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巨大勢力争い必至!!ソフトバンクまで?!インドネシア医療業界、大変革の予感!

はじめまして!初note 投稿です。
佐藤創(さとうはじめ)ともうします。

私は普段、東南アジア・インドで医療・ヘルスケア関連の仕事をしています。各国の面白いヘルステック企業と出会うことも多く、そんな企業をもっとしてもらいたい!と思い、noteをはじめます。

初投稿のテーマは、
「インドネシア医療業界、大変革の予感!」

初回から超マニアック。。笑

最近、インドネシアのスタートアップ関連の記事を良く見かけるようになりました。実は医療業界でも大きな変化が起きようとしています。

最近の大きなニュースに、私のちょっとした考察を交えてお伝えします。
意外とアジア各国で盛り上がってるな〜、と思ってもらえると嬉しいです!

いきなりですが!! このnoteのポイント&結論。

全体としてかなり長くなったので、結論をまずお伝えします。
これだけでも読んで帰ってください!

インドネシア医療業界の対立構図(筆者作成)

■ ポイント:
ユーザー数 2億3000万人のオンライン医療ユニコーン 平安好医生が、
 ASEANのスーパーアプリ Grab と手を組んだ!
 その両社にソフトバンクが巨額出資。
・Grab の競合である Go-Jek は、インドネシアのオンライン医療企業
 資本業務提携。ユーザー数が年2500%(二千五百)の急成長
Grab派 vs Go-Jek派の対決が、インドネシア医療業界の注目トピックに!

結論:
・インドネシアの医療業界は、アセアン、そして日本の未来になるかも。
・日本人も、もっと東南アジアに注目してほしい!!


それでは、具体的に話を進めていきましょう!

インドネシアの医療スタートアップ、巨額の資金調達

先週3月4日、インドネシアの医療スタートアップについて驚きのニュースが発表されました。

インドネシアではすでにオンライン医療(遠隔医療相談・医薬品配送など)を提供するスタートアップは数社いますが、そのうちの1社「halodoc」が約72億円の資金調達を行ったという記事です。

72億円!!
インドネシアの医療スタートアップとしては、私が知る限り過去最高額の調達。日本の事例と比較しても大きな金額となります。しかも設立からまだ3年そこそこで。。

まだ若いスタートアップとはいえ、halodoc はすでに多くのユーザーを抱える医療サービスとなっています。

▶ halodoc(ハロドック)の概要  ◀

(画像: Halodoc ホームページより)

<会社概要>
・2016年創業/本社所在地 ジャカルタ(インドネシア首都)
・CEO:Jonathan Sudharta 氏(インドネシア出身、1981年生)
・累計調達額:78M 米ドル(投資家:UOB Venture, Korea Investment Partners, Openspace Ventures, Go-Jek, Clermont Group など計9社)
*参考:Crunch Base 

<事業内容>

・O2O ヘルスケアサービスを提供(O2O:online to offline)
 ・オンライン医療相談、病院検索など
 ・医薬品の配送(処方箋を受付し自宅まで1時間以内に配送)
提携数:医師 2万名、医療機関 1400、薬局 1300
月間ユーザー数:200万人超(この1年で 2500%の増加)
*参考:SankeiBizなど

インドネシア首都のジャカルタでは、ものすごい大渋滞の影響もあり、クリニックに行くことや薬局に薬を受け取りに行くだけで何時間もかかることがあります。医療機関の数も足りないので、良い病院には人が集まり受付待ちも長いですし、そもそもジャカルタ郊外/たくさんの島々の住民は良い病院にアクセスするのもすごく大変

halodocのようなオンライン医療サービスは、インドネシアにおいて非常に必要とされているサービスだと思います。

halodoc と Go-Jek の提携関係

ちなみに halodocは、インドネシア初のユニコーン企業「Go-Jek」と提携

Go-Jek はバイク・タクシー配車、EC、決済、家事代行、など様々なサービスをインドネシア国内で多角展開しています。(参考記事:「インドネシアのユニコーン企業GO JEKとは? 事業内容や資金調達についてまとめてみた」

halodocは2016年に Go-Jek からの出資も受けており、医薬品の配送なども Go-Jek のプラットフォームを使って行っています。(初期は「Go-Med」というGo-Jekサービスの1つでしたが、2017年に halodoc に移行しました。)

迫る巨大プレイヤー Grab、そのバックにはあの日本企業

一方、halodoc のニュースからたった2日後、今度は「Grab」が資金調達を発表!その金額は 1630億円以上!!

「なんで医療の話をしているのに、いきなりGrab??」
と思われる人も多いかもしれません。しかし実は、この Grab こそがhalodocの最大のライバルになりうるのです!!

Grab も、インドネシアを始めとするアセアン全域でタクシー配車サービスなどを提供しており、昨年には Uber のアセアン部門を買収しました。
最近は日本でも良くGrabのニュースで見かけるようになりましたね。(トヨタが1100億円の出資をした、などなど。)

この Grab はアセアン地域における「スーパーアプリ」になること目指しています。もともとはタクシー配車アプリとして拡大したGrabですが、今は同じアプリの中で「フードデリバリー」「決済(ペイメント)」「エンタメ」などのサービスも展開しています。Go-Jek ともかなり似ていますね。

そしてそんな Grab が、昨年8月、医療業界に参入することを発表しました!

しかも!!
そのパートナーとして中国の「平安好医生」とのジョイント・ベンチャー設立!!!(持株はGrab:平安=30:70で、平安サイドが大株主。)

ん、平安?
なんだそれは?

という方のために、平安グループについて簡単にご紹介。

▶ 平安好医生(Ping An Good Doctor / ピンアン)の概要  ◀

(画像:  平安好医生ホームページより)

<会社概要>
・2014年創業/本社所在地 深セン(中国)
大手保険金融グループ「平安保険」の子会社
・累計調達額:900M 米ドル(投資家:平安保険・Softbank)
2018年、香港証券取引所に上場(時価総額 約1200億円)
*参考:Crunch Base 

 <事業内容>
・O2O ヘルスケアサービスを提供(O2O:online to offline)
 ・オンライン医療相談、病院検索、検査予約など
 ・医療健康メディア/EC
医師フルタイム雇用数 1000名/提携:医療機関 2000、検査施設 300
合計ユーザー数:2億3000万人以上
1日の診断数:53万件(月間想定 1590万件)
*参考:カタパルトスープレックスGloTechTrends、など

創業からたった4年で、時価総額1200億円で上場。
医療健康メディア・ECも組み合わせて急激な成長をとげ、膨大なビッグデータを活用した 問診AI の開発などにも力を入れています。

最近は、薬も自販機で買える無人AI クリニック「ワンミニッツクリニック」を1000店舗開設するというニュースが話題になりました。

(画像:HUFFPOST 記事より)

親会社の平安保険は、中国最大規模の保険会社で、特に顧客サービスを強みとしています。上記の通り医療業界にも参入し、平安好医生は中国トップクラスのオンライン医療サービスとなりました。

この平安グループが中国で築き上げたノウハウ・システム・ビッグデータを使って、平安&Grab はインドネシア国内でオンライン医療サービスなどを展開していきます。

今回の Grab の調達資金 1630億円についても、重点分野の1つに「デジタルヘルス」が挙げられており、オンライン医療サービスにどんどん踏み込んでいくことが想定されます。

そして平安&Grabオンライン医療サービス展開の鍵をにぎる会社の1つが、ソフトバンクになるのではないかと考えています。

ソフトバンクのインドネシア投資

ソフトバンクはこれまでも、インドネシアでスタートアップ投資を行ってきました。例えば、

Tokopedia:EC@インドネシア、アリババと約1228億円の協調投資
Alodokter:オンライン医療@インドネシア、約10億円投資
Moka:モバイルPOS@インドネシア、投資額不明
Tokopediaは Softbank Vision Fund、残りはSoftbank Ventures Asiaが出資。

そして今回の、Grab への追加投資。もちろん医療のみにフォーカスしたものではありませんが、先に述べたとおり重点領域に「デジタルヘルス」が含まれています。

個人的な予想(むしろ憶測レベル)ですが、昨年の「Grab による Uber アセアン部門の買収」も、両社の株主であるソフトバンクが調整に動いたのではないかと思っています。(ソフトバンクが、タクシー配車の勢力図を世界地図を見ながら決めているんじゃないか、なんて。。)

Grab・平安好医生の両方の株主でもあるソフトバンクの動き、特にアジア地域「外」での医療分野への投資動向などはぜひ追っていきたいと思います。

Go-Jek派 vs Grab派、 2大勢力による覇権争い

これからのインドネシアの医療業界では、
 ・Go-Jek & halodoc 派
 ・Grab & 平安好医生 派
の2大勢力による覇権争いが起きていくのではないかと思います。

どちらもオンライン医療にはとどまらず、オフラインの医療機関・医療サービスを巻き込んだ新たな医療提供システムの構築に動いています。政府との規制・法制度の整備にも積極的で、多額の資金をもとにさらにサービス展開を加速していくのではないでしょうか。

このそれぞれの派閥、そしてその関係性を図解すると、このようなイメージになります。

インドネシア医療業界の対立構図
(筆者作成)

インドネシア国内のローカライズに強みをもつ Go-Jek 派、

アセアンに一気に事業展開して面で市場をおさえる Grab 派、

その対決はこれから激化していくことでしょう!

どうなる、これからのインドネシア医療業界!?

人々のニーズとして、オンライン医療が求められているのは確か。
しかし、まだまだ法規制、医療情報、慣習などの課題は多く、普及には時間がかかっています。

Go-Jek や Grab などの巨大プレイヤーが、新たな市場とルールを作り、インドネシア・アセアンにおいて人々に求められる医療の仕組みを作っていくと思います。

この2大勢力の争いに集約していくのか、もしくは新たな第3勢力が出てくるのか。。Grab / Go-Jek へのバイアウト(売却)を目標とする企業も増えそうですね。

インドネシアの動向は、他のアセアン諸国も注目しています。
今のインドネシアが、数年後の自国の状況を表す可能性が高いからです。

そして一方、先進国・日本といえど、部分的には東南アジアに遅れているところは色々あります。オンライン医療の普及についてもそうだと思います。
もしかすると、インドネシアでこれから起こることは、日本の未来になるかもしれません。

日本人の中にも、インドネシア・アセアンの動きに注目する人がもっと増えればな!と願っています。(この note を書いている動機の1つです。)

日本のオンライン医療は?

最後に、日本でのオンライン医療サービスがどうなっているのか、について簡単に触れます。

日本では、いわゆる遠隔診療についての規制・ガイドラインが厳しく、徐々にその規制緩和や新たなガイドラインの制定が進んでいる状況です。それに合わせて遠隔診療サービス(ここではあえてオンライン医療ではなく遠隔診療と書きます。)を提供する企業も徐々に増えていますが、医師向けシステムを提供する企業、診療科を絞って医療「相談」としている企業など、やはり規制動向に合わせた企業が多い印象です。

(参考:日本のデジタルヘルス・スタートアップのカオスマップ )
(Save Medical社・淺野正太郎さんが作成)

そんな中、今年の 1月4日(医師の日)に「LINEヘルスケア」が誕生しました。みんなご存知「LINE」と医療IT業界のジャイアント「エムスリー」によるジョイント・ベンチャー。7800万人のユーザーを持つLINEのプラットフォームを活用し、どのような医療サービスを提供していくのか楽しみです。

⇒このあたりの詳細は、「アジヘルさん」こと田中大地さんの記事が非常に参考になります!

これから日本でもオンライン医療が普及してきますように!


最後に:

これまでの方法では医療が届かなかった人たちに、よりよい医療を届けられるようなサービスが正しく普及していくと良いですね!!

書きたいネタはまだまだあるのですが、すっごく長くなってしまいますので今日はこのへんで。(実際、書いたあとで削除したネタがちらほら。泣)
最後まで読んでいただきありがとうございました!!

これから色々と発信していきます。お楽しみにー!!


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ではまた!

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※ 本記事は、公開情報・各種記事をもとに、考察を交えながら書いています。一部事実と異なる可能性のある考察が含まれている場合がありますことご了承ください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます! より良い記事をお届けできるよう日々情報アップデートしていきます。