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服の設計士hagyの「服の見どころ・腕の見せどころ」vol.25~スラックスの目の付けどころ~

最近めっきり秋めいてきましたね
みなさまいかがお過ごしでしょうか
わたくしでしたら、先日、インドにしか売ってないスパイスが入ってるカレーを食べてお腹の急降下をくらってしまいました…
いやぁインドのスパイスおそるべしw

はじめてのご覧の方、このnoteはパタンナーつまり型紙設計士である自分の「服に対する視点」を紹介しています
これを読んでいただき、服の選び方が少しでも変われば幸いかと存じます

さて今回は

スラックスの目の付けどころ

ジーパンとかチノパンの作りはメーカーごとであまり差が出ないので
いちばん差が出やすいスラックスを見て行きたいと思います

↑のどこを見ているか簡単なところを説明していきます

まずは

ポケットの中にある小さいポケット
コインポケットとか忍びポケットとか言いますね
これがあると小銭がポケットの中で暴れなかったり、カードがスッポリ収まったり意外と便利です

次は

裏地がついてますね
これは滑りを良くするためや、ウールでチクチクするのを防ぐために付けます
モノによっては後ろにも付けます

そして

股底のこれ
シックと呼ばれるものです
これはスラックス本体の股底の摩耗を防ぐために付けます
シックは擦り減っても交換すれば大丈夫ですから、交換することで長くスラックスを履くことができます

このように簡単な作りのものもあります
ただこの形だと交換するのは一苦労なんですけどね…
股底の補強が主な目的ですね

さらに見ていきます

ウエストの裏にある綿の帯、マーベルトと呼ばれるものです
これもシックと同様の目的で付けます(摩耗防止、交換)
そしてよく見ていただきたいのが◯の部分
タックを作ってマーベルトに運動量をもたせ、マーベルトが突っ張るのを防いでいます
タックまでつけているメーカーは少ないと思います(手間がかかりますからね)

あとタックの裾が動かないように各部で留めつけます
やり方としていちばん多いパターンが画像のように、各ポケットの袋にタッキング(ボタン付けみたいに縫い付け)、後ろ中心のところをまつり縫いですね

つづいて

前あきの裏側、天狗と呼ばれるパーツです
その端の処理
画像のように白い布の端を折り込む方法が綺麗に見えます
それに対して

↑これはロックで処理しているのですが、折り込むほうが綺麗ですよね

次が後ろ中心の縫い目

ここを拡大すると

わかりますでしょうか?
二回重ねて縫っています(二度縫い)
ここの部分はいちばん縫い目が裂けてはいけない、かつテンションのかかる部分なので二度縫いします
安い作りのスラックス・パンツは二度縫いしていないものがあったりします

次が最後で

ここの縫い代の幅なんですが、後ろの方が太くなっています
これはスラックスをちょっと太くする、お直し用に後ろだけ幅広になっています(他の理由も聞いたことあるのですが、個人的にはこの理由がいちばん合理的だと思います)

以上、画像多めで見てきましたが、いかがでしたでしょうか?
良い作りのスラックスは、長く履けるように色々工夫されて作られているのがお分かり頂けたかと思います

最初のツイートのように有名な海外ブランドだからと言って良い作りとは限らないので、購入の際は色々チェックして見て下さい

それでは最後までご覧いただきありがとうございました


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