マガジンのカバー画像

【気まぐれ駄文】

4
運営しているクリエイター

記事一覧

くだらない

言葉は、せまくるしい。 言葉は、あやふや。 言葉は、せつない。 言葉は、  伝えない。 でも、 僕の気持ちを表すのは、言葉であってほしい。 わがままだけど、言葉がいい。 それは、 なんでもいい。 たぶん、 なんでもいいほうがいい。 なんでもいい、 くだらないことだけが、僕の心の真実。 うた、詩、短歌、文学。 くだらなければ、くだらない程いい。 社会からは無駄だと、 鼻で笑われるくらいがいい。 僕は言葉に、正直でいたい。

戊熊夢物語

ダムの底のような空夜に乾いた音がした。 トん、 戸がわすがにゆれ、春のしめりが板の間を這うように滑り込む。 クマははっと息を呑み、気づかれないように身を起こす。 遣いを頼んだ覚えはない。 昨夜送った手紙の返信だろうか。 「なんの御用で」 戸の向こうに届く程の声で尋ねるが、返答が暗闇の中から現れる様子はない。 1分ほどの静寂が6畳の、一人暮らしのオスが住むには決して満足とは言えない貸し小屋に張り詰める。 恐る恐る近づくと、クマは鉋を引くように慎重に戸を開いた。

ふーん

「あなたの人生には価値があります」 そのnoteによると、僕の人生には価値があるらしい。 「記事にして売ることだってできます。あなたも是非、自分のことを有料記事にして販売してみてください✨」 ふーん。 価値があるから、知りたいという人がいて記事が売れるってことか。 じゃあ仮に、誰かが人生の記事を書いたとして、それが一遍たりとも売れなかったら、逆説的にその人の人生は一遍の価値もないということになってしまうのだろうか。 部活をドロップアウトし、友達と遊び、ゲームにほうけ

とぅーとぅるりー

「H君(僕の弟で重度障害者)が目の前にいるのに優先席に座ったままの中年がいたの」 少し熱っぽい感じで母が話す。 重度の知的障害を持つ僕の弟は慶應大学病院の小児学科に通っており、昨日はその定期検診だった。 「気付いてるのに譲らないのってあり得ないよね。だいたい元から座らなければいいのに。優先席ってH君みたいな人の為にあるものでしょ?」 「まあ、たしかにそうかもね」 僕はいつものように曖昧な言葉で返す。 「倫理的に考えておかしいと思わないのかね。私だったら絶対に心痛く

たった一つの真実

弟が、友達と喧嘩して家でグチグチ。 「思っている事は理解されて伝わる」 子供の純粋さが、眩しい。 でも残念ながら伝わることはない。 人間はそんな術を持ち合わせてない。 自分の形でさえ、分からないし。 宙に放った言葉は、独り言になるし。 悲しいけどさ、諦めるてるよ。