ホステル留守番日記1

2024年3月30日㈯ 1日目
 今日から1週間弱、ニュージーランド南島の片隅にある旅人宿の留守番を任されたので日記をつけたい。今日はイースター連休真っ只中。土曜日なので朝から街中にある市場に出かける。いつものミャンマー系の人たちが営む八百屋さんでこれから4-5日分くらいの野菜を買う。1年以上前からこの店で継続的に買っているけれど、なぜか彼らは僕のことを「同志」と呼んでくる。笑 この街の土曜市はとても盛んで、エスニック料理の屋台、八百屋さん、コーヒースタンド、民芸品屋さんが街のど真ん中の駐車場で所狭しと出店している。朝も10時を過ぎると人々で増えてだいぶ賑わってくる。家族、カップル、友だち同士、旅人、色々な人がそれぞれに違う目的で1つの場所に集まっているこの感じが好きで、僕はこの街からなかなか離れられない。
 11時半くらいにこれから旅に出るベルギーのおっちゃん(僕と一緒に宿のお手伝いをしている)を見送り、掃除に取り掛かる。今日は連泊のお客さんが多く、ベッドメイキングはツインルームだけなので比較的楽だ。シーツや枕カバーを取り、洗濯機にかける。その間に掃除機をかけ、トイレやキッチンを掃除する。キッチンにおいてあるラジオでは80年代や90年代のイギリスやアメリカの曲が流れている。このどこか懐かしい感じが、このオールドファッションな感じの宿ととてもマッチしている。
 洗濯したシーツや枕カバーも1時間ほど外に干せば乾く。この街はニュージーランドの中では1-2を争うほど年間日照時間が長い。すでに昨日から泊っているゲスト夫婦がお昼ご飯の準備に取り掛かっている中、ツインルームのベッドメイキングをする。今日は昼間でも少し肌寒いけど、相変わらず良い気候だ。まだしばらくは昼間なら半袖でいられそうだ。結局1時半過ぎにはベッドメイキングも終わり、今日のお客さんを迎える準備が整う。そろそろお昼ご飯にしよう。

 夜8時になった。夏は9時を過ぎても明るいのだけど、最近は8時前にはすっかり暗くなってしまう。間もなくサマータイムも終わるので、日没は6時台になりそうだ。少しずつ秋から冬のニュージーランドが顔をのぞかしつつある。今日はあの後早い時間帯に南米から来た2人組のゲスト(結局1人は欧州からだったことが後で判明した)がチェックインして、その後は暫くゆったりと庭でキーボードを弾いていた。ニュージーランドに来てから20年以上ぶりにピアノを始めてすっかりハマり、自分のキーボードを買ったのも1年4カ月前の話だ。もう暫くしたらニュージーランドを離れるので、このキーボードも売りに出すのかと思うと、なかなか名残惜しい。
 なんやかんやしている間に夕方になりキッチンへ行ってみると、ゲストの1人がアップルマフィンを作っていた。すすめられるがままに1ついただく。甘さが控えめでとても美味しい。北半球にあるこのゲストの故郷ではイースターの時期にブルーベリー入れたマフィンを作るのだけど、南半球にあるニュージーランドでは季節が逆になるのでアップルを入れることにしたのだそうだ。
 さてようやくキッチンが静かになってきたので、僕も夕ご飯としようか。今日は昨日生地を作った野菜ハンバーグを焼く。20-30代のゲストは外に出かけていて、もう少し年配の方々は宿でリラックスしている。この宿はバックパッカー向けだけど比較的年齢層が高い。この国のバックパッカーのボリューム層であろう20代はそこまで多くはなくて、30代、40代、50代、60代以上のゲストもかなり多い。そんな客層が作り出す、ゆったりとした空気感がとても大好きだ。

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