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春の終わり、夏の始まり 7

美咲の裏切りが発覚してから、2週間が経った。
新たな年が明けたが、美咲が自宅に戻ってくることはなかった。
彼女が友人宅に身を寄せていることはわかっていたが、唯史は自分から連絡を取ろうとは思わなかった。
また、美咲からの連絡も途絶えていた。

仕事始めで、久しぶりに出社した日の夜。
相変わらず唯史は、リビングの静けさの中で深い悲しみに暮れていた。
部屋の中は冷え切っており、唯史の心もまた、凍り付いているかのようであった。
冬の風が窓を叩く音が、さらに悲しみを増幅させる。

ふと壁を見ると、新婚旅行の時に撮った写真が飾られている。
写真の中の美咲は、かつて唯史が憧れた大輪の花のような笑顔を見せている。
だが今、その笑顔は唯史の心を痛めつけるだけだった。
今はもう、写真の中の美咲が遠くに感じられる。

唯史は、壁に掛けられた写真を取り外し、テーブルに伏せた。その手は震えている。
美咲が部屋を出てから2週間。
唯史は深く苦しんだ末に、もはや美咲との婚姻関係を続けることは自分にとっても、おそらく美咲にとっても良いことではない、との結論に達していた。
その心は愛情と裏切りによる大きな裂け目ができており、その痛みは時が経つにつれて強まる一方であった。

窓の外を見ながら、美咲との多くの記憶を思い返した。
幸せだった日々も、悲しい現実も、すべてが唯史の心の中で渦巻いている。
しかし、美咲の行動によってすべてが変わってしまった今、自分に残された道はひとつしかないという、厳しい現実に直面していた。

ソファに座り直し、頭を抱える。
涙が頬を伝い落ちるのを感じながら、唯史は自分の感情を整理しようとした。
美咲との結婚生活を続けることはもはや不可能であるという心の決断は、唯史にとって苦痛であり、同時にある種の解放でもあった。

夜が更けていく中、唯史は離婚を決意した。

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