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池下慕情 回顧篇


池下 GURU×GURU

池下駅の北、錦通をワンブロック西へ行き
右に曲がればお店がある。駅にとても近い。
ゆっくりお酒が飲める、ありがたいお店。

いつものように「来ちゃった」と言おうか
ポケットのスマホを探っていると
道の向こうに背の高い人影が現れる。

あ。小形さんだ。
すぐに誰だかわかる。
にこやかに手を振る。

「やぁ。どうも、お久しぶりです」

小形さんは、うーん、と小さく唸りながら

「いやー、久々って感覚じゃあない…よね」

と言いつつ頭をかく。まぁ、確かに。

小形さんは先月、名古屋でのライブのため
鑪ら場に来てくれた。

そこから今まで、まったく会わないでいたら
おっしゃる通り「久しぶり」で問題ない。

しかし、私の方がライブを見に行っている。 それも福島の郡山まで。

自分でも行動に加減ができないあたりは
どうかしてるとは思う。

それに4日前にはYouTube生配信番組
「グッドナイト・レディオショー」を挟み
こちらへも、お便りを出している。

全くもって「ご無沙汰」だったり
「久々」という感覚は皆無なのだ。

うん、確かに。皆無なのだ。

小形さんはゆっくりと店へ入っていく。

ぼくは写真を撮ってから入る。

夜が始まる。 

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受付を済ませて、カウンター席の最前列へ。
今日は、稲垣俊夫さんとのツーマン。

開始前、会場を見やる。
顔馴染みの方が、真ん中テーブルにいる。
軽く会釈をする。

窓際の席のほうには
珍しくお子さんを連れた
お客さんもいらっしゃる。…ん?

一団の中に、見たことあるようなお顔が。
あちらさん、先月も確か、鑪ら場で…。

軽く会釈する。ああ、そうだ。

キンプリファン、ティアラの人だ。
キンプリ(髙橋海人さん)つながりで
今日も来てくれたのか。ありがたい。

一緒にいるのはご友人やご家族だろうか。
こどもたち、幼いうちから
ライブが見られて幸せだなぁ。
こちらも嬉しくなる。

顔を見たことある方は、先月のライブ以降
Xをフォローしてくれている。
名前は「まりさん」だと思う。
と思う、ってのは確信がないのだ。
だって、あの日は…

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

先月のことを思い出していたら
ライブでいつもお会いする
masa hayaさんが入店してきた。
最前列のテーブル席へ座る。

声をかける
「先月の鑪ら場ではどうもー」
「1ヶ月ぶりだねー」
聞かなくてもいいのに、聞いてみる
「んで、大丈夫でした?あの後」

意識していなかったようで、ハッとする
「ああ!もう!そうだった!」
照れ隠しなのか、私の二の腕あたりを
パシパシと軽く叩く。

「だいぶゴキゲンでしたよ?」
「ごめんね、迷惑かけちゃって」
「ほんと、見たことないくらい酔ってて…」「あれはね!ケケが悪い!テキーラのせい!」ケケとは、たけうちなおやさんのことだ。
尼ヶ坂で料理店をしている。
楽しく飲めると陽気になる。
朝まで話したりもする。

あの日、
馴染みのお客さんと
一緒の写真が残っていて
あまりにも幸せそうなので
しばらく待ち受けにしていた。

写真右が「ケケ」の店主 たけうちさん
ピンぼけでも伝わる多幸感
10/6は特に飯さんがヤバかった(最高だった)

「飯(めし)さんの、さーけ!酒!酒!って曲。
 あれ、超盛り上がりますよね」
「すごく楽しく酔っ払ったことは覚えてる…」

そう、masa hayaさんはあの日
見たことないくらい酔っていた。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

10/6のライブは異常な盛り上がりで
お客さんも演者さんもかなり酔っていた。
それはmasa hayaさんも例外なく…

ライブ演目終了後、客席にて談笑する。
この時、まりさんも同席していたと思う。
masa hayaさんはいつになく饒舌である。
しばらく、それとなしに様子を見ていく。
フワフワしていて目も座ってきたようだ。
「(う~ん、大丈夫…じゃなくない…?)」
ちょっと心配になり終電のルートを確認する。
折を見て、少し余裕もって会場を後に。
皆さんにサヨナラする。
(ティアラの人たちに
ちゃんとご挨拶ができなかったな…)
階段を登り、小形さんが見送ってくれる。
おのおの抱擁してバイバイする。

ああだ、こうだと言いながら
masa hayaさんと連れだって駅へ歩く。
駅に近づいたころ
「あれぇ?ライターない…」と言うので
地下鉄の入口横にあるコンビニ。
小銭をもらって店内へ。
手早くライターを探して、
酔い醒ましに飲む水と一緒に渡す。

吹上から名古屋まで地下鉄に揺られ
また、ライブの感想合戦をした後、
JRの改札まで送り届ける。
まだ歩けてるので、大丈夫…
大丈夫…、かなぁ…。
ホームの階段へ姿を消したのを見て
ほっとするも、今度は
自分も終電がギリギリである。
いかんいかん。と、近鉄へ急ぐ。
近鉄終電に乗り込んだあたりでDMがくる。
どうやら電車には間に合ったらしい。

よーしよしよし。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

と、まぁ。
こんな感じのあらましを話す。

「朝カバン見たら水入ってて驚いた」
「いや飲んでないんかい」
「飲みかけだったから「アレー?」って
 首をかしげて…、自分で買った?」
「買ったの僕ですよ。覚えてない?」
「あんまり。あと、覚えてないといえば
 見たことないライター入ってた。
 あれ?お金って…」
「小銭もらったからダイジョブですよ。
 ーんで、あれから帰れました?」
「帰れた!帰れた!ほんと、ありがとね」

同じ小形さんのファンとして、何か一つでも
役に立てたことが、私は嬉しいですよ。と
これは言葉にならず、こう声になる

「やぁ、楽しかったですよ」

また、腕のあたりをペシペシ叩かれる。

友人がいることは、時に心強くて
かえって自分が支えられている。

本当にありがとうね。

ステージには稲垣俊夫さんがスタンバイ。

ライブが始まる。

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稲垣俊夫さん

小形さんと出会ってからだいぶ長いという。 

優しい歌声で、ギターをつま弾く。
ハーモニカが温かさも切なさも
豊かな風情に色を付けて連れてくる。

ところで…、稲垣さんのライブ
自分は、どこで聴いたのか?

絶対に聴いてるよね。
けど多分、お声がけはしたことない。
だけれども、曲は聞き覚えあるし。
初めましてじゃないのは分かる。
谷澤さんと共演…?いや違うな
うろ覚えだ。

楽曲の記憶をたどる。
歌声が呼び覚ます。

ああそうだ。思い出した。
昨年の12月だ。しかも場所は
同じGURU×GURUだったじゃないか。
対バンは小形さんだったじゃないか。

記憶ってのは曖昧なもので、
大切な物事をすっかり忘れてしまう。
だけど、きっかけがあると
たちまちに思い出すんだから不思議だ。

稲垣さんの優しい歌声の響きが
思い出を連れてきてくれた。

昨年の共演は、今日と同じように
年内に見る小形さん最後のライブだった。
ふむ、1年とは長くて早いものだ。

自分は錆びついたりしていないだろうか。
しみじみと思いにふける。曲が沁みる。

優しさに包まれる時間が流れ、夜に感謝する。

ライブ後に、お声がけしてCDをゲットする。
クリスマスにちなんだ歌も収録されている。
今の時期にとてもあう1枚である。
リピートして聴いている。

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グッナイ小形さん

ぐっと地に足着いた演奏。
今日は、お酒に飲まれることも
会場の雰囲気に飲まれることもなく
よく声が伸び、腕も動いている。

 後にレディオショーでも語ってくれたが
「子どもに見られるのがいま一番緊張する」
ということらしい。よい緊張感だったようだ。

たっぷり10曲と、アンコールに
小形さんは「ちいさなお客様へ」と
『きみが大人になったら』を演奏。

温かいステージ、温かい会場となる。

素晴らしかった。

お隣さんは最初から最後まで泣いていた。

かく言う、私も似たようなものだった。 

グッナイ小形さん

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全ての演目終了後、物販にて。

まりさんは小形さんとお話ししている
どうやら前回、ライブの後に
物販を買えず仕舞いだったみたい。
今回CDにサインをもらいつつ
ゆっくり話ができている様子だ。
とてもうれしそう。良かった。

masa hayaさんと話しながら
小形さんの新しいアイテムを発見する。
尖さくらさん、小形さんの奥さんの
手描きのTシャツ。
ホワイトとグレーがある。

どれも手描きだから微妙に違っていて
グレーとホワイトとでは
デザインが全く異なっている。

masa hayaさんはホワイトを手に取る。
私は1点のみのグレーを。
また、嬉しい品をゲットしてしまった…。

小形さんは、サインを書き終えたCDを
まりさんに手渡してお礼を言った後
私たちに向き直る。

「そうだそうだ、お二人に渡すものが…」
と、荷物を掻き分けてファイルを取り出す。
そこから二人に、それぞれ手紙を差し出す。

正確には、奥さん
尖さくらさんからの手紙だった。

日頃の感謝について、それから
息子「湖太郎」くんも、いずれは
東京や名古屋のライブに連れていきたい旨が
優しい文字でしたためられている。

大切な思いが伝わってくる。
じんわりと熱くなる。

2人のお子さん連れのお客さんが来る。
聞くと、まりさんのご友人だという。
小学生の女の子が、小形さん大好きらしい。
4種類全部のCDをねだる女の子。
1枚ずつにしたら?と促すお母さん。
イヤ、と譲らない女の子。
小形さんは、4種類のCDにサインをして
女の子へ渡す。
「それからね、これも…」
と、ピックにサインをして手渡す。
「弾いていたから傷ができてるんだよ」と
ピックの角を指差しながら教えている。

弟だろうか、男の子が小形さんの前に来る。
つやつやの綺麗な髪をしている。
眼鏡の奥の丸い瞳も、キラキラしている。
そっと頬を優しく撫でる。

「来てくれてありがとう」


その後、店主さんが場を整えてくださり

皆が話せるよう机をセッティングしてくれた。

柔らかで愛おしい時間に立ち合う。

稲垣さんとも、ちゃんとお話ができた。

前回お会いした時は髪が長くて
多分別人に見えていたと思うと伝えると、
彼も思い出せたようで合点がいった様子。

なんだかスッキリしました。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

楽しい時間はすぎ、別れの時。

写真撮る人を撮るのがスキー

店先で小形さんへ聞いてみる
「次、名古屋はまだ決まってない感じです?」
「あっ、そうか。名古屋は今日で最後か」
masa hayaさんも小形へ声をかける
「そっか。じゃあ、また来年だね!」
「そうですねー…
 いや、今年もいっぱいお世話になって
 ほんと、ありがとうございます…」
小形さんは深々とお礼をして
軽く皆とハグする。

別れしなに
「じゃあ、また来年!よいお年を!」
と、私が言いつつ手を振ると
小形さんも、はにかみながら手を振る。
何かを言いたげな顔だったのが
ちょっと気になったが
その答えはすぐに判明する。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

11/21(火)

グッドナイト・レディオショー

お便り「はぐぱぱ」さんです~

「…あと1ヶ月あまりで、
 今年も終わってしまいますね。
 「また来年!」と、ライブの
 別れしなに言いましたが、
 考えてみればレディオショーもあるので
 ちょっと気が早かったかなと思います。…」

小形さん
「まぁ、「また来年」と
 おっしゃってますけれどもね
 はぐぱぱさんは、また会いそうですね。
 …年内にね。フフフ…」




アッハッハ



バレてる。



じゃあ、12月もお楽しみに。






おしまい



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