『無題』

最初は信号待ちから
横断歩道の白だけ渡って

ぼくはやら暇つぶしだの
時間稼ぎだのを考えて

マンホールをみつけて
ジャンプして

数少ない街灯に
当てられないよう
手をかざして

考えてるふりして
赤信号を待って

くびをかしげて
頭かきむしって

下手なスキップと
しゃべりたくても
しゃべれないくちを
つむってがまんして


あったかいところへ
足を運ぶよ

ぼくは道のりひとり

今日約束した場所へ
足を運ぶよ

また今日も違う日常で
僕はそう決めて
時間もそう動いて

僕の目の前からとおりすぎる
たくさんの人から
見られてる気がしても
そうじゃないって振り払う

道行く人々ばらばらに
何を考えてるのかもわからない

僕は誰でもない時間で
みんなもだれでもなんでもない

こんな時間だから
見えなくても探して真上へ真上へ
背を伸ばし
輝く方へ輝く方へ真上へ真上へ

下手なスキップ
くびをかしげて
コーヒーもらって
愛想笑い

そんなことがあったなと
何年後には、
こんどは、
思い出し笑いとして
また思い出す為に
勇気も恥も
共有してみるよ



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