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任天堂さんを見習いたい。

任天堂、突然のカービィ新作発売にネット騒然 「奇襲しすぎじゃない?」

任天堂は18日に『スーパーマリオ3Dコレクション』発売、24日にNintendo Switch用ソフト『カービィファイターズ2』を配信した。マリオは発売予定日の2週間前、カービィは当日にアナウンスがあったため消費者を驚かせた。


 このニュースを見て私は「いいぞ!もっとやれ!!」と感じた。その理由を3つに分けてだらだら喋る。なお、私は発売されたソフトを購入する気もなく、任天堂社員でもない。

下記文章内に出てくる単語の定義は以下とする。
 優良ユーザ(DLコンテンツへの課金や同シリーズを欠かさず購入)
 無害ユーザ(無課金〜微課金。バグなどもメールで教えてくれる)
 有害ユーザ(無課金または購入せず動画配信で見るだけ。気に入らないことに対して会社にクレームの電話)


①発売予定日を設定(公表)しない賢さ

 私は社内SE(たまに開発)として働いているが、この世で一番めんどくさいのが「予定を守ること」だと思っている。

「納期に間に合いません!」
「これ請求時期過ぎてません?」
「契約の内容と違うと問い合わせが来てます!」

 S○ftBankとか富○通とリース契約とかしてるとマジでよく聞く。そして関係者が対応に追われる。振込時期がズレれば評価に繋がり、大きいものであれば部署自体に迷惑をかける。胃をキリキリさせながら予定にない残業に勤しむ。クソだ。

 ただ、正直このような状況に陥ることはBtoB系では割とある話だし、だからこそBtoC系には避けて通って欲しい道。

 BtoC系に限っては発売日(リリース日)をアナウンスしてしまったことが原因。「この製品をこれだけの開発期間で作るのは早い(すごい)」と思えるユーザなんてせいぜい全体の1割ぐらいで、逆に期限に遅れた場合は理由があろうと全てのユーザがマイナスイメージを抱いても不思議ではない。背負う必要のないリスクを生み出すこと自体が無駄だ。


②ユーザは購入することしかできない

 ユーザを軽視した発言では決してない。むしろユーザの購入数、課金頻度(今はYoutubeなどの動画投稿数も含まれそう)などは開発した成果物にどれくらいの価値があるかわかる。収益だけではなく、次の作品を作る場合には費用対効果として開発人員調整の指針や内容の改善など取れるデータも多い。もちろんYoutubeなどのゲーム配信で人目を引いたりなど一般ユーザ(消費者)でも販促活動の一環になることは容易に想像でき、口コミサイトなどの乱立やSNSの普及も踏まえるとユーザを無視した開発は自滅行為でしかないと言える。
 だがしかしbutこのような前置きをしたとしても「ユーザは購入すること以外何もできない」という事実は変わらない。
 例えば子供たちが映画館でプリキュアを応援するのと同じように開発担当社員を応援することはきっとないし、応援が届いて工数が1.5人日程度減れば大成功。だが2日程度早まったところでユーザにとっては微々たる差でしかない。発売日を事前に告知しても結局、発売後の購入数が大切なのは変わらない。ファンやお金に余裕がある人は購入するし、DLコンテンツなど継続的な収益獲得手段があるソフトであれば優良ユーザ(課金や同シリーズを継続して購入しているなど)をメインターゲットにしてもいいと思う。個人的には任天堂さんは作品を知らなくても手を出しやすいコンテンツが多いし、逆に根強いファンも多いと思うからなおさら。


 


③会社組織としての動きやすさ

(設計から開発まで全て自社・駐在社員なしで行っている場合)

一般的な組織形態として
①プロジェクトにアサインされる→②チームを組んで着手→③完了→④解散
以上の流れをサイクルとして回していくのが基本的な動きだと思う。これを組織単位で行うと社員それぞれのスケジュールは下のようになる。


 aさん:①→②→→→③→④→①→②→→→③→④=(Aチーム→Dチーム
 bさん:①→②→→③→④→①→②→③→④   =(Bチーム→Eチーム
 cさん:①→②→③→④→休暇①→②→→③→④ =(Cチーム→Fチーム
 dさん:①→②→→→③→④→①→②→→③→④ =(Aチーム→Fチーム
 eさん:①→②→→③→④休暇①→②→→→③→④=(Bチーム→Dチーム
 fさん:①→②→③→④→休①→②→③→④   =(Cチーム→Eチーム

発売日を公表していた場合、例えばAチームの開発が遅れると
・D、Fチームの開発着手が遅れてしまう。
・D、Fに参加予定だったcさんとfさんがヘルプで入る可能性が出てくる。
 →Aチームのプロジェクトにて必要なスキルがc、fさんにない場合は意味がない。

 こういう問題はどこの会社でも起きてそうだが、最後には管理職が 「メンバーを縮小させ、延期期間を延ばす」か「他プロジェクトに影響は出るが、延期期間を最短で済むようにする」の2択を判断することになるのだろう。

 もちろん公表してない場合でも他の案件との兼ね合いを考慮しなければいけないが、締め切りを設定しないことでAをフルメンバーで継続させるべきか、一部機能を外部へ委託してメンバー削減など冷静に考えられる時間が作れることは大きい。

 人間が考えて動いている以上、期限を設けることはある種の着火剤にもなるが、障害が起きた時点で爆弾に変わるようなものは現代において無くなるべきだと思う。

 

 
結論:「発売日をアナウンスすることはデメリットが多すぎる」ということ。

 発売日をアナウンスすることは自分の首を絞めることと同じであり、納期を守るためにクオリティの伸びを抑えてしまう。納期遅れは世間からの信用を落とし、社員にかかる負担は増える。
 思い当たるメリットとしては金銭的に余裕のない人にお金を準備させる期間を与えるぐらいだが、発売後のデータから優良〜無害ユーザ層でどれくらい利益が出るかを集計して自作に活かせば良いし、そこで有害ユーザも視野に入れないと必要な利益が確保できないのであればそのコンテンツは潰すべき負債案件である。

 
 私は告知からリリースまでの期間を「ユーザに考えさせてしまう時間」だと考えている。期間が長ければ長いほど与えた情報から勝手に考察して期待度を上げる。発想が飛躍し続けていることに気づかないまま発売後、体験後に低い評価をつける。

 良い物が発売されたらうれしい!不具合が直れば使いやすい!
 これでいい。告知する必要なんてない。

 このままサイレントリリースが基準になるような世界にならないかな。


終わり

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