新春俳句バトル 作品集

1、朝月沙都子さん(@haiku_asatsuki)
んまいよと言ひて大根押し付ける
いけ好かぬあいつの胸に赤い羽根
卵黄と偽善ひとさじ卵酒
屠蘇の香や母の繰り言果ても無し
雪風巻く駅舎の窓に倚る勿れ

2、鳥田政宗さん(@masamunePB)
木の芽吹く天変地異の去った空
春夜を斬り裂く750ccのエンジン
推しドルにあだ名で呼ばれ風光る
夏の果「キセキ」を天へ捧ぐ友
自由契約告げられ秋の名残かな

3、広瀬 康さん(@hirose_kou7)
再会の手話を追い越す飛花落花
須佐之男命寝転ぶ大花野
連弾の音浴び育つ新樹かな
どんぐりを拾う拾う拾う出会う
たんぽぽも爆弾も降る世界かな

4、三島ちとせさん(@haikutanpen)
初蝶来酢飯乾かぬやう扇ぎ
紫陽花や変はらぬ服を昨日今日
名月や酒に果実の苦さあり
息を吐くやうに雪踏む獣かな
初凪や貝の形の島往けば

5、十一さん(@VUHpQ9iq9I5P8NN)
ヨハネ雨後に虹かけ紫陽花は魚群に
八月を囲い込む金網「帰ルヲ望ム」
湖に眼あり岩塊に夏蝶
鵙贄の蛙と目が合ったぞ見るな見るな
亀目を付す「いやに明るい月だ」

6、FBIさん(@Nikomi_Haiku)
着水のへたなフラミンゴへ初日
近づけば獣道見えみなみかぜ
空蝉の鳴きだしさうに連なれり
文集に海の装丁秋暑し
ごきぶりのごきげんなさんぽを壊す

7、菊池洋勝さん(@kikutitc)
成人の日の着ぐるみの中の人
看護婦の透ける下着も春めける
戻りつつある蛤を噛む力
余命半年の変態髪洗ふ
種のある葡萄と後で聞かされる

8、むゆきさん(@dhgoFomih486T5x)
江戸切子とろり冷えたる芋焼酎
帰らぬと記した葉書六花
菊酒の辛さも嬉しけふ寛解
水吸うてようよう太るだいこかな
文机傷映えてをり月の宿

9、神楽晌華さん(@shrimp_haiku)
無人駅の改札抜けて鰯雲
金風を避けてディーゼル去っていく
駅弁のフイルム越しに刈田かな
星屑を拾い集めてヒヤシンス
鯖雲の教師マスクの下に髭

10、山田すずめさん(@suzume12312)
焼き林檎ちよつぴり夜が好きになる
目ン玉と目玉と目玉薬喰
春や我がソウルフードはうまい棒
羽生やす淫夢 猟期の迫り来て
突撃のごとく着水する真鴨

11、Q&Aさん(@QA79084458)
ライダーの列なす蕎麦屋冬桜
レイトショー終え道中の月煌々
砂利道を立ち漕ぎで行く朝の虹
秋暁や作業着のまま帰途につく
夜桜を観るためだけの回り道

12、土井探花さん(@doitanka)
裸木のかなり鍛へてある恥骨
オリオンへ行きたい鳥に切手貼る
北風やピアノ壊れて白馬の香
もつと光をしんぴんの梟へ
月氷るリュックにしまふ鎮魂歌

13、秋霖さん(@raine10_haiku)
懐かしき君は何処へ曼珠沙華
木犀の香とお別れ金の雨
届かぬが願いを託す金風に
如何でかは誰もいらへず蝉時雨
空蝉や何処へ行きたる君さがし

14、乾岳人さん(@okina_bunge)
朝霧や久方振りのシャバの色
初比叡窓の上段持ち上げて
クリスマス隣に座っている後輩
初釜や茶巾だらいに白が映え
放送が告げし通過はラッセル車

15、@aokikenichiさん(@aokikenichi)
芽吹くだろうどうしたって順番に
雪 悔恨いがいのすべてをしろく
オリオンに嘲われるほど生きてない
「一月」の裏紙にもう反省文
便覧の太宰は何も答えない

16、村蛙さん(@crapaud_writer)
初夢でなぜか義足が燃えちゃって
去年今年ためらわず生傷のまま
問われればグレーでいたき冬支度
黒出目金ばかりの中に放たれて
御休憩四千円也猫の恋

17、川村優太(偽名)さん(@Ogaki_Zansetsu)
目薬の目をはや拭ふ冬至かな
伊勢海老を貫く錐の重さかな
石鹸の滑らぬ肌か寒旱
冷やかに糸のまつはる金束子
地に精気吸はるるごとき冷気なり

18、春名柊夜さん(@masatokun32kt)
100メートル先の工事や冬銀河
酸素マスク取って林檎を食わせたい
税金を遅れて払う風光る
入水できそうな夜だね冬なぎさ
百均の造花にも陽の射してあり

19、キングofド凡人さん(@marumarukibatan)
去年今年ICUの心電図
誕生日カードのよはく冬木立
冬の日のサクッと千切れそうな雲
冬ざれに響ける他市の救急車
朴落葉鼠の首を囓る猫

20、永井文鳥さん(@BB_Bonze)
東京駅風花に触れぬやう降りる
冬の蝶竜王戦第五局かな
鶏旦や格付で三流となる
秋の灯や物凄い昔の漆器
鈴虫や県道を行く街宣車

21、瑞香さん(@owenun4)
心臓の如き鼓動の水海月
巻貝を拾ふ波打ち際うらら
夏の蝶いつまで生きているのかな
蓮の葉やとろりてらりと玉の水
星月夜バイクのエンジン音遠く

22、坂西涼太さん(@tora813)
舶来の荷を積む湊春隣
残業のぶんだけ辻に待つ春暁
大切なことから忘れ花曇
番重や駅奥底の五月闇
四半世紀経てど恋文春の風

23、白水史さん(@purplegentians)
かりがねや連ねられゆく言に似て
恒例のまつしろになる大晦日
微笑みにボブにレースにラケットに
ヘリオトロープやガウス分布の端
エチュードの響くピアノに水中花

24、高林やもりさん(@yamori_819)
春の日のやや気怠げなナポリタン
夏休み青クレヨンの長さかな
秋天や跳べば離るる足と影
酒を待つ舌を大根崩れゆく
冬銀河辿るミトコンドリア・イブ

25、こっぺぱんさん(@fragile0118)
ソロパートに入る呼吸や水の秋
毛布にはふたりの鼓動明けの星
母にまた言い過ぎたかも衣被
ドの鍵の返らぬピアノ月の雨
転入届にずれた捺印秋の声

26、魚ひろ🍣(①本野櫻𩵋さん(@ougyo819) ②舘野まひろさん(@gu_haiku)
塾は窓拭くところからクリスマス
雪かきを終へ漫才の再放送
キャンプカーこの人参はたぶん雌
ふとミファをならして去りぬ初箒
均等に雪積もりゆく鳥居かな

27、ガイトさんさん(@VVNtankaLOVE)
夜に生き夜に恋するオリオン座
春の宵濃く強く引くアイライン
落ち葉から隠れミッキーを探す子ら
ぽたぽたと海に拾われていく雪
ほっぺたにあなたの余韻冬深く

28、藤 雪陽さん(@MiMiZunakuYoRu)
五日はや白白とがる犀の角
樹氷林ホテルで呷るウヰスキー
絵すごろく足止め食らふ関ヶ原
インバネス発射ボタンは吾が手中
ホットレモン組織ン中デ蟻ト成ル

29、夜行さん(@yakou_haiku)
さじ洗ふ水ふくらんで蝶生る
頭痛薬にまどろむふくらはぎを蟻
落蟬のぎいぎい幻肢痛の音
嚔して恍惚のぬけがらとなる
全身に重き眼のある風邪ごこち

30、おとなしはやさん(@otonashi_haya)
朧月おとといまでのおともだち
オリオンが見えないMILOは売り切れて
まさかもうすでに終戦だったのか
バレンタインおそろのコップごと割れる
卒業アルバムに石頭がずらり

31、水無月水有さん(@411_izayoi_rio)
しやぼんだま割れて亡びのはじまりぬ
風死せりシャウトに変わる五秒前
はらわたをちぎる手ごたへ甘藷掘り
胎内の記憶聴くやう降誕祭
みづうみに脱ぎ捨てられし星羽白

32、蹴衣さん(@n_mouri_p)
灰色のパーカー霙にて斑
発狂のヨウムを通り過ぐ寒暮
遠火事や改造ROMのアルセウス
破らないでください僕の蟬です
雨月のシーツに鮫肌の二人

33、ARI☆N!BOSHIさん(@H012SG)
めいつぱい花を捉へる蝶の脚
風船のしぼんで夜のおとずれる
発つ人に鳥に汽笛や天高し
戦車も銃器も夕立に洗われる
記憶と決別して純粋な月へ

34、龍輪 薫 (MISA)さん(@aisakasiori)
体内に世界のすべて海月凪ぐ
遠慮から遠慮生まれて寒昴
失恋のための告白冬の虹
冬薔薇懺悔は告げられず懺悔
夕虹の向かう探していつも馬鹿

35、品口回ロさん(@shinaguchi_soba)
オリオンやどこまでもレンガで迷う
地の果てと呼ばれし都市や冬の朝
冬椿スティーブ・ジョブズにはなれぬ
下町に色の様々冬浅し
路地は冬猫の街にも歴史あり

36、君嶋浩さん(@_kimishimahiro)
芭蕉忌を龍ゐるやうな空なりけり
春近し土手どこまでも駆ける子ら
時雨るるや魚さつと断つゴム手袋
正月や独居にさいころの不足
べからずとあればやりたし冬の寺

37、茶鳥さん(@chatori_haikuta)
欄干に自死を知らない冬の蝶
手袋とはつまりぬけがらその指の
言はなくて伝わるきもち桃ちゅるり
春立つや窓辺に本を咲かせけり
パンプスも発光体となる二月

38、Wassyさん(@wassy_favomingo)
冬の星忍者も愛を伝え合う
冬耕や爪から土に還りたり
日向ぼこ君と日向を取り合った
息白し今日はあの子に会えるかな
蜜柑の剥き方さえアイデンティティー

39、木星さん(@Tempura1050)
冬木の芽多元宇宙(マルチバース)の香りせり
年越は三人ランタンの炎
電波障害あまたセロリまたあまつた
ニカブ着た方がおしやべり冬夕焼
白墨に肩まで濡れて冬の宵

40、ギルさん(@ghillllll)
狐火やドナーカードにある折り目
よろこんで青に砕ける初氷
嚔して我クラインの壺となる
初空は女性名詞に決めました
「死」の近い予測変換冬薊

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