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みみおれねこの大冒険

白い猫
「小さい頃から、お耳が折れてたのにゃ。
まわりにそんな猫はいなくていつも一猫だったのにゃ。」


「同じ耳折れの仲間を探すために、
生まれた町を離れる事にしたのにゃ。
人間の作った乗り物に乗って、
どんどん遠くに移動したのにゃ」

「船の中ではたまに、人に見つかることもあったにゃ。
でも、少しづつ人間の言葉がわかるようになって仕事をもらえるようになったのにゃ。」

「船の仕事をしてる時に、
遠い東の小さな島国に変わった特徴を持つ不思議な猫が住んでるという噂をきいたのにゃ。」


「黒くて、大きくて、速い船が、
東へ向かうと聞いたので、
忍び込んそので小さな島国を目指したのにゃ。」


「黒い大きな船に、島の人たちはみんな驚いたから簡単に上陸出来たにゃ。
港の人たちは、筒のような不思議な服を着てたのにゃ。」


「その島国で出会う猫は丸々のしっぽや、
曲がった尻尾を持ってたのにゃ。
もしかしたら、折れ耳の猫もいるかもしれにゃいのにゃ。」

「遠くを見るために、二本足で立ってたら二本足で歩けるようになったのにゃ。
気が付いたら、尻尾の先が二つになってたのにゃ。」

「でも、にゃかにゃか耳折れの仲間は見つからないのにゃ。」

石の狐さんが言うには、
隣の町に不思議な猫がいるらしい。
これは、耳折れ猫かもしれないのにゃ。

「よし。 となり町に行くのにゃ。」

数日間歩き続け、町に着いたけれど…
「にゃにゃ? 町に入ってから、ただならぬ視線を感じるのにゃ!」

「にゃ!?」

猫又先輩 「こんばんは。 白ずきんの猫又さん。よかったら今度の百鬼夜行に一緒に出ませんか?」

白ずきん「百鬼夜行にゃ??」

「(ふむふむ。百鬼夜行には、いろんなところから沢山猫又が来るとにゃ。
もしかしたら…耳折れの仲間も見つかるかもなのにゃ。ところで、猫又ってなんだろうにゃ。)」

「(いままで、沢山の海を渡ってここまで来たのにゃ…、耳折れ仲間がいたら嬉しいのにゃ。)」

猫又先輩 「そうそう、白ずきんちゃん上手にゃ! これなら百鬼夜行にすぐ出れるにゃよ! 」

猫又先輩 「今日は、沢山練習したにゃ。 白ずきんちゃん。寝る時ずきんははずさないのにゃ?」

「(百鬼夜行に出て、たくさんの妖怪と出会い、猫又達と踊ったのにゃ。

とても楽しかったけれど…

耳折れの猫は一匹もいなかったのにゃ…。)」


「耳折れの猫は…やっぱりどこにもいないのにゃ。
みんな三角お耳にゃ…。」

猫又先輩 「白ずきんちゃん、どうしたのにゃ? 落ち込んでるにゃ?」


「耳折れの猫は、どこにもいないのにゃ。
小さい頃からずっと一猫なのにゃ。
仲間を探しに遠いところから、海を渡って
ここまで来たのにゃ…。
でも、みんなお耳は三角なのにゃ…。」

猫又先輩 
「泣かないのにゃ。
八ツ橋みたいなお耳、初めて見たけどかわいいにゃよ。
長生きの物知り猫が知り合いにいるから、一緒に聞きに行くにゃ!」

猫又先輩 「そうと決まれば、カラスにニクキュウ王国まで連れてってもらうにゃ。」

白ずきん 「ニクキュウ王国?」

猫又先輩 「人間は、リュウキュウ王国と呼んでいる南の国にゃ。」

猫又先輩 「ニクキュウ王国には、毒を持った蛇みたいのがいるにゃ。
足元に気を付けるにゃよ!」

白ずきん「蛇こわいのにゃ… 」

白ずきん「にゃあぁぁぁあぁぁ!へびにやぁぁぁぁぁ! !」

神マヤー「騒がしいにぁ。 そこの耳折れ猫よ。それは細いゴーヤじゃ。 」

白ずきん「ゴーニャ…?」

猫又先輩 「神マヤーさま、お久しぶりですにゃ。
今日は、聞きたいことがありましてニクキュウ王国に来ましたにゃ。」

猫又先輩 「この子と同じ、耳折れ猫の仲間を探してるにゃ。」

神マヤー 「耳折れの猫は、ニクキュウ王国にも、日本にもいるという話は聞いた事無いのにゃ。
海を越えた遠くの島国の、猫王に聞いてみよう。」

神マヤー 「猫王ケット・シーよ。
耳折れの猫は、そちらの国にいるにゃか?」

猫王 「はい。 
近くの国、スコットランドで突然耳折れの白猫が現れたと聞いていますにゃ。
数は少ないものの、その白猫の子供も数匹耳折れの猫ですにゃ。」

「耳折れの猫が他にもいるのにゃか??  あ、会いたいのにゃ。」


白ずきん
「神マヤーさまありがとうにゃ。
よし。スコットランドへ行くのにゃ。」

神マヤー 
「耳折れの猫よ…。
猫は…
耳が折れてても、尻尾が曲がっていても、
二又に分かれていようと…
幼くても、老いても、
太っていても、痩せていても
美しい、尊い生き物であるのにゃ。
猫である事を誇りに生きて行くのにゃ。」

白ずきん「また、海を越えるのにゃ!」

猫又先輩 「気をつけてスコットランドに行くのにゃよ!」

白ずきん「船に乗り込むのはおてのものにゃ。」

「ここはスコットランドじゃないみたいにゃ。ヒゲが凍って、寒いのにゃ。」


「また、船間違えて違う国に来たのにゃ。でも、いろんな猫が助けてくれるからめげないのにゃ。」


「いろんな国で、いろんな猫に出会ったのにゃ。
手足の短い猫もいたのにゃ。
羨望の眼差しで尻尾を見てくるのにゃ。」

「スコットランドに着いたのにゃ。
なんだかなつかしい匂いがする気がするにゃ…」


ペロ「こんにちは。耳折れ猫ちゃん。
僕、ペロ。猫王から君を耳折れ猫たちの村に連れていくように言われてるにゃ。
それにしても、面白い尻尾してるのにゃ。」

ペロ「触っていいにゃ?」

白ずきん「んにゃ。旅をしながら長生きしたら、尻尾が2つになったのにゃ。ニャホンという島国に、同じような尻尾の仲間がいるのにゃ。」

ペロ 「長靴をはいた猫はいるにゃか?」

白ずきん「いないにゃ。」


白ずきん「その長靴はどうしたのにゃ?」

ペロ 「レプラコーンが作ってくれるのにゃ。」

白ずきん 「もう少しで着くのにゃね。ワクワクするのにゃ。」

ペロ 「もう、すぐそこにゃ!」

ペロ「こんにちはー。誰かいますかにゃ?」

白ずきん「あけちゃうのにゃ。」

ガチャ…


白ずきん「お邪魔しますのにゃ…。
耳折れ猫がたくさんいるのにゃ!」

耳折れ猫 「きのこのお家に誰か入って来たのにゃ。こわいにゃ…」

白ずきんちゃん
「お話きいてにゃ。僕もおにゃじ耳折れ猫にゃ。
長い間、仲間を探しているうちに長生きをして猫又という妖怪になったのにゃ。
共通猫語以外に、にゃほん語がしゃべれたりするし、二本足で歩くし、行灯の油舐めたくにゃっちゃうけど…
猫にゃの!」


耳折れ猫 「おにゃじ耳折れ猫にゃの?
きのこのお家の外には、仲間はいなかったのにゃ…
だから、ここに隠れて暮らしていたのにゃよ。」

白ずきん「たしかに、耳折れ猫はいなかったのにゃ。
でも、世界をまわるうちに沢山の不思議な猫に会う事ができたのにゃ。
折れた耳は、八ツ橋みたいでかわいいって言ってくれた猫もいたのにゃ。」

白ずきん「耳が折れてても、尻尾が二つでも、太ってても、痩せてても、猫は美しい尊い生き物なのにゃ。
だから、自信をもつのにゃ!
怖がらなくても大丈夫、一緒に世界を見に行くのにゃ!」

白ずきん「ちゃんと、ついて来るにゃよ!」

猫又先輩 「八ツ橋お耳の、白ずきんちゃんは仲間に会えたかにゃ…?」


猫又先輩 「白ずきんちゃんとお話ししたいにゃ。
神マヤー様、お願いしますにゃ。」


白ずきん「神マヤー様、猫又先輩、久しぶりなのにゃ!
ついにスコットランドで、耳折れ猫の仲間を見つけたのにゃ!!」

白ずきん 「そして、様々な国を旅した経験から猫王の統べる、この国の外交官に任命されたのにゃ。」

白ずきん「と、いうわけなのにゃ。
今度、猫の日にニャホンに遊びに行くのにゃ!」


猫又先輩 「嬉しいにゃ。楽しみにしてるにゃよ!」

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