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恐ろしいものはいつも近くにいる。

今回、中村ボリ企画で公演する『人足寄場』は、何年も前に主催の菊地穂波が他劇団に書き下ろした本だ。
排気口からは、わたし中村ボリと佐藤あきらが客演として召喚された。

排気口の本公演でもいくつか怖い話はあった気がするが、他劇団ということで毛色の違った怖い話だったためとても印象に残っていた。

わたしもあきらさんもこの作品を気に入っていたため排気口で再演したいと望んでいたが、作者の穂波さんはあまり乗り気ではなくどちらかの企画公演ならということで、わたしが手を挙げた。
わたしのことを存じ上げてくれている人なら知っているかもしれないが、わたしは怖い話やオカルト、ホラー、鬱作品、胸糞悪い話が大好きだ。排気口の他のみんなも怖い話やオカルト話が好きだが、誰の企画で公演をするかといえば今回はまあ、わたしの企画にするのがまるい。

企画者ということで、わたしの好きなものが台本やフライヤーにも少し反映されている。
フライヤーには、わたしの愛してやまないアダルトゲーム『さよならを教えて』の夕暮れのイメージや、にゃるら氏の『NEEDY GIRL OVERDOSE』のインターネットの情報過多っぽさなど。
台本は、最近の排気口ぽいセリフに改変され少しだけわたしの好きな展開が組み込まれ、本筋以外だいぶ変わった。
初演のときよりも、もっともっと楽しんでもらえる作品になっていると思う。


世の中には怖いものが溢れかえっている。
おばけとか、ストーカーとか、人殺しとか、いろいろだ。
でも本当に怖いものは、人の力ではどうにもできない理解し難いものだ。例えば、天災に近い。
恐ろしいものは理由を持って人を選り好みしたりしない。
そして災厄は平等に突然訪れる。
そういう太刀打ちできない怖いものもあると、ある意味この公演は警鐘でもある。
しかしいくら危ないよと言ったところで、それらがわたしたちの前に訪れたときにはなんにもできない。対策をしたところで、それが通用するのかもわからない。

まずは人間の性の怖いもの見たさで、そういった怖いものの片鱗を覗き込んで欲しい。
暗闇からいつだって手招きしているその手が、こちらに届いちゃう前にね。


中村ボリ

排気口/中村ボリ企画公演
『人足寄場』
【日時】
2023年4月
5日(水)19:30
6日(木)19:30
7日(金)15:00 19:30
8日(土)15:00 19:30
9日(日)13:00 17:30
※開場は開演の20分から
【料金】
予約3500円・当日4000円
【場所】
荻窪小劇場
約90分 途中休憩無し

作・演出
菊地穂波
出演    
中村ボリ 
佐藤あきら 
坂本ヤマト 
倉里晴 
坂本恕
音響・照明 石巻遥菜 
宣伝美術  福西想人
制作    排気口


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