第8話「水上の空論」( ^ω^)ブーンがスーパーサブとして流れを変えるようです

朝7:57 毘府高校の選手達が全員揃うのを待つ

(#'_L')「庄野と牛間遅いな、何やってんだよ俺は30分前から待ってんのに」

(・∀・)「まぁまぁ、マターリ待とうや」

(;个△个)「うおおおおぉ お待たせしましたーー!」

( ^ω^)「来た来た」

(^д^)「負けねぇぞ牛間!俺が先に着く!」

自転車に乗った庄野が前を走っている牛間を追いかける

庄野の自転車の前輪が段差にぶつかり、ドガッシャーンとけたたましい音を立てて、まるで庄野を放り投げるように倒れた

(#^д^)「プギャー!」

/ ,' 3 「庄野くん、もう遅刻確定ですから怪我しないようにゆっくり来てください」

(;^д^)「ズコー!!!」

( ゚∀゚)「野球部だったらけつあな確定だな」

ξ゚⊿゚)ξ「最悪…」

サッカー部全員が揃い、バスに乗り込む

/ ,' 3「私は前に座りますんで各自で好きな席に座ってください」

( ^ω^)「俺は左側がいいですお」

(';j v i')「いやどういうこだわり?」

(’A`)「ブーンはいっつもバスに乗る時は左側なんすよ、コイツ左側じゃないと酔いやすくて」

( ;j v i')「前の席みたいに言うな」

('_L')「じゃあ左京は左側な、他に希望がある人いるか?」

ξ゚⊿゚)ξ「私は静かな人の近くがいい」

(* ゚∀゚)「はいはーい!俺めっちゃ静かだよ!」

ξ゚⊿゚)ξ「どこが」

('_L')「高宮は静かな人の近くが良いと、そうだな、じゃあ西尾が隣に座って」

(‐λ‐)「え、俺?」

ξ゚⊿゚)ξ「おとなしいもんね」

(;‐λ‐)(喋れない奴みたいな扱いでなんか嫌だなぁ
話しかけられたら全然話すんだけど)

('_L')「他にこの席が良いって人居ないか?」

('j v i')「居る?」

みんなの反応を見る限り居ない

(=゚ω゚)ノ「僕は無いよう」

(・∀・)「いないっぽいし早く乗ろうぜ!」

(*0 L0)「よっしゃ俺一番後ろ行きてぇ!」

( ゚∀゚)「俺が先だ!」

('_L')「お前ら押すな」

部員達が続々とバスに乗り込む

(・∀・)「じゃ、ブーンの隣にするわ」

ブーンは左側の席の窓側、隣の通路側に盛山が座った

( ^ω^)「盛山先輩は右側の席座らなくて大丈夫なんですかお?」

(・∀・)「普通はバスの席とポジション関係ないから」

サイドハーフ同士で隣に座った


(个△个)「眠くなってきたなぁ、寝ようか」

(=;゚ω゚)ノ「そんな事いちいち口に出さなくても…陣内のコントみたいだよう」


(0 L0)「7渡し!」

('j v i')「イレブンバック!」

( ゚∀゚)「5、ハート縛り」

カードを差し出そうとする白木の手を東が上から抑える

∫ ∫一Å一)「これ5スキップだね、白木は出せないよ」

('Д")「なんかローカルルール多くね?」

(= Δ=)「ルールなんで」


(  ΦωΦ)「霧島君、もしかして緊張してる?」

(;’A`)「してない、って言いたいけどそうは見えないよな はは…」

(  ΦωΦ)「手が震えているな」

(’A`)「武者震いってやつさ」


ξ‐⊿‐)ξ…zZZZ

(‐λ‐)「…」

(个△个)「あれ?2人とも寝た?」

(‐λ‐)「いや、俺は起きてる 高宮さんは寝た」

(个△个)「寝つきが良いの羨ましいなぁ〜伊織先輩は寝つきは良い方…」

(=‐ω‐)ノ …zZZZ

(个△个)「寝てる いつの間に」

(‐λ‐)「こういうのって行きではしゃいで帰りに寝るんじゃないのか?」

(个△个)「みんな早起きしたからまだ眠いのかもね」

(‐λ‐)「柊人は早起きできなかったもんな」

(个△个)「そうだね、でも急いで起きたからまだ寝足りないよ」

(‐λ‐)「試合直前で寝るのって身体が動きにくくなったりしないのかな?
まぁ、俺らは出番ないから関係ないか」

(个△个)「ベンチで眠くならないために寝ようよ」


(・∀・)「どうだった?この前の紅白戦」

( ^ω^)「盛山先輩相手に歯が立たなかったですお」

(・∀・)「いやぁ俺からしたらちょっと歯ァ立てられたんだけど、まぁそれなら成功だったな、トーナメントは厳しい戦いが続く
だからブーンが慢心することなく試合に臨んで欲しい、だから本気でドリブルを止めに行ったんだ」

相手になめてかかると痛い目を見る

( ^ω^)「自分、ドリブルだけは自信あったんですけど、盛山先輩相手には通用しませんでしたお」

(・∀・)「まだまだ課題はあると思う、でも消極的なプレーはするな、俺はお前に期待してる
俺をがっかりさせないでくれよ?」

( ;^ω^)「本番前にプレッシャー与えないでくださいお」

(・∀・)「すまん」

バスが大会会場に到着し、スタジアムに入り練習に向かう 車内では緩んだ空気が流れていたが、2年生達が真剣な顔になり、1年生も先輩達の空気を感じ取って私語を止めた
ここからは気を引き締めて行く
入口には【徳島県立毘府高校】と【徳島県立みなも水産高校】の看板が立てられている
みなも水産はもう反対コートで練習を始めていた

('_L')「半円状に並んで 1、2、3、4!」

「5、6、7、8!」

準備体操をしている時、水戸の裏で練習する対戦校の選手達がパス練習をしている姿が見えた
毘府が体操を初めてから終わるまでずっとパスを回していた 観察していると11番だけが個人練習をしているのが分かった 体操後ボールを取りに行くと同時にドクオに話しかけに行く

( ^ω^)「見て見てあの11番の人!凄いロングシュート飛ばしてるお」

(’A`)「ほんとだ、30メートルくらいか?」

9番のロングシュートが放物線を描いてペナルティエリアでワンバウンドしてゴールに入る

(^д^)「いやいやあれくらい普通よ」

(’A`)「庄野先輩できないじゃないですか」

(^д^)「できるって!朝飯前だよ いや就寝前でもやってやれる」

(’A`)「言いましたね?じゃあ今度就寝前にこれと同じくらいのロングシュート動画送ってくださいよ」

(;^д^)「そんなに俺ん家の庭広くねーから!」

( ^ω^)「その前に近所迷惑ですお」

パス練習を始める、横目にチラチラと対戦校を見ながらパスをするブーンにドクオが声をかける

(’A`)「ブーンよそ見しない!」

( ;^ω^)「ごめんお つい見ちゃって」

(’A`)「ブーンは人のプレー見るのが好きね 面白いの?他人の見て」

( ^ω^)「面白いお、色んなサッカーを知れて」

海外サッカーのハイライトしか見ないドクオにとっては分からない感性だ


〈+△+〉「あの…中浜さんですよね?」

('j v i')「うん?そうだけど」

面識の無い人物が中浜に話しかけてきた

∫ ∫一Å一)「知り合い?」

('j v i')「いやぁ〜違うと思うんだけど なんか聞いたことある声のような」

〈+△+〉「ちゃみっす!」

∫ ∫一Å一) ( ゚∀゚)?!

('j v i')「…もしかしてEgutchyくん?」

〈*+△+〉「凄い!よく分かりましたね」

('j v i')「一緒にAPEXやった時と全く同じ声だったから…徳島とは聞いてたけど、まさかこんなに近くに居たとは」

Egutchyはツイキャス配信者チャミ⭐︎スケの追っかけだ
それが今、江口と中浜として対戦相手として出会った
奇跡的な遭遇だ

〈+△+〉「隣にいるのはTKさんとトンさんですか?」

∫ ∫一Å一)「そうだよ トンこと東です よろしく」

( ゚∀゚)「俺ら一回しか出てないのになんでわかるんだ」

(第4話参照)

(-_-)「江口、そろそろ円陣組むから来て」

〈*+△+〉「じゃ呼ばれてるんで行ってきますね 俺チャミさんに負けませんから!」

('*j v i')「おう 望むところだぜ」

輪に江口が加わり、みなも水産の選手たちが円陣を組んだ

(-_-)「みなも水産行くぞー!」

「ヨーソロー!」

(・∀・)「なんか海賊みたいでかっこいいな」

(= Δ=)「そうか?普通にダサくね?」

('j v i')「まぁダサいとしても特有の掛け声があったら盛り上がりそうだよね」

∫ ∫一Å一)「僕達もつくってみる?オリジナルの掛け声」

('Д")「ビィーップ!ビップビップビップカメラ!ってのはどうだ?」

('_L')「良いなそれ」

(;’A`)「良くないですよ」

スターティングメンバー

毘府高校エンブレム

毘府高校 4-2-3-1

ゴールキーパー

(´・ω・`)新田 ショボン 武(にった しょぼん たける)
身長:190cm
背番号:1
ポジション:GK
スタイル:攻撃的GK
得意技:飛び出し
備考:手足が長いぶん、動きは重い

ディフェンダー

(= Δ=)近藤 吾郎(こんどう ごろう)
身長:181cm
背番号:5
ポジション:LSB
スタイル:守備的SB
得意技:ワンサイドカット
備考:サイドに追い込みボールを奪う

('Д")白木 康太
身長:179cm
背番号:3
ポジション:CB
スタイル:ハードプレス
得意技:プレス・ヘディング
備考:守備と攻撃の両方でヘディングが活きる

( ><)天野 鷹匠(あまの たかじょう)
身長:173cm
背番号:2
ポジション:CB
スタイル:ビルドアップ
得意技:先読み
備考:鷹の目を持つセンターバック

( ゚∀゚)長岡 隆英(ながおか たかふさ)
身長:172cm
背番号:23
ポジション:RSB
スタイル:攻撃的SB
得意技:オーバーラップ
備考:ピッチの上ではボールを追いかけ回し、ピッチの外では女性を追いかけ回す

ミッドフィールダー

('_L')水戸 蓮斗(みと れんと)
身長:175cm
背番号:6
ポジション:CMF
スタイル:ボックストゥボックス
得意技:縦パス
備考:真面目で自分にも他人にも厳しい
彼女はミセ*゚ー゚)三瀬美芹

('j v i')中浜 民祐(なかはま たみすけ)
身長:168cm
背番号:8
ポジション:DMF
スタイル:アンカー
得意技:インターセプト
備考:敵のパスに足を伸ばし、通させない
ツイキャス配信者

(’A`)霧島 毒男(きりしま どくお)
身長:166cm
ポジション:LMF(LSB)
背番号:4
スタイル:クロサー
得意技:アーリークロス
備考: 左利き
元々LSB希望だったが、荒牧監督の意向でLMFに

∫ ∫一Å一)東 修平(あずま しゅうへい)
身長:173cm
背番号:7
ポジション:OMF
スタイル:プレーメーカー
得意技:コントロールカーブ
備考:右上回転のかかったフリーキックが強み

(・∀・)盛山 義孝(もりやま よしたか)
身長:174cm
背番号:10
ポジション:RMF
スタイル:ウイングストライカー
得意技:ダブルタッチ・シザース
備考:凄腕のドリブラー それゆえ自信家

フォワード

(=゚ω゚)ノ伊織 洋(いおり よう)
身長:169cm
背番号:11
ポジション:CF
スタイル:ラインブレイカー
得意技:シザース・裏抜け
備考:様々な得意パターンを持つアイデアの引き出しが多い選手

4-2-3-1

みなも水産高校 3-4-2-1

みなも水産高校エンブレム

ゴールキーパー

(@、@)大西 洋(おおにし よう)
身長:182cm
背番号:1
ポジション:GK
スタイル:守備的GK
得意技:後方からのパスワーク
備考:闘志溢れる守護神

ディフェンダー

∑・ν・)速水 史熊(はやみ しぐま)
身長:172cm
背番号:4
ポジション:CB(LSB)
スタイル:オーバーラップ
得意技:全力ダッシュ
備考:中学時代は陸上部

(-_-)小森 光(こもり ひかる)
身長:168cm
背番号:2
ポジション:CB
スタイル:ビルドアップ
得意技:コーチング
備考:指示を出し、ディフェンスラインをコントロールする

( ゚レ ゚)半田 玖音(はんだ くおん)
身長:173cm
背番号:3
ポジション:CB
スタイル:ビルドアップ
得意技:シュートブロック
備考:名前の読みが半濁音なため、よくイジられる

ミッドフィールダー

( •̀=•́)佐藤 啓喜(さとう けいき)
身長:169cm
背番号:6
ポジション:DMF
スタイル:プレーメイカー
得意技:縦パス
備考:タピオカが飲みたいのにブームが去ったせいで全然飲めていない

(~‹_›~)太田 潤(おおた じゅん)
身長:172cm
背番号:5
ポジション:DMF
スタイル:アンカー
得意技:スライディング
備考:ズッシリした体型だが、豊富な運動量を誇り、動けるデブと呼ばれている

〈+△+〉江口 正孝
身長:169cm
背番号:7
ポジション:LMF
スタイル:チャンスメイカー
得意技:パスコースを作るドリブル
備考:Eguchy(エグッチー)という名前でAPEXをしている

["_"]瀬戸 海(せと かい)
身長:168cm
背番号:8
ポジション:RMF
スタイル:クロサー
得意技:スルーパス
備考:趣味はゴミ拾い 海にゴミを捨てる奴はゴミ以下だと思っている

(✧─✧)島 旅人
身長:168cm
背番号:10
ポジション:OMF
スタイル:2列目からの飛び出し
得意技:ワンタッチプレー
備考:ネットミームに詳しい

(↑。↑)伊藤 健潤(いとう すこうる)
身長:167cm
背番号:11
ポジション:OMF
スタイル:2列目からの飛び出し
得意技:正確なパス
備考:速水の次に足が速い

フォワード

┗|∵|┓
身長:180cm
背番号:9
ポジション:FW
スタイル:ポストプレイヤー
得意技:マシューズ(逆エラシコ)
備考:好きなアーティストはHoneyWorks

ブーン 庄野 草野 牛間 西尾 招木はベンチスタート
いつでも動けるように準備している

試合開始

笛が鳴り、羽庭が佐藤へのバックパスを通す
続けて佐藤→太田→江口とパスを組み立てる
盛山が江口にプレスをかける 江口は盛山を近くまで引き付けてから太田に渡す
取られる前に横に繋いでボールを回し続けている

∫ ∫一Å一)「ずいぶんと固い入りだね」

東はみなも水産が立ち上がりが慎重になりすぎていると思った

( •̀=•́)「固い?むしろ逆だね」

∫ ∫一Å一)「逆?」

( •̀=•́)「流動的って事さ」

ボールを持たない選手がパスコースを確保しながらじわじわと全体的に上がってきている

佐藤から羽庭への縦パスが通った、そして羽庭が白木を背負いキープする

( *•̀=•́)「よし!みんな上がれ!」

∫ ∫;一Å一)「おっと…急に激しくなったね」

みなも水産は前でボールを収めることで、
中盤の選手たちがフリーな状態で動いている

('Д")「くそっ、よこせ!」

┗|∵|┓「うお〜怖っ 島任せた!」

2列目から飛び出して来た島へ優しく落とす

(✧─✧)「乗るしかねぇ!このビッグウェーブ!」

島がワンタッチシュートでゴールを狙ってくる

(#´・ω・)「ふんっ!」

しかし新田のゴールは簡単には割られない 左隅に飛んだボールをパンチングで弾く

〈+△+〉「まだまだぁ!」

江口が内側に運んでクロスボール、それを中浜が得意のパス狩りで前に大きく弾く
しかし、みなも水産の3バックが上がってきてすぐに攻撃を再開させる

(#-_-)「全員でこの波に乗っかれ!」

留まることのない波状攻撃 その波に毘府は押しこまれていく
みなも水産がボールを奪われる前にパスを繋ぎ、スペースを作ってすぐに打ち込んでくる
中盤の6人の連携、そこに羽庭の個人技が加わる事でボールが効率的に前方向に動き、得点のチャンスを演出している

('Д")「そろそろパンチングじゃなくてキャッチできないか?」

(´・ω・`)「すまんが、四隅を狙われると厳しい」

新田はシュートを弾くだけ精一杯だった
ディフェンス陣はみなも水産の早いテンポのパスに翻弄され、奪うタイミングを掴めないでいる マークに付くのが精一杯だ

('Д")「このまま引き続けても仕方ねぇ どこかで奪わねぇと」

( ><)「僕が行くんです!」

('Д")「任せた!」

天野が前へ飛び出して伊藤の持つボールを奪いにかかった しかし、後ろの空いたスペースにスルーパスを出され、そこに羽庭が抜け出した

( ; ><)(裏を取られた?!)

羽庭の力強いシュートが新田の頭上を襲う
パンチングで弾いたボールがバーに直撃し、緩やかな軌道で跳ね返る

┗|∵|┓「セカンドボールッ!」

(✧─✧)「もらったぁー!」

島がこぼれ球をまたもダイレクトシュートで撃ち込む
白木•天野が共に足を伸ばすも届かない、ボールは体制が崩れたままの新田の頭上を越えていった

11分 GOAL みなも水産高校 島 旅人

(✧─✧)「叫びたい気分です!叫んでいいですか?」

┗|∵|┓「どうぞ」

(✧─✧)「じゃあ小さい声で言うんで…」

(#✧─✧)「ブラボー!!」


('Д")「すまねぇ」

パスワークでディフェンスラインを崩され、あっさりと先制点を与えてしまった

とにかく、ボールを持たないことには得点できるはずがない
毘府がやらなければならないこと、まずはパスを止めることだ

失点した側の毘府ボールで試合が再開する、一度奪われると奪い返すのが大変だ
ボールを失わずにゴール前まで運びたい

向こうのハイプレスに対抗するために、こちらもパスを回す
しかし、東が佐藤・太田に挟み込まれ、ボールを失ってしまった

再びみなも水産のMF6人の渦を巻くようなパスワークに翻弄される
特に10番の島、彼がワンタッチで正確にパス・シュートを繰り出すことでボールを奪う隙を与えてくれない

('j v i')「くっそ〜!好き放題撃ち込みやがて…ウチのゴール前はバッティングセンターじゃねえんだぞ」

(;・∀・)「早く攻撃を止めないと、いよいよ蜂の巣になっちまうゾ」

('_L')「まず一対一でマークして守ろう」

毘府はパスを止めるために相手の選手1人につき味方1人を付けるマンツーマンディフェンスで守ることにした
フォワードの羽庭 トップ下の島•伊藤 ハーフの江口•瀬戸にはパスを自由に渡したくない

____みなも水産高校 ベンチ____

元々生徒数の少ないみなも水産高校は
部活が個人競技のみであり、卓球部•水泳部•将棋部の3つだけであった

サッカー部を欲しがる1年生、そこにもともとサッカーをやりたがっていた2年生が加わり、サッカー部が結成した

バルサのような綺麗なパスワークではないかもしれない、それでも確実にみなも水産はゲームを支配している

(〆+・)「いいぞみんな!この調子で2点目取りに行け!」

〈+△+〉「御意っす!」

瀬戸にボールが渡る だが既にみなも水産の選手には毘府の選手がマークがついていてパスコースが無い

('_L')「攻撃のリズムを止めてしまえばテンポの速いパス回しは出来まい」

水戸が太田を背中で抑えながら言った

[;#"_"]「くそっ!自分で仕掛けるしかないか」

瀬戸が外側に切り込む、そこにドクオが左足を出しボールを奪った

(’A`)「悪りぃな、そっちは俺の得意な方だ」

ドクオがガラ空きの左サイドを独走する

('_L')「カウンター開始だ」

中を見た、相手DF小森・速水の2人が急いで戻っている、その後ろを伊織が追いかける
ドクオの右前からは半田が向かって来ている

みなも水産は中盤の6人の選手を攻撃のために割いていたため、まだ自陣に戻れていない ドクオの右のスペースが間延びしている
このDFとMFの間に生まれたギャップ、これをバイタルエリアと呼ぶ

vital(生命維持に不可欠な)area(地帯)、ディフェンスにとって、ここを自由に使われたら絶体絶命だ ディフェンダーのドクオはその事をよく理解している

(’A`)(どうする、伊織先輩が前に向かってるけど一旦東先輩に渡すべきか?)

(=゚ω゚)ノ「足止めるなよう!まだ持ってて」

一気に加速し小森と速水の間を走り抜ける

(=゚ω゚)ノ「はい今!足元に出して!」

(’A`)「行けっ!」

半田のパスカットを警戒しつつ、左足を振り抜く
ボールは芝を転がり、まるで伊織の左足にぶつかるようにパスが渡った

(=゚ω゚)ノ「ちょっと強すぎるけど、まあ良いよう」

アウトサイドでトラップした時、上回転のかかったパスが足を登り、ボールが伊織の前方へ浮いた

(’A`)(勢いを止めきれなかったか?)

(@、@)(おっしゃ!チャンス!)

キーパーの大西が長い両手を伸ばしてくる

(=゚ω゚)ノ「トラップミスだと思った?」

(@、@)「え…」

跳躍し右足を伸ばした、大西の手に触れるより先に伊織のつま先が触れた
シュートは大西の頭上を超えゴールへ向かう

(@、@)「一瞬で大ピンチかよクソッッ!」

ボールを掻き出そうにも体は勢いに乗って前へ進んでいる、大西が踵を返し振り向いた時には手の届かない所まで進んでいた

37分 GOAL 毘府高校 伊織 洋 1-1

(=゚ω゚)ノ「まずは一点、この調子で行くよう」

(’A`)「うっす!」

追いついた、これで試合は振り出しに戻る

縦パスを出す

そこに現れたのはインターセプトの鬼、中浜だ

('j v i')「へへっ、これ以上は通さないよ」

(;~‹_›~)「くそっ」

パスを取られた太田がボールを奪い返しにくる
中浜が盛山にボールを預けた

盛山が背中で江口を背負い前に進む
ボールを足裏で踏み、後方に力を加えた
右肩から前に振り向く、江口が両腕を出して止めようとしたが、盛山のフィジカルに身体ごと持っていかれた

(;・∀・)(え、身体弱っ)

江口が派手に倒れたが、もちろんファールは無い
そのままゴールに向かってドリブルで運ぶ

(=゚ω゚)ノ「こっちだよう!」

(・∀・)「お、いおりん良いとこ居るじゃん」

盛山からのパスを伊織がワントラップで撃ちやすい場所にコントロールし、
ペナルティエリアの線上から足の振りが速いシュートを放つ
ディフェンスに隙を与えず、ボールがゴール右上に飛ぶ

大西は一歩も動けずに勝ち越しゴールが決まった

40分 GOAL 毘府高校 伊織 洋 2-1

伊織が指でピースサインを作った
これで二得点目である

('_L')「ここからはパスコースを塞いで、なるべく失点しないようにしよう」

('j v i')「OK、1点差を保って後半に備えよう」

パスの穴を完全に塞ぐことはできない
だが、攻撃を遅らせることはできている
このまま守り切ることができるか

江口からのパスを島がワンタッチで前に叩くようにパスを出す

シュートコースは塞いでいる、羽庭がボールを持って前を向いた時に進行方向に足を出せば取れるという算段だった

┗|;∵|┓「うお近っ!」

ボールを持つより先に、白木のプレスを感じ取った羽庭が踵でボールを後方へ落とす 敵を欺くようなヒールパスだ

(;'Д")「うぇ…そんな事もできんのかよ!」

ボールの進む先には伊藤が居た、天野がカバーに向かう

┗|∵|┓「健潤撃っていいぞ」

(;↑。↑)「そう言われてもコースがなぁ…よし」

伊藤は強引にシュートを放った
ボールは天野の足に当たりコーナーキックとなる
すぐに伊藤がフラッグのところまで向かった

( ><)(わざと僕の足に当てた?)

(↑。↑)ノ

(= Δ=)「来る!」

伊藤のコーナーキックはゴール前に正確に飛んできた
近藤のヘディングがギリギリ届き左側にふわっと溢れる
そこに瀬戸が身体を入れて、ボールを触らずにゴールラインを割る

次はニアサイドにライナー性のクロスが飛び、白木がヘディングで掻き出す
江口がゴール前へ蹴り込むが長岡がブロックし、
逆サイドからのコーナーキックとなる

左からのコーナーキックはクロスバーの前に飛んだ
新田がパンチングで後ろに弾き、再び右コーナーになる

これで4連続コーナーキック そろそろ緊張の糸が切れそうだ

('_L')「気を抜くなよみんな!」

('Д")「どんなボールが来てもヘディングで弾き出す!!」

4回目のコーナーキック、
伊藤の選択はペナルティエリア前へのグラウンダー性のパスだった

(;’A`)(ここに来てショートコーナー?!)

そこに走り込むのは____島 旅人

誰がプレスに行くのか、迷いが生まれた
ドクオが走り出したが、もう遅い 島はシュート体制に入っていた

(;´・ω・)「マズい、コイツの武器はッ!」

(✧─✧)「相手のゴールにシューーーーーッ!」

横から転がってくるパスをトラップせずワンタッチシュート、島がまた高いシュート精度で左上を狙う

パンチングしたボールがクロスバーに直撃し、真下へ急降下する
ボールはラインを完全には割っていない、まだインプレーだ
PA内で敵と味方が入れ混ざるこの混戦の中、白木が足を上げクリアしようと試みる ボールに触れる前に右足が何かに遮られた
インステップで触れた、ボールではない硬い何か、それは羽庭の額だった

(;'Д")「うわっスマン!」

怪我を負わせてしまった本人だからこそ、
自分の足の感触でわかる、羽庭の頭への衝撃は相当痛いはずだ

┗|メ∵|┓「まだだ!」

(;'Д")?!

┗|メ∵|┓「まだインプレーッ!!!!!!」

白木は自分のファールでプレーが止まると錯覚していた
しかしまだ笛は鳴っていない 審判がアドバンテージを見たのか、はたまたゴール前の混戦で見えていなかっただけなのかは分からないが
インプレー、その事実が揺らぐ事はない

羽庭がゴールポストを掴み強引に頭を出した
2バウンド目の、下から上がってくるボールに右頬を当て、文字通り捨て身で飛び込んだ

('Д")「お前…どんだけゴールに貪欲なんだ」

45分 GOAL みなも水産高校 羽庭 任 2-2

┗|メ;∵|┓「ううっ…」

(;↑。↑)「羽庭さん!大丈夫ですか?!」

羽庭が指で×マークを作る、主審とメディカルスタッフが駆けつけて
流血が無いのを確認し、そのまま担架で運ばれた

(審_判)「3番イエローカード」

('Д")(じゃあさっきのはファール流してたのか、あれ)

('_L')「今のは仕方ない、切り替えていくぞ」

('Д")「うん…」

ハーフタイム

____毘府高校 ロッカールーム____

2対2という結果でハーフタイムを迎えた
ゲーム内容はさほど褒められるものではなかった
ボールロストが多く、相手のパス回しに翻弄されっぱなしだった

('_L')「五分五分ってとこか」

(・∀・)「結果だけ見ればな、本質的には五分五分じゃない、個人の能力ならこっちの方が勝ってるんだ、流れは完全に相手だがな」

('_L')「どういうことだ?」

(・∀・)「俺たちは1体1の練習として エリア限定戦をしたよな?
でもこの試合で1対1の状況ってあったか?」

(’A`)「たしかに、全くと言っていいほど無かったですね」

( ><)「人数が多くてボールがどこに行くか分かんなかったんです」

('Д")「囲まれちまってたな」

(・∀・)「相手はパス回しによって一対一の戦いを避け続けてた
向こうは個人の能力は大したことないが、集団としての能力が凄く高い
フィジカルやテクニックではこっちが勝ってても
パスを使って数的有利を作り出すだけでそれを封印していた」

( ^ω^)「でも、そんな芸当を結成して間もないメンバーだけでやってのけるなんて…
ちょっと考えられないですお」

(;・∀・)「ディフェンス陣が上がってパスを出し、
オフェンス陣はフォアチェックでボールを奪う
それを全員が理解してやってやがる、並大抵のチームワークじゃできねぇよな、あれ」

/ ,' 3 「ウチのサッカーは個人の能力を引き出すことが第一として来ましたから、こういった徹底した集団の戦術というのは無いですね」

( ^ω^)「やっぱりパスを止めないとですお」

/ ,' 3「そうですね、ではインターセプトが得意な中浜君を中心に、マークしながらもパスカットを狙っていってください」

('j v i')「お任せくださいっ!」

/ ,' 3 「続いて選手交代ですが、まず伊織君を草野君と代えます、
クロスからのヘディングという形でゴールを狙ってください
そのあと霧島君と左京君を代えます
チャンスがあったらドリブルしてください」

(0 L0)「頑張ろうなブーン」

( ^ω^)「はいですお」

____みなも水産高校 ロッカールーム____

ティキ・タカを使った全員攻撃・前線からのプレスでボールを奪う全員守備の両方 それをつい一年前に新設したばっかりの部活でやろうなんて、馬鹿げた事だと思っていた だがみなも水産は完璧でなくともそれを成し遂げた、自分達の追い求めるサッカーを

ただ致命的な問題が起こってしまった
ワントップを担う羽庭が怪我を負ってしまった
戦術的な心配より先に、本人に対しての心配が大きかった
頭部の怪我が致命傷にならない事を願うばかりだ

( •̀=•́)「どうする?誰がフォワードやる?」

前で収めれるフォワードが居なくなってしまった
ベンチの霧崎は体力の消耗が激しいMFの控えとして使う予定であったが、
交代で投入するしかない

(~‹_›~)「霧崎くんトップやってもらっていい?」

( ;`・֊・´)「点取れないっすよ俺…」

(↑。↑)「でも、誰かが手あげないと…」

このチームにフォワードは羽庭しか居ない
一方ミッドフィールダーは7人いる
普通に考えれば一番FWに近いポジションであるMFの中から
1人を使って代用するしかない
普通に考えれば、だ

〈+△+〉「フォワード、無しでやりませんか?」

(~‹_›~)「は???」

〈+△+〉「だって、ゴールキーパー無しとかだったら試合が成り立たないけど
フィールドプレイヤーのポジションっていうのは、ただの立ち位置で、ルール上はなんの区別も無いですもん」

(〆+・)「一理あるな、ポジションはただの立ち位置
ウチらはパスを受けるために流動的に動き回ってきた
それに、羽庭と全然違うタイプのMFをFW起用しても混乱を生みそうだしな」

机上の空論と言われるかもしれない しかし、それでも私と君たちが信じたサッカーを実現できるなら、それも悪くない

(〆+・)「いいじゃないですか、0トップでやりましょう」

( ;`・֊・´)「ぜ、ぜろトップ?」

(-_-)「でも、それならフォワードがいなくても解決ですね」

だが、現代のサッカーでセンターフォワードを配置しないフォーメーションなど見た事がない

(✧─✧)「そんなの机上の空論でしょう?!」

やっぱり言われてしまった、だがここは指導者として引き下がれない

(〆+・)「そもそもお前達のサッカーの知識なんて他の学校の選手達に比べたらほんの些細なもんだ
でも、よく船の上でよく戦術考えてただろ?言うなれば水上の空論だ」

(✧─✧)「水上の空論…」

(〆+・)「その素人が考えた作戦が実地で活きている、となれば今回もそこに賭けるしかないだろう
島、自分がフォワードとして出るか
フォワードなしで後半を戦うか、どっちか選ぶんだ」

(✧─✧)「俺は…フォワードなしでやってみたいです!」

(〆+・)「いつやるか」

(✧─✧)「今でしょ!」

(〆+・)「良い返事だ」

両チームが共にフォワードを1人交代し、フィールドに上がった

(✧─✧)「ここがスゴい!みなも水産高校!」

(-_-)「ショート•ロブ•バック•スルーパスなど
幅広いパスワークが回せるんだぞ!」

「みなも水産高校!」


(・∀・)「盛り上がってるぅ〜」

(0 L0)「じゃあ俺らも」

「オー!」

後半戦開始

前半と同様にみなも水産は多くのパスを回している
だが、前半とまったく違う所がある
ゴール前がぽっかりと穴が空いているように人が誰もいないのだ
その異様な光景は毘府のディフェンス陣もすぐに気が付いた

('Д")「おいおい、フォワードはどうした?」

(↑。↑)「見てわかる通り、ゼロトップです」

('Д")「ふーん」

(↑。↑)「MF7人で回す、そして羽庭先輩の仇は俺達が討つ」

(;'Д")「仇って…悪かったけど」

だが、後半の立ち上がりは毘府側がボールを奪われることなくみなも水産のプレスをかいくぐっている
ドクオにパスが渡り、左サイドを駆け上がる

( ^ω^)「いいぞドクオ…」

そして後半から投入されるブーンが、ピッチ横に立った

(’A`)(これが俺のラストプレーになるな)

(0 L0)「ヘイ!こっちだ!」

ドクオが高さのある草野へクロスを上げる

(-_-)「ライン上げろ!」

その直前、ゴール前に走り込んで行く草野を横目に小森が足を止め、
ゴール前は草野と大西のみとなっていた

(;’A`)(うわやられた、ダメだなこりゃ)

主審のホイッスルとともに副審の旗が上がっていた
草野のヘディングはオフサイドの判定となる

オフサイドトラップ
それは、守備側の選手が攻撃側の選手を意図的にオフサイドポジションへと誘導しオフサイドを誘発させる戦術のことである

その様子はさながら、
ハンター達が一斉にトラップ(罠)を仕掛け獲物を狩るような動きであった

( ^ω^)(やっぱり相手の守備の中心は小森だお、気をつけておこう)

後半49分(’A`)人(^ω^ ) 
OUT霧島毒男 IN左京文一朗

ドクオは走れなくなった訳ではない、しかし足が少し止まってきた
ゲームで言えば体力ゲージが黄色の状態だ
ドクオのみならず、このピッチ上の前半から出場していた選手達、全員がそうだろう

( ^ω^)「今北産業」

(’A`)「みなもパス回す
毘府ボール持てない
お前が流れを変えろ」

( ^ω^)「流れを変える…わかったお!」

こうして、途中出場でブーンのデビュー戦が始まった

第8話 終わり

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