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02:知れば知るほど面白いクリスチャニアのあれこれ

日本に戻ってきた。デンマークでは、寒さでブルブル震えていたのに、東京は半袖でも、うっすらと汗をかくくらい。前回の記事で、クリスチャニアについて書いたが、まだまだ書ききれなかった話があるので、今回は続編として書いてみた。

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静かにメッセージを伝えるカタツムリのオブジェ

クリスチャニアに入ってすぐ左にカタツムリのオブジェがひっそりとある。それはクリスチャニアの人たちが大切にしている、”ゆっくり行こうぜ”という考え方を表している。都会では、みんな時間を気にして、時間に追われ、あくせくとして、何もかもがせわしない。そんな生き方じゃなくて、もっとゆっくり、のんびり、楽しんで行こうぜ。そういうメッセージを訪れる人に伝えている。

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クリスチャニアはリサイクル上手であり、環境意識が高い街

クリスチャニアには、リサイクルステーションが入ってすぐのところにある。位置的には、先ほどのカタツムリのすぐ横だ。ステーションとなっている建物は、コペンハーゲンで壊される予定だった建物を「待って待って、僕らにちょうだい」と言って譲り受けたもの。上の写真がその建物。屋根には自分たちで太陽光パネルも設置して発電している。クリスチャニアの人たちは環境意識が高く、上手に資源を再利用して暮らしている。

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必要なものは極力、自分たちで作る

クリスチャニアの人たちは、自分たちで好きなようにモノを作る。家も自分で作る人もいる。街の中には軍の倉庫をDIYショップにしたところがある。木材、ドア、ガラスなど色んな建材が並べてある。しかも、それらは新品ではなく、コペンハーゲンなどで廃棄されているものを入手してきたものが多い。捨てられる予定のもの、捨てられているものをもらい受け、販売して再利用する。デンマークではゴミはゴミではなく、大切な資源なのだ。

またDIYをする際の工具は、一家に一台ではなく、リサイクルステーションにあるので、必要な時に借りて利用する。「年に数回使うかどうか分からないものをわざわざ、1人ひとりが買って所有する必要ないよね、シェアすれば事足りるのさ。」とピエロさんは言うが、本当にその通りだと思った。そして、それが気軽にできるのは、クリスチャニアがシェアしあえるコミュニティーになっているからだと感じた。

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颯爽と逃げるクリスチャニアの売人

クリスチャニアにはプッシャーストリート(pusher street)という場所があり、大麻などはそこでしか売ることが出来ない。その場所は写真撮影禁止なので、写真でお伝えすることは出来ないが、道の両脇に演台のようなものを出し、その上に大麻などを並べて売っているお兄さんたちが何人もいる。

プッシャーストリートは15m〜20mくらい続いているのだが、両側にそれぞれ7〜8人はいたと思うので、色んなお兄さんの中からお好みの人、お好みの商品を買い求めることができる。

ちなみに1日数回、警察が巡回に来るようで、その時はお兄さんたちはリュックにササッと手際よく品物を片付けて、その場を立ち去る。立ち去って、歩き始めた瞬間の写真が上のもの。突然、リュックを背負ったお兄さんたちが方々に散って、歩いたり走っていく様は、ちょっと滑稽だった。

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みんな顔見知りだぜ

クリスチャニアはおよそ800人の人たちが住んでいるが、驚くことに、お互いにほぼ顔見知りだとピエロさんは言う。ピエロさんだけが、特別にそんなことが出来ているのかと思ったが、クリスチャニアに住んでいる人たち同士が顔見知りである理由があるそうだ。それは、クリスチャニアに住んでいる人しか出来ないことがいくつかあるからだ。

例えば、クリスチャニアでは、大麻などのクスリを売れる人はクリスチャニアに住んでいる人だけに限られている。住民同士、お互いに顔見知りだから、知らない外の人が売りに来たらすぐ分かるから、追い出すことが出来るとのこと。

また、DIYショップで売られている大きな建材も住民しか買い求めることが出来ないが、それも顔見知りだから、よそ者が買おうとすると分かるとのこと。販売許可証とか、住民カードとかではなく、顔で認識しているところが、アナログで、ちょっとすごい。でも、そこに何だかクリスチャニアっぽさを感じる。

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クリスチャニアの人たちもちゃんと国の保障が受けられる

クリスチャニアの人たちは働いていて、全員、国に税金を支払っている。だから、大麻などデンマークで違法なことを楽しみながらも、デンマークの社会保障をちゃんと受けられるのだ。ちなみに大麻などを売って得た収益分の税金も支払うよとクリスチャニアは国に提案したこともあるそうだが、それは受け取れないとなったとか。

また、クリスチャニアでは公共費を設定していて、建物管理費やゴミの管理などに使用している。住民のおよそ90%くらいの人たちが支払っている。強制徴収ということは行なっておらず、対面でのコミュニケーションを中心にリマインドされたりして、ゆるやかに回収が進むらしい。ここもカタツムリな精神が関係していそう。

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クリスチャニアは、オーガニック

クリスチャニアは、オーガニック大国のデンマークの中でも、いち早くオーガニックに取り組み始めた街の一つ。クリスチャニアの人たちの多くは身体に優しく、地球に優しい取り組みに関心が高い。

リサイクル、リユースもそうだが、食に対しても意識が高いクリスチャニアの、こういう話を一つ一つ聞かずに、ただふらっと街を訪れて見てまわっただけだと、そういう側面に観光客はなかなか気づけないのではないだろうかと思う。

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自分の名前から旗をデザインする

クリスチャニアには独自の旗がある。それが上の写真にある旗だ。真っ赤な旗に黄色いドットが3つ。その意味するところは、クリスチャニアの文字、スペルにある。クリスチャニアはアルファベットで、”Christinia” と書くが、3つの”i”のドットをモチーフにしてデザインされている。

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クリスチャニアで女の子を口説く方法!?

クリスチャニアには世界中からたくさんの観光客が訪れる。お昼からお酒を飲んで楽しんでいる人たちもたくさんいるけれど、夜は夜で盛り上がる。そんなクリスチャニアでの、女の子の口説き方をピエロさんが教えてくれた。

それはたくさんお酒を飲むこと。とにかく飲んで、楽しい感じにならないとダメとのこと。お酒を飲めない人は、口の周りにビールの泡でも付けてれば、かろうじてチャンスがあるよ。試してみてね。とのことだった。その真相はいかに…。

                           (文・写真:小寺 毅)

自分の生き方、これからの社会について想いをめぐらす旅:デンマークのブログシリーズ

01:デンマークの楽園“クリスチャニア”

02:知れば知るほど面白い クリスチャニアのあれこれ

03:アブサロン。”違い”との向き合い方が人生の質を高める

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