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永遠爆裂轟音童貞魂

君でいいや、じゃなくて君がいいの!
ねえ、君だけがいいの!
こんなこと言うの、君だけよ。 

恋よりも深く、愛よりも近しい。

photo けいちゃん


あのね、私たち桜の季節に呪いをかけるって決めたの。
ケタケタ笑う春の夜風、生活が見えない女の子が多い中、君だけはちゃんと地に足が着いていた、生活が見える女の子だった。

初恋は、どう考えても鈴木君じゃなくってあの子で。 
やっぱり、どう考えても恋を越えた泥沼みたいな全てを教えてくれたのはあの子だった。
まだ消化し切れていない。
成人式の日、来なかったね。私は地元に友達なんて多くないし、本当はあなた以外興味なかった。
色とりどりのカラフルを掻き分けて、会いたかったのはあなた、ただ1人なんだよ。
どうだって良かった。野球部の元彼と写真を撮って馬鹿にされたって、本当はどうだって良かった。
私はもう一度、もう一度あなたに会いたかった。
私だけなのなんて知ってるよ。
知っていたから中央公園でメッセージを送ってから消した。


あなたは、最悪。
もう中学校の時の記憶しかないよ、隠れた八重歯、舌足らずな声で誰にでも「特別」と言う。
私は初めてだったのに、そっちは初めてのキスじゃなかったじゃん。そういうずるい子、遠き山に日は落ちて、あの日の夕暮れの赤い空と手を温めたココアの缶、泣きそうな目、伏せた時のまつ毛の束とまだ傷付くことを知らないなめらかで柔らかなほっぺた、彼氏の話を直ぐにする貴方の可愛い口が大嫌いだった。

あの感情に名前なんてなかったから、嫉妬だって思っていた、世間知らずでドジが多くて抜けていて、でもちゃんと計算高くてあざとくて、私のことが大好きだった貴方に、生まれ変わったらもう一度会いたい。


貴方の中では消え去ったかもしれないけどあの日のまんま、私の中では永遠になっちゃったんだよ。
この話、普通に傷付くから誰にもしてない交換日記、私が全部もっていて悔しい。
二重のりも、色付きリップも、アシメカットも靴下の長さも何もかも教えてあげたの私だったじゃん。
自転車で突き抜ける疾風、駅前のロータリーとクレープ屋さん、いちごクレープ生クリーム38kg、あの日教えてくれた体重が、勝ち誇って自慢してくれた幼さを信じていつか私は拒食症になった。
あの子のgを越えた後、歯止めが効かなくなっておかしくなった呪いみたい、自分でかけたのに忘れられない。
人は声から忘れていくのに、今でもたまに思い出すよ。
永遠になっちゃったトラウマ、夢みたいに悔しいぐらい、悔しいぐらい忘れられない女の子。
誰だっていいくせに、本当は男の子が一番好きなくせに、君しかいないよって掴んできた細い腕、今も忘れらんないの、きもちわるいよね。

女の子って生きているだけで誰かのファムファタールで、トラウマで、私の中のチョロい童貞がいつも悶えてる。
「あの子に彼氏が居ませんように!!!!!!」
を、叫ぶ程汗ばんだ無惨な期待は灰と化す。
「あの子がセックスした事ありませんように!!!!!」
人への期待は単なる押し付けがましい不躾なエゴで、その不可解な感情は世の中の正解は正しい「恋人」を作ることで解消されることが多く、アイデンティティの確立がまだ怪しい10代は多くの感情を、同性に求める経験が多いとされる。
そんな解説じゃ浄化できないぐらい燻る純情暴走少年を持て余して、一体どうしたらいいんだ。

初めて偶像に遭遇したあの冬、体中を突き抜けるような淡い電流が走った。
あまりの甘さにクラクラ時空が歪んだ。濃厚さに喉の奥が干上がった。
美しいものに、輝くものにこの汚れた手を伸ばせない、後光、女のコは誰しも女神だと思った。

女のコから永久的に目が離せない。
癖になる、その世界に引き摺られたい。引き摺って欲しい。


少女性が苦しい。内面的なものでも外面的なものでも、筆舌に尽くしがたい。
永遠じゃない物、儚く消え散るもの、人だって物だって、この世界のありとあらゆるもの達が数秒後には形を変え続けている。その中でも強烈な輝きを散らしながら目を吸い寄せられて離さないもの。
胸の鼓動を繰り返して、揺らして、呼吸を繰り返して同じ終末へと向かう者。

ねぇ、日月ちゃん。
日月ちゃんと言う女の子に出会ったあの夜から、私はずっと幸せだったよ。
去り際の美しさ、立つ鳥の跡を濁さなさ、卒業式に大きな花束を大好きなバスケ部のあこがれの女の先輩に渡すイノセントがあるのならきっとあのような感覚であっただろう。
少女は立ち去った日から永遠に少女のままで、その後の事なんて誰も知らない。
永遠の夢を与えてくれた彼女が愛おしい。
やっぱり彼女は、その他大勢なんて興味すら無かった。そうでしょう?
自分の外面しかなぞったことがない人間になんて最初から興味が無くて、
新学期、全校生徒の前でスピーチをする彼女の小さい姿を見掛けた僕が、彼女の輪郭を忘れられずに誰もいない部室、放課後、1人君の偶像を描いてる、貴方はそんな人間にしか興味がない。
強引に近寄ってきて、その手を掴んで爪痕が残るまで離さないのだ。
怪しい笑みに忘れられない口付け、彼女はずっとそういう女の子であった。そうでしょう?日月ちゃん。


朝の光よりも、夕方の傾いた部室の橙色の方が余程似合う日月ちゃん、ずっと片想いをさせてくれて、これからもさせ続けてくれてありがとう。
正しい命の終わらせ方、今の私じゃ死ぬことしか思い浮かばないよ。

望月めるちゃんは20歳で死んだ。
シド・ヴィシャスは21歳で死んだ。
八本脚の蝶の二階堂奥歯は25歳で死んだ。
カート・コバーンは27歳で死んだ。
みんなみんな、物語の進め方が分からなくなったのかもしれない。
半永久的に命が尽きるまで平凡が続く、目覚めると狂気の中、狂う事の恐ろしさよりも、目が覚めてしまったのに閉じるまで狂気が続くことを恐れたのだと思う。
今の私だったら、26歳の春になる前に自分の棺桶の前で大量の過去の写真と花に包まれる展示しか出来ないよ、でもそれは多分正しくないし、正しい命の使い方では無いし、何よりも崇高で気高い育実に最大の失礼にあたる、そうでしょう?

先の見えない薄闇の中、ぼんやりとした白い手に導かれ悩みながらも足を停めずにいる。
たまにある、嘘みたいに明るい光に救われながら、なんとか、何とかこの命の使い方を考えながら歩みを停めずにいる。


「えっちだってしたのに、ふざけんな!」
育実ちゃんの本質は、みんなの好きな育実ちゃんは我儘で、それはもう面倒臭くて、大事な場面で簡単に涙を流すことで許されちゃうずるい女の子。
いつも何かしらの存在がいて、それを巧みに隠しながらもちゃんと利用している強欲な女の子。
あまりにも強いふたつの目で僕を覗き込むから、目が離せないから、僕の事を好きなのかもしれない!と思った瞬間興味を失せられ、僕の両の腕は力の行き場をなくして宙ぶらりんになる、育実ちゃんは弱くて欲に弱くて、あざとくて涙がよく似合って、それでいてとってもとっても強い女の中の女の子、そうでしょう?
気難しくて気ままで気弱で、それでいてとっても強い光の目を持った女の子、ねぇ私を好きな人達、そうでしょう?


肉体はあげても心だけは君達になんか絶対に渡さない。
君たちは、永遠に私の心なんて手に入れられない。
育実ちゃんは、私と一緒に終わりの終わりまで走り続けるんだから。
君達に甘い蜜なんて吸わせたとて、渡さないよ。
最後のその瞬間まで育実ちゃんと共に狂う事を、生涯誓っちゃったからね。
君たちが掴もうとしても永遠に手の届かない強い光を宿すことをこの御心に誓うよ。
どうする?もう目、離せないでしょ。

あなたが掛けてくれた優しい呪い、最後まで一緒に走り抜けさせてね。愛おしい人
私あなたの為だったらなんだってなれるよ。どんな女の子でだっていられるよ。
あの日、私の名前を呼んでくれたあの日から、私はずっと迷いながらも強い「育実」だよ。
まだまだ夢を見ていたいよ。
まだまだ夢を見させて居てね。
沢山世界に、魔法と呪い、掛けちゃおうよ。
ひとりじゃない、2人だもん。
ねぇ、大好きだよ。

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