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手放す意思決定

決めた、4回目の更新はしない。
米国CCE認定GCDF‐Japanキャリアカウンセラー資格の。

2012年2月に取得した。

「仕事に費やした時間だけがキャリアを作るのではなく、家事や育児、NPO活動、PTA活動、生きてきた時間がキャリアを作る」という考え方に救われたり、クランボルツの「計画的偶発性理論」が私自身の「荒れた」履歴書を肯定してくれると思えて心強かったり、資格によって就労の幅が広がるとかそういうことより何より、私を助けてくれた。離婚直後の時期だったこともあって、紹介してくれたC.Kさんに心より感謝している。

2015年、2018年、2021年、これまで3回更新してきた。更新には45時間の継続学習が必要だ。資格取得直後に横浜市で既卒3年以内の人を対象とした就労支援事業に就いたが、1年半ほどで辞して以降は就労・キャリア支援には携わっていない。それもあって、その年の新卒トレンドの話とか、(主に)大企業の人事向けのリカレント教育とかリスキリングの話、人生100年時代に備えた働き方の話、そういうものが右から左に抜けていく感じがあった。これは潮時だな。そう教えてくれるサインだったのかもしれない。

手放そうと決めた背景には、日本という社会の新卒主体の就職活動に対する問題意識もある。中学、高校、大学、卒業と同時に就職「しなければいけない」空気。就職「したい」と思って働きだす人って今、どのくらいいるのだろう。そして、新卒を受け入れて育てる(飼いならす?)ことに慣れている社会は、中途採用者を持てあます。新卒からずっと同じ職場しか知らない企業人たちは、自身を客観視できない。私はこの仕組み自体を疑問に思っているので、そういう仕組みに乗った就活や人事業務のサポートはできないし、仕組みを変えることに自分の時間を使いたい。

「就労・キャリア支援には携わっていない」と書いたが、2023年度に沖縄県内の大学で「キャリアデザイン論」「キャリア選択論」という産学連携授業に携わる機会があった。これはキャリア・カウンセラー資格を手放す意思決定の背中を押すものだったように思う。就職の前に、企業について、社会について、あるいは社会に出て働くということについて、具体的にイメージしたり体験したりする機会の可能性に触れることができた。そしてそれは「キャリア・カウンセラー」という資格がなくても作れる場だと感じたし、生きる選択のすべてが私たちの「キャリア」を形成するのであれば、「キャリア・カウンセラー」という名前で逆にそこに関わる人を限定してしまっている感のある仕組み自体にも改善の余地があるようにも思えた。

そもそも最初っから「一般的な」ルートで働き始めていない私。既成の履歴書には書ききれない転職を繰り返してきた私。そういう中で見えたこと、できたこと、感じたいたみ、それ全部が今の私を作っている。資格を手放すことはこれからの私にどんな要素を足すだろうか。


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