 行政書士の資格を取ろうと思われたのはおいくつの時ですか?
若山さん 思ったのは多分、5年くらい前です。46、7歳ですね。役者を辞めたきっかけっていうのが、結婚して子供ができたってことなんだけど、それまでは融合事務所っていうとこにいたんです。
 融合にいらしたんですか!長野里美さんが長く所属されてたところですね!
若山さん そうですそうです。子供生まれたのがきっかけで辞めて、サラリーマンやってたんだけど、役者では思いっきり敗北しちゃったので、ちょっと自分で目標立てて何か勝ち取りたいな、と。せっかくだから簡単に受かるような資格ではなく、行政書士を選んで、働きながら勉強して、取得しましたね。
 難関資格のイメージがあるんです、行政書士さん。それこそ大学の在学中から伊藤塾みたいな資格学校に行かれて、ガッツリ受験勉強をして、という。実際、どんなふうに勉強されました?
若山さん 完全、独学です。
木村(以下、木) わー、すごい。
 それはすごい・・・!すごいです!
若山さん 高校時代とか、僕、正直いうと素行の悪い人間だったんです。ちゃんと勉強してなくて、ノートとかも、全教科合わせて1年で1冊も使わないみたいな。やんちゃしてたんですね。勉強と程遠い人生を送ってきたんです。なので、試験勉強始めた時、もう、全くわからなくて!書いてあること、日本語がわからない、漢字もわからないってとこからでした。
 すごい、ドラゴン桜みたいな話になってますね!
若山さん そこから、3年で取りました。
ハ すごいですね!!あの、こういうふうに伺うのがもしかしたら失礼かもしれませんが、相当なレアケースではないですか?
若山さん どうでしょうねぇ、わかんないですけど、あの、ガッツはあるんですよ、やるって決めたら。朝早く起きて仕事行く前に勉強して、帰ってから勉強して、っていうのを1日5、6時間。休みの日は12時間以上勉強、っていうのを3年間。やるって決めて、続けましたね。
木 すげぇ・・・
ハ すごいです・・・。他に視野に入れられた資格とかはありましたか?
若山さん 司法書士も考えたんですよ。でも年齢も年齢なんで、難易度的に時間かかるのは目に見えてたんで。もっと若ければチャレンジしたかもしれませんが、合格後開業することまで考えたら、自分の精一杯難しいところを選んで、行政書士、となりましたね。
ハ ちなみになんですが、司法書士と行政書士のお仕事内容の違い、っていうとどういうことになるんでしょうか。
若山さん まず、行政書士が、日本の国家資格試験でざっくり10番目くらいの難しさだとすると、司法書士は3番目から5番目くらいです。で、司法書士さんていうのは法務局関係のお仕事で、登記がメインです。相続だったり、不動産の登記とか。で、行政書士さんていうのは、例えば弁護士さんが刑事案件とか法的に関係すること、税理士さんが税、社労士さんが社会保険関係とかそういう感じのですね、その差し引いた残りの全部を行政書士さんがやる、っていうイメージです。自治体とか、役所関係、都庁とか区役所とかですね、そういったところに出す認可、申請、プラス、民事法務としての相続関係。あとは外国人の登録とかの民間業務ですね。永住権もそうだし、就労ビザとか、入管業務ってやつですね。レアケースでいうと、行政書士さんって色々と専門に特化してる人がいて、例えば、馬主行政書士、っていうのがいるんです。
木 馬主!へぇー!?
 競馬の、あの、馬ですよね?
若山さん そうです、お馬さん。お金持ちが馬買って、っていうあれです。そういう人の馬主の登録とか、申請とか。
 それも行政書士の仕事の範疇に入るんですね。
若山さん そうです、申請ごとはみんな、って感じです。最近だとドローンとかありますよね。あれも申請が必要なんです。なのでドローンも、行政書士が申請業務として扱います。
ハ なるほど・・・!
若山さん 行政書士の扱う仕事の種類って、何万ってあるんです。本当に。自分も全部把握できていないんですが、「え!これも!?」みたいなのもあるみたいです。
 少し、調べて不思議だな、と思ってたんです。行政書士さんが、専門に特化して開業されてることが多いのは、なんでだろう、と。でもちょっとわかりました、単純にものすごく幅広いんですね、取り扱う申請の種類が。
若山さん そうです。で、「なんでもやりますよ」って言ってる人には何も仕事こない、みたいなのってあるじゃないですか。病院と一緒で、歯が痛ければ専門医、歯医者さんに行くじゃないですか。
 診療科が分かれているのと同じ考え方、ってことなんですね、なるほど。
若山さん そうそう。ラーメンだったら豚骨がいい、とかね、そういうことです。
 ちなみに作中では、主に外国人相手の業務をしている、という設定があります。キムラ、調べたりしてたよね?
 そうですね、それこそ作品の登場人物の履歴書みたいなものを作ったことがあるんですが、作品のキャラクターの設定なので、その時はかなりデキる奴の設定で書いたんです笑。行政書士以外にも社労士の資格、あと、外国人労働者の方がたくさんいて農業に携わることも多い土地柄、という設定があったので、土地家屋調査士の資格まで取ってある、という人物設定にしたんです。ただこうなるとこいつ相当デキる奴、っていう。地目変更とかができる方がいいんだよなきっと、と思ってそうしたんですけど、年齢で言うと30代前半なので、デキる子にしすぎたか?と。笑
若山さん 行政書士の中では、資格をいくつも持ってる人っていうのももちろんいるんですね、司法書士も持ってる、とか、それこそ社労士とか。でも、3つ4つまでは正直必要なくて。なんでかっていうと、そんなにいくつも仕事として抱えられないから、っていう。
 でも確かにさっきのお話伺ってたら、「自分がどこをやるか」っていう範囲をある程度見定めて資格をとりに行かれることの方が多いってことですよねこれきっと。
若山さん ああ、それよりも、マーケティングです。一般のビジネスと一緒でマーケティングに長けてる人の方が、すっごい儲けてます。
 なるほど。面白いなこれ。
若山さん 資格に重きを置きすぎて、あれも取ろうこれも取ろうとずっと勉強してるような人に限って何もできない、ってことも結構あります。
 マーケティングが大事、っていうお話今ありましたけど、開業する場所との相性みたいなことも含めてでしょうか。この辺りはこういうニーズがありそうだからこの方面に特化しよう、みたいな。
若山さん そうですね。あとは、行政書士をやりながらマーケティングやコンサルをやるっていう人も結構いるんですよ。行政書士は取っただけだと単なる資格でしかないので、派生業務ですね、マーケティングのセミナーやりますとか、お宅のコンサルやりますとか、どこかの会社さんの社外取締役になったりとか。そういうのでものすごい儲けてる人はいますよ。他の士業さんに比べると、そういう派生業務は大きいですね。
 若山さんは今、開業されたばかりということですけれど、今後どう派生業務を展開しようかな、みたいなことは考えてらっしゃるんですか?
若山さん まぁ、軽くですけどね。僕、地元が稲城市なんですが、地元で開業したんで、地元の友人、後輩とか、やんちゃしてた時の付き合いだと建設業の一人親方とか、そういう知人が多いんです。その地元に向けたアナログ営業ですね。口コミと、出向いて足で稼いで、っていう。あとは他の民事法務。相続関係、遺言書、そういうのはH Pと、あとは葬儀社さんに営業をかけて、提携しました。そうすると葬儀社さんも、死後事務委任っていいますが、お墓のこととか、銀行の口座のこととか、名義とかですね、そういう一連のことを請け負ってくれる先の行政書士があるということになりますので。


行政書士さん、その向き不向き

 行政書士さんの中でも色々いらっしゃると思うんですけど、目指される方とか、こんな方が多い、っていうのはありますでしょうか?
若山さん そうですねー、まずそもそものところなんですけど、やっぱり試験勉強って大変じゃないですか。僕が思うに二手に分かれてて、行政書士で資格取ってビジネスしたい、って人と、資格の取得自体が目標の人と。で、勉強して、行政書士取って、こういう仕事する!っていうのを決めてない人の方が実際多いと思うんです。それで、次の目標として司法書士さんとか社労士さんとか、別の資格取ろう、ってどんどん受験の計画立てて、それが延々続いてく、みたいな。
 それって行政書士さんでよくある現象、ってことなんですか?
若山さん や、そうとも限らないと思いますよ。それこそ例えば弁護士さんとかでも、試験自体は日本一難しいかもしれませんけど、仕事できるできないは試験とは、別の話になってくるんで、稼げない人はいるはいるんですよね。で、そうなると別の職種を・・・って。あとはやっぱり、人ぎらいな人は難しいですよね。お話することは必須ですし、やり方は色々あるんですけど、営業となると絶対、対人間になりますから、その辺が苦手な人は難しいかもしれないですよね。
 適性としてはどんなことが挙げられそうですか?
若山さん 適性?そうですね・・・まず最低限の根性というか、ガッツは必要ですよね。試験にまず受かるまでのところでね。で、自分は始めたばっかりなんであんまり言うのもあれですけど、自分で自分に目標を立てて計画して、マーケティング、プランですよね、そういうことができるのは大切ですね。あとは社交性ですね。人見知りせず、社交的に振る舞える人、って感じですね。あのー、木村さん見てると、社交性があるように見えないですが。笑
ハ・木 笑!!!
 キムラ!言われてるよ!!笑
 や、聞こうと思ってたことは色々ありますけどハマカワに一旦仕切ってもらってた。
 いいよいいよ、キムラどうぞ。
 じゃあせっかくなんで、あの今伺ってた中で聞きたかったんですけど、僕の役がそうなんですけど、地元に戻って開業、ってパターンは、多いものですか?
若山さん 戦略次第みたいなとこですね。逆に田舎だと、専門特化しないで満遍なくやれる方が役に立つ、みたいなことはあるかもです。入管関係とかなら都内で、外国人多い地域でやるとかそういう戦略ですよね。戦略によって、どこで何を売りにして事務所出すか、仕事もらいやすいか、って考えながらやる、って感じになることは多いですよね。自分の場合は地元愛が強くてですね、地元で特化してやりたいな、ってのがあって、こうなりましたけど。
 僕が今やってる役は、東京にいったん出て、そこでインターン的に法律系の事務所で経験積んで、そこから地元に戻って開業、って設定にしてるんです。若山さんはどこか事務所にお勤めになったりとかはなかったんですか?
若山さん や、ないですないです。
 じゃあ資格取って、段取り整えてすぐ開業、ってされたんですか?
若山さん そうです、そういうことです。
 なるほど、すごいな・・・あの、若山さん一番最初に「自分の話で役に立つのかわからない」っておっしゃってましたけど、今僕の中ではリアリティの高いものがどんどん積み上がって助かってます。
若山さん ほんとに!?ねぇ!!笑
 笑!
 作中で、それこそ人とのコミュニケーションの計り方みたいな、人との距離、みたいなものをどうとらえるか、っていうところで少し考えるところがあって。仲良い、みたいなことも、仕事の付き合い、みたいなことも、どういう距離感で人と接するかっていうのが結構大きなポイントで、あるよな、と思ってて。あと、行政書士というお仕事自体、仕事内容が多岐に渡りすぎていて、僕に取って身近でもないですし、人物像にどう影響してるかっていうところがわからない、サンプル数も少ないし、っていう中で、「こういうふうに捉えていくことができるのか」っていう発見があって、今すごく助かってます。
若山さん お客さんが「行政書士」に対してどういうイメージを持ってるか、行政書士ってどういう人なの?弁護士さん的な堅いアレでしょ?みたいな、そういうところに合わせていくのか、でも自分みたいな全く関係ないところから出てきた奴もいるし、一般的なイメージ?と、役の人となりを擦り合わせていくの大変そうですね、その作品。
 外国人が多く住む街の行政書士さんという役なので、外国の方に仕事で関わることも多い分、ちょっと面倒な思いもたくさんしてきたのかな、という感じなんですよね。応援する気持ちはないわけではなくて、でも無条件で外国人の人の味方、みたいに来られると、ちょっと思うところもあって嫌味もぶつけちゃう、みたいな。
 そうなんですよ。だから、その街で経験した行政書士のお仕事が僕の役に影響してちょっと嫌なやつにさせてしまったのか、元々の性格でそうなっているのか、バランスだよなと思いつつのこれ難しいな、なんですけど。
若山さん 日本国籍を取りたいとか、日本で働きたい、となるとそこそこ日本語わかる外国人の方も多いとは思いますけどね。翻訳アプリ使ってやり取りする行政書士さんもいるらしいですよ。自分も入管業務に深く携わったわけじゃないのですごく詳しいわけではないんですが。
 行政書士さんの横のつながり、みたいなものはあるんですか?
若山さん 登録で、交付式っていうバッジもらうやつですね、そこに行った時に名刺交換したりとか、同じ年に合格した行政書士さんに何人か繋がりができたっていうのはありました。でも、本当に僕はこれからですね。試験自体去年の11月に受けたものの合格が、今年の1月に出たところなので。


行政書士さんの懐事情

 いくつかある難関資格の中で行政書士に惹かれた理由、とかはあるんでしょうか?
若山さん よくある話だとは思うんですけど、YouTubeかなんかの切り抜き動画で、見たんですよ。すごく稼いでる行政書士さんの動画。よくあるでしょ?そういうの。これからでもバイタリティあれば、こういう人に近づけるかも、っていうことがありましたね。
 ありますね!え、若山さんがご存知の中で、稼いでいらっしゃる方の年収とかってどのくらいの額になりますか?
若山さん 年商、っていう形だと、10億20億っていうのはありますよ普通に。会社の代表取締として、支店を置きながら、いろんな士業さんを関連事業の協力者として抱えながらっていう形で展開している場合、そのくらいの事業規模になってる代表さんは普通にいます。平均値ってなるともっといろんな働き方があるのでバラバラになって、500〜600万円くらいかとは思います。兼業でバイト的な行政書士さんもいますし、本当に資格持ってるだけ、っていう状態の人もいるんで。上と下のばらつきがすごいんで、正直あんまり当てにならない平均値かなー、とは思うんだけど。
 あと、もう一つ伺いたいのが、事業所で雇うスタッフさん、ってどのくらいいるのがリアリティありますかね?事務所を構えて、自分が代表で、っていう場合。
若山さん 人それぞれのやり方はありますけど、補助者って言われる人、アルバイト、パートさんですね、事務方のことお任せする人は3人くらいまでですかね。それ以上増やしても人件費だのなんだの、ってなりますから。会社大きくするために10人くらい入れるとかもなくはないんだけど、そこまで大変な思いしなくても、3人くらいいたら年商3000万円くらいは稼げるようになるかと思うんですよね。
 ああ、想像してたイメージに近い気がする、コンスタントにずっと携わってるメインの社員の方と、書面の補佐とか経理とかやってくれる人、で3人、ってなるとイメージ通り、です。
若山さん そうですね。全くそんな感じです。
 ふむぅ。
 あ、この顔は多分、今脳内で、自分の事務所の様子を描いてます、キムラくん。
若山さん どういう役で、どういう組織で、っていうイメージ、大事だと思います。
 今回本当に、自分の中にサンプルが全く、イメージもなくて。僕正直そんなに頭の出来がいいわけじゃなかったので、ほんとうにこの職種の人と関わりがなかったので、全然手がかりがなかったんです。今お話でひとつずつ足場ができていくようで、ありがたいです本当に。
若山さん 一つ聞いていいですか?役の設定的に、行政書士、っていうことなんですけど、性格というか、そもそもどういう人、っていう、そっち聞きたいです。大事じゃないですか。
 僕が演じる葉浦充っていう役は、脚本を素直に読むとこう、「嫌な人」になっちゃうんですよ。嫌味も言うし、人の嫌なところをいちいち見つけて、しかも口にも出しちゃう、という。でもこれが今お話し聞いてて、ただ一色に「性格の悪い奴」みたいにするんじゃないアプローチがちょっと見えてきたというか。そもそも行政書士というその、士業ですよね、その、ガワみたいなところでしか僕は役を捉えられてなかったんです。想像できてなかった、発想が豊かでなかったというか。この仕事を選んで地元に帰って開業するってとこもそうですし、脚本の中に登場するまでの段階みたいなものとか、単に嫌な奴というより「上手くない人」としての面、こじらせてる側面とかですね、そういうところを深めていけるといいな、と。
若山さん 行政書士って基本的に、人に優しくないとダメなんですよ。気がつく、気が回る、みたいな。でも、優しすぎてもダメなんです。例えば相続とかわかりやすいですよね。同情心とかで肩入れしちゃって中立が保てなくなるとかはダメなんで。それと同時に、営業って面を考えると、ちょっとずるいくらいがいい、っていうのもあって。外ヅラじゃないですけど、人と関わる時の顔ですよね。そういうのがあった上で、優しいところは必要ですね。
 作中で、ちょっと優しい面が出た時に周りが驚く、みたいなくだりがあります。基本俺こんくらい優しいよ?って言っても周りがピンと来てない、っていう。
若山さん ああ、いいですね。素敵な場面じゃないですか!
 あとですね、これは私が、っていうよりそんな声をどこかで聞いた、って感じなんですが、「こんな若くてイケメンの行政書士が独身なわけないだろう!」っていう説がありまして笑
 開業して5年くらいで、32歳とかそんなもんですね。設定的には。
若山さん いると思います。あの、手癖の悪い遊んでる士業の人ってのも全然いますんで笑
 なるほど笑。あの、32、3歳で、開業5年くらいで、っていうのは、たとえば大学入学当時から士業に向けて人生設計をしていた、と考えれば、そんなに無理はないものでしょうか?
若山さん ぜーんぜん無理ないですよ。法学部の大学生の頃から法律事務所でバイトする人とかもいるでしょうし、働きながら資格を取って、その間にお客さんと関係を作ってコネクションを持って、資格取得して独立、ってのは全然いると思います。まあ若いのは若いですけど、超スーパーマンってことじゃないとは思いますよ。
 そうなんですね、よかったよかった、リアリティが。
若山さん あと、行政書士って、公務員で20年くらい働いてると、試験受けなくても行政書士の資格を取れるんですよ。
 え!?そうなんですか!?知らなかったです!
若山さん 税理士さんもですね。会計士さんとか。年数があると、行政書士になれるっていう制度があるんですね。なので、定年した公務員さんが第二の人生として、副業くらいのペースでね、お小遣い程度に行政書士の仕事をやる、っていうのもあったりするんです、だから年収にしても年齢にしても中央値取りにくいんですよね。
 あの、たとえば弁護士さんとかは法学部出てロースクール行って、としないと受験資格すらないわけですけど、そう考えると意外と行政書士さんって間口の広い職業なんですね。懐が深いというか。
若山さん そうですね、それはそうだと思います。まぁ、弁護士さんが特殊すぎるっていうふうには思いますけどね。
 あと僕一つ伺いたいのが、同業他社さんについてはどう捉えていらっしゃるのかな、っていう。というのも、外国人が多く住んでるっていうの、僕の役の人がその土地で生まれて暮らしてる頃から、外国人の人はずっと、いるにはいるんですよ。ってことは、多分他にも行政書士さんがもうその街にはいるんだと思うんです。困った時には協力しあったりするんでしょうけど、新規開拓しないと後から参入した事務所はもう仕事取れない、ってなったりするんだろうか、と。
若山さん そういうレッドオーシャンで取り合いになってるような地域だと、ぼーっとしてたら仕事は取れないとは思います。でもさっき出てきたような建設業とか、農業とか、そこから派生していく業務ってのは絶対あると思うんですね。真っ向勝負でやっていくのではなく、何かワンクッション置いて、工夫して仕事をとりにいく意識はあると思いますよ。
 僕、作中に一番やり合うというか、そりが合わない相手がいるんですね。外国人相手のN P O法人で仕事をしている役で、そのN P Oの立ち上げに僕は関わっていた、っていう設定があるんですね。で、セリフに「俺けっこうあのN P Oの立ち上げやる気あったのよ、でもあいつめちゃくちゃで」みたいな愚痴を言うってのがあるんです。そこへのやる気、っていうのが、そうか開拓したかったってそういうことか!って今めっちゃ腑に落ちました。
若山さん あとN P Oって儲かるんだよね。
ハ・木 そうなんですか!?
若山さん N P O法人って、普通の会社より税金が安いから。簡単に言っちゃうと宗教法人と近いんだよね仕組みが。
 それこそN P O法人だったら立ち上げた後も、関わる外国人の方に関する派生業務全部もらえちゃったら美味しい、みたいなのもあるでしょうしね。
若山さん あとは顧問になるっていう手がありますね。社外取締役として入って定期収入としての契約を月いくらとかで結んで、何かあったら動いてあげる、みたいなね。
 なんかあった時のケツ持ちみたいなニュアンスですかね。
若山さん そうそうそうそう。法律関係のコンサル的な、アドバイザー的立場でね。
 いや、僕の役が、何を企んで、何にムカついたのか、その上でちゃんとやろうとしてたことまで、めっちゃよくわかりました。ほんとに、なるほどなー。
 若山さんのお話で、彼の役どころの劇中のセリフの意味がめちゃくちゃよくわかりました。そういうことだったのかー!と。
若山さん やー、お役に立てて、嬉しいです。
 最後の質問なんですが、この行政書士という役、なんとなくのイメージや、ステレオタイプの解釈で、行政書士というものがこんなふうに表現されたら嫌だな、っていうのがありましたらお聞かせください。
若山さん 逆に、演者が、行政書士という肩書きを、その役の人の人間性が垣間見えるとっかかりというか、味方につけられるような演じ方をしてほしいですね。性格、人間性ですよね。その人の人間性がね、ちゃんと見えてきたら、可愛いじゃないですか。
 そこですよねー、可愛いとか、ちゃんと愛されるとかは最終目的地にはあるんですよね。
若山さん うん、愛されないと。笑いにも涙にもならないですよね。ビジネス的な行政書士の一面なんて、チラッとセリフやなんかで垣間見えればそれでいいんじゃない?とも思うんで。人間性がどう見えてくるか、っていうとこの勝負なんじゃないですか?わかんないですけど笑
 今回はお夕飯時のお時間に、本当にありがとうございました。
若山さん お腹空きました!笑
 本当にありがとうございました、背中押された感じします。頑張ります!
若山さん 楽しみにしてますよ、頑張ってください!




フィクションの世界顔負けの努力とガッツで、見事行政書士に合格された若山さん。作品世界のお話と木村の演じる設定にずっと寄り添ったお話をしてくださって、本当にありがとうございました。行政書士は優しくないとダメ、という言葉の重みに、作中の葉浦さんのほんの少しの優しさが、味わい深く思えてきそうです。

若山さん、この10月に東京都稲城市で、行政書士事務所をご開業されたばかりとのことです。
お困りのことがおありでしたら、ぜひお問い合わせを!


取材先情報

ひらり行政書士事務所
代表 若山 慎
TEL 042-318-0450



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