「プライベートより仕事優先」は組織にとってもリスク

 ヨーロッパの企業を訪ねていて日本との違いで印象的なのは、仕事より私的なスケジュールを優先することだ。たとえば誕生日のパーティがあるとか、家族旅行をするといえば会議の出席やミーティングなどは免れる。

 一方、日本では仕事を優先するのが当たり前であり、私的な都合を持ちだすことはできない(最近、少しは変わってきたが)。

 この「仕事優先」は個人の満足度やモチベーションを下げるだけでなく、組織や周囲の人々にもしばしば悪影響を及ぼす。「プライベートより仕事優先」という風土のもとでは、どうしても休みたい場合、仮病を使ったり、仕事をねじ曲げたりすることがあるからだ。

 たとえば当日になってから「体調を崩した」といって休む。あるいは休みたい日に会議やミーティングが予定されている場合、いろいろな理由をつけて会議やミーティングを別の日に変えようとするかもしれない。つまり本人が休めばそれだけですむのに、他人や組織が巻き添えになるわけである。

 「私」より「公」を優先する風土のもとでは、「公」を装って「私」をとおそうとする。そのリスクを考えたら、「プライベート優先」は組織にとってもけっしてマイナスではない。

「個人」の視点から組織、社会などについて感じたことを記しています。