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節目、ふたたび

2017年4月から務めたNPO法人コミュニティ・オーガナイジング・ジャパン(COJ)を、2024年3月31日に卒業します。
出会い、関わり、エンパワーメントしてくださったすべてのみなさん、ほんとうにどうもありがとうございました!!!

卒業、と表現すること

思えば、前職の一般社団法人RCFを離れるときも「卒業」と言っていたような気がします。その前に何度も繰り返した転職の際は「退職」だったと思うので、そこにはきっと違いがあります。
それは、離れた後に関わりしろがあるかないか、あるいはあるといいなと思っているということかもしれません。
今、私はCOJとの関わりしろをなくしたくないなと思っていて、そう思える組織で働けていたことをしあわせに感じています。
そういう組織を一緒につくってきて、この先もつくっていくCOJのスタッフみんなを感謝し、リスペクトしています。

卒業の理由

2022年に拠点を東京から沖縄に移したときのnote記事に書いた希望をもとにこれからも活動していくことは変わりません。

沖縄には、現状を憂いて嘆くだけではなく、それを何とかしようとアクションする人がいっぱいいます。それは声を上げなければ自分たちの命が危ういという、危機感が強いせいもあると思うので、単純に「すごい!」と私が言っていいとは思っていません。でも勇気づけられるし、これが健全だと思います。

そういう人たちの存在と、私が運よく出会ったコミュニティ・オーガナイジング(CO)という手法と、COを学び実践するために頼りになりすぎるCOJコミュニティが掛け合わされることで、“復帰50年”は「とても祝う気になれない」節目となってしまったけれど、ここからの50年は確実な変化を求めていける時間にできるのではないかと、ものすごく個人的には希望を感じているのです。

「節目、を自分でるくる人生」

もうすぐ2年になる沖縄暮らしで、何にどうCOを生かせるのか、取り入れるタイミングとか取り入れ方とか、解像度は上がりました。
解像度が上がったのは、私自身が沖縄のコミュニティとどういう関わりを持ちたいかということについてもでした。
2022年5月末に沖縄に移ったけれど、COJでの仕事が中心だと、定期的に会う(オンラインでですが)メンバーは沖縄ではない場所で暮らし、働いています。そのコミュニティももちろん大切だし心地良いし、そこでたくさんのチャレンジをさせてもらってきました。
でもそこには、日常的に爆音をまき散らされる米軍機が飛んでいる空はないし、基地や政治のことを話したら気まずくなるかもだから黙っていようと思わされる島で暮らす距離感もありません。その感覚をわからずには何もできないと気付くことができたので、COJメインの働き方を卒業することを選びました。

これから

組織人としてはかなり身勝手に「卒業します。でも卒業しても関わらせてね」と言ってしまっているようなところがあり、不確定要素もあるのですが、COを学ぶ場づくり社会に変化を起こそうとする実践の伴走などは今後も続けていこうと思っています。

COJが2014年の団体創設から培ってきたノウハウ、一緒に場を作るコミュニティメンバーの広がりから学べることはほんとうに貴重なので、私は今後、それを伝え、必要としている人がアクセスできるようなコーディネートをしていきたいです。
場合によっては(特に沖縄県内では)私自身がCOJとの契約のもとで、場づくりと伴走をする予定です。

もしかしたらあまりCOの活用についてイメージがない方もお読みくださっているかもしれないので、以下に私なりの紹介をしてみます。

COを学ぶ場について

COを学ぶ場として、ワークショップがあります。一緒に誰と学ぶかという視点で、ワークショップは大きく2つにわけることができます。

  1. 活動テーマ/地域などバラバラで多様な人たちの集合型ワークショップ

  2. 自組織のメンバーでのワークショップ

1については、まずCOJが1年に数回実施している「COJ主催ワークショップ」がそれに当たります。自分の活動を客観視できる機会になったり、テーマや地域が違っても根っこで大事にしていること(価値観)は同じと気付いて、つながることができることにも気付く機会になります。そして「社会を変えたいって思っている人ってこんなにいるんだ!」と、私も関わるたびに感じ、エンパワーメントされます。1つの組織だけでのワークショップでは得られない、多様な人と一緒に社会を変えていく感覚がつかめる場とも言えます。

これを、「自分の活動地域で多様な人と」という開催の仕方もあり、その場合はCOJに相談ができます。過去に、東北3県(岩手・宮城・福島)、岡山県岡山市、福岡県久留米市、福島県、香川県などで行っています。
また「同じテーマで多様な人と」というバージョンもできます。これもぜひご相談ください。直近2023年11月~2024年1月に、沖縄県内でジェンダー平等に取り組む複数の企業・団体のみなさんと学びの場を作りました。

また、COJでの仕事で最も関わる機会が多かったと思う、労働組合のみなさんの学びの場もこのタイプです。自分の職業人生の中で、まったく縁のなかった労働組合に、こんなに深く関わるようになるとは全く想像していませんでした。労働組合にはいろんなリソースがあるので可能性も無限大だと感じますが、そこにはほんのちょっとだけでもテコ入れするといい場合が多いので、ぜひCOを労働組合の活動に取り入れてみてください!

2の自組織メンバーでのワークショップは、起こしたい変化に向かって誰が何をするのかを具体的に考え、実践するのに向いていると思います。こちらもCOJに相談し、ニーズ、予算、スケジュールに応じた場を一緒に作っていく感じです。おすすめは、全員ではなくても何人かがまず、1のCOJ主催ワークショップ等に参加し、その後自分たちのコミュニティに合わせてCOJと一緒にカスタマイズするという進め方です。

社会に変化を起こそうとする実践の伴走

私はこれからも沖縄県でのCOを学ぶ場づくりは積極的に取り組みたいのですが、それは「伴走」という意味合いが強いかもしれません。
上述のジェンダー平等実現セミナーも、「組織としては予算もついて体制も整っているが進まない」という状態を、具体的にどう前に進めるかということに焦点を当てました。
必要性はわかっているけれど忙しさで手が付けられず進まない、気になっているしモヤモヤもするけれど声を上げづらくて日々我慢している、そういうものって、一人だけでは、あるいは同じ思いだけど少数のコミュニティだけではなかなか前に進められません。
第三者の伴走があると、まず何からすると効果的かが見えたり、折れそうになる心を共有できたり、ゴールやルールが明文化されチームがもっと機能したりします。

COJに伴走を依頼する場合は、1のワークショップ受講が前提ですが、私はニーズに応じてどのようなことができるかご提案したり一緒に考えたりして、効果的な伴走にチャレンジできそうだと判断できれば実施したいと考えていますので、ご相談ください。

2024年度の活動の中心

最後に、COJメインの働き方から何がメインになるかのお話を少しだけ。

沖縄に拠点を移してからずっと、那覇市首里池端町のシェアオフィスを利用してきました。ここには、公益財団法人みらいファンド沖縄のオフィスもあり、その活動を常に横目に見ている(そんなにちゃんとではなかったですが)感じでした。

そういう距離感の中で、休眠預金事業に一緒に取り組む機会をいただき、走り出すところにいます。未知の部分が大きいですが、ヒアリングや調査データを通して、今沖縄にある課題のほとんどは沖縄戦やそのもっと前の琉球処分とか、琉球・沖縄がたどってきた歴史とつながることがどんどん見えてきて、それは当然、米軍基地が集中することとも絡んでいて、私がこれから取り組むことは、複雑に絡み合った糸を根気よく少しずつほどいていくことなのかもしれない、そんな風に感じています。

事業内容は書くと長くなるので、気になった方は4月中にもうちょっと詳しくみらいファンド沖縄のHPで見られるようになるので、よかったらご覧ください。

またくる節目に向けて

節目は節目ですが基本的に私は私だなと、なんかすごくそう思います。笑
先日琉球大学に行く機会がありました。卒業してからキャンパスには1~2回行ったと思いますが、卒業学部の建物(当時は「法文棟」と呼んでいたような。今は違う呼び方の模様)に入ったのは、卒業式以来でした。

2000年3月23日が確か卒業式だったので、それからおよそ四半世紀です。四半世紀経っても私の根本にある思いは変わっていません。

沖縄だけに集中する在日米軍基地を減らしたい。集中することで起こっているさまざまな問題を解決したい。

そこへのアプローチ方法、道筋、それらが見えなくて途方にくれる感じで沖縄を後にしたあのときの私が、時間はかかったけれど何かはできるかもしれないと思える状態で沖縄に帰ってこられた未来の自分を見たら(時制めちゃくちゃですがw)、「時間かけすぎ」とあきれるのか、「よかったね、ここまでこられて」と労ってくれるのかわかりませんが、今の私は少なくともポジティブです。

次にやってくる節目にもポジティブでいられるように、4月からも引き続き自転車こいでいきます。よろしくお願いします。

撮影はNOIPLUS株式会社の砂川和也さん

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