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その日は晴れ

父親が鳥取に来た。数年ぶりに会う。

昼くらいに着く特急に乗ってきて、
私は秋に買った車で駅まで迎えに行った。

仕事に慣れてきたこと、
車と一緒に買った冬タイヤが
トーヨータイヤだったこと、
父がCDで持っていた山下達郎の「MELODIES」をレコードで買ったこととかを話した。

駅から10数分ほど車を走らせる。
トンネルを抜けると砂丘が見えてくる。 

県外のナンバーで溢れる駐車場から
階段を登ると、空は高くて広かった。

雨続きだったのでこんな青空は久々だ。
「冬にこんなに晴れてるのはラッキーだよ」

そんなことを言っていたら目が覚めた。

やたらリアリティのある夢で、
父親が13年前に死んでいたのをすっかり忘れていた。

父は私が13歳のときに死んだ。
それゆえ、命日である今年の2月15日をもって、
私にとって人生のなかで父のいない時間のほうが長くなることになる。

2月のある日の鳥取は、
その夢の中のようによく晴れていた。
もしかしたら父がいるかもしれかいと思って、
一人で砂丘に行ってみたが、会えなかった。

生きていたら60代になる父は、
ちょくちょく夢に出てくるとき
13年前と同じ姿をしている。

これからもときどき帰ってきてほしいものだ。

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