義弟のこと②

今週の月曜日、奥さんは弟(私にとっての義弟)の症状について、主治医の診断を聞きに行ってきた。結論から言うと、彼の命は持って一か月、ということだった。
覚悟はしていたとはいえ、辛い。元気だったのに、子供たちもこれからなのに。
長女が来年成人式。長男が18歳。次女がうちの息子と同じ中学3年生。長女が看護師になることが決まっているのがせめてもの救いだが、父親としては無念さぞ無念であろう。書いていて私も悲しくて仕方がない。
義弟は治療を受けていた大学病院から、お義父さんが入院している医療ケアを行うホスピスに転院したそうだ。
諸々あって動きが取れず、私自身はまだ見舞いに行けていないのだが、来週末にはいこうと考えている。
奥さんが昨日息子を連れて見舞いに行ったのだが、もう積極的な治療行為ができない状況の義弟は、瞼も十分に閉じられないままベッドに横たわっているだけだという。
そんな姿を目にして冷静でいられるだろうか。しかし、彼には一言お詫びを伝えなければならないことがある。
15年前、息子が誕生したとき、出産の負担が大きかったためか、うちの奥さんは病を得て、入退院を繰り返すという状態になった。新生児を抱えて私一人で生活を維持することはできず、息子と奥さんは彼女の実家に2年半ほど世話になることになった。
お義父さん、お義母さんとともに、息子と奥さんの世話をしてくれたのが、義弟夫婦と先に誕生していた義弟の長女、長男だった。本当に世話になった。
先の見えない病状の中、彼らのケアがなかったら、どうなっていたことか。いくら言葉を重ねても、感謝の気持ちは伝えきれない。彼らが本当に優しかったので、甘えすぎた。
2年半を過ぎたころ、義弟に叱られた。
「あんたの息子、これ以上この状況で成長していいと思ってんのか?」
言われたときは「仕方ないじゃないか」と思ったが、息子の成長を考えたら彼のいうことはもっともだった。家業の農業を大きくしようとしていた時期だったということもあったかもしれない。
言われたことに反応して私の奥さんは怒り、その後義弟との関係がぎくしゃくすることになった。
そのせいで、義弟に詫び、感謝を伝えることができていなかった。その後お義父さんの入院などあり、余計にコミュニケーションができていなかった。だから、絶対に謝らなければならない。
だから、もう少しだけ待っていてほしい。勝手なことを言ってすまん、Aくん、頑張ってくれ。

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