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「神楽」の準備って何するの? 丸2日間お手伝いしてきた!

こんばんは。宮崎県新富町地域おこし協力隊5年目の二川智南美(ふたがわちなみ)です。

みなさん、神楽を見たことありますか? 宮崎は神楽が大変盛んで、県内で2 番目に面積が小さい新富町だけで3つ、宮崎全域では300以上もあるそうです!

特に私が推している新田(にゅうた)神楽は、毎年2月17日に奉納され、昔ながらの素朴さとテンポが速い躍動感が特徴です。

今年は準備から手伝ったところ、新しい発見がいっぱいでした!

【準備1日目】そこから!? 竹を切り出し舞台の準備

神楽の準備は何から始まるか。ズバリ、竹を切り出すところからです。

葉や節を落としてきれいにします


この竹は何に使われるかというと、例えば神楽を奉納する舞台。新田神楽は神社の境内にむしろを敷き、その周りを竹の柵で囲い、舞台後方に竹などで作った高さ5〜6mにもなる「三光(さんこう)」と呼ばれる装飾を立てます。

竹で囲われた舞台。後方に立つ、竹に球状の葉といろいろ刺さってるのが「三光」


また、神楽を舞う際に使う道具も、竹からできています。こうした舞台や道具は、毎年新しく作り直します。

神楽の持ち物として、あるいは見物客に配られる「ごひ」。おそらく御幣が訛った名称


新田神楽では「蛇切」(じゃきり)という、大蛇に見立てた縄を真剣で断ち切る演目がありますが、この縄ももちろん、藁を使ったお手製です。

高所から吊るし、藁を継ぎ足しねじって縄を伸ばしていきます(写真は今回の神楽準備とは別時に撮影)


まあこの辺りは、力のある男性陣でないと難しいため、私が手伝った作業は竹の汚れを拭いたり、竹を薄〜く削いだり。

この竹を削ぐのも、最初は全然できなくて、1本削るのに20分以上かかりました。しなるほど薄い竹の棒は、長短あわせて160本ほど用意しました。

刃を固定して竹を後ろに引くのがコツ。削いだ竹は、ごひの一部に使われた


慣れない作業に手が痛い〜と泣き言をもらしていましたが、1日目はまだ序の口でした…!

作業の合間に、ペットのイノシシに癒される。野生を忘れブラッシングされています


【準備2日目】ひたすら餅、餅、餅…

2日目は、餅づくり。宮崎の人は「せんぐまき」と呼ばれる餅撒きタイムが大好き。神楽の間に何回も撒きます。

そのため90kgもの餅を蒸して、伸ばして、切らなければなりません。

白と紅の餅を作ります。紅というよりピンク色でかわいい


ところがここで緊急事態発生。餅を伸ばす作業を効率よくこなすには、最低でも5人必要ですが、外の舞台の準備に人手をとられて4人しかおりません。

下手したら今日餅づくり終わらないかも…⁉︎と不安に包まれた我々の前に、地元のおばあちゃん姉妹が登場。ものすごいスピードで餅を伸ばし、なんと例年より早い15時には餅づくり終了。これぞ神業!!

手つきがプロのそれ。細すぎず太すぎず、平ためにするのがコツらしい。


お土産に、餅とサツマイモを練ってきなこを振りかけた、地元のおやつ「ねりくり」をもらって帰りました。おいしかったです。

ねりくりは気づいたら胃袋の中にあったので、写真はありません


【祭事当日】名物「蛇切」目当てに100人以上が集まる

神楽本番は朝の5時からスタートし、17時まで計12時間、ずっと奉納が続きます。

2日間の準備ですっかり体力を消耗していた私は、11時頃に新田神社へ向かいました。神楽を見ながら、おにぎりや猪汁、煮込んだ鹿肉をほおばります。

鹿肉おいしかった〜


16時過ぎ、いよいよ神楽の目玉「蛇切」が始まります。この日は土曜日だったこともあり、100人以上の見物客が押し寄せていました。

大人から子どもまで、みんなが注目!


「削げ削げ〜!」という掛け声に合わせて、削がれ細くなっていく縄(大蛇)。いつ大蛇が斬られるか、みな今か今かと見守ります。

縄を削ぐことで、大蛇の鱗を落とす様を表現しながら、斬りやすくしています


そしてついに…ザンッ! 大蛇は真っ二つになり、会場からは溢れんばかりの拍手が起こりました。

か、かっこいい‼︎


蛇切のあとは、みんな大好き「せんぐまき」!おかげさまで我が家の冷凍庫は、餅に占拠されております(笑)

黒い服には餅が当たった痕跡がくっきり


【準備から参加してみて】先人と地域の方に尊敬の念が生まれた

3日間、携わってみて感じたのは、昔の人の知恵と技術、現代まで受け継いできた地元の方々が、ただただすごいということ。

竹を縦に割ってる様子。細長くなった竹は曲げて輪っかにしてました


舞台から装飾、道具まで、ほとんどが自然物から作られているので、すごくエコなんですよね。きっとこれこそSDGs。

昔ながらのやり方が引き継がれているんだなぁ、と感じられた3日間でした。

作業しながらおしゃべりできるゆるさも、魅力のひとつ


実は近々、この地域の住人になる予定です。来年はもっと、竹削ぎスキルと餅伸ばしスキルの磨きをかけるぞ〜!

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