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JUST DO IT.

高校を卒業してから、めっきり運動をしてこなかった。大学では遊び呆けて、社会人になっても忙しさにかまけて体を動かすことがめっきり減ってしまった。
せめて、趣味レベルでもいいから何かしら運動をしようと思って、会社の同期で集まって、定期的に区民体育館でバドミントンをするようになった。といってもバドミントンの経験は少ないから、当然スポーツと呼べる代物にはならず、下手の横好きがエンジョイしながらシャトルを追いかけるレベルのそれだ。とはいえ、やるからには本気で、ルールを守りながら全力で楽しもうと、月一の時間は、あの頃のメリハリを大事に、本気で取り組むようになっていっていった。

体育会系出身が多い同期で、下手なりに全力でシャトルを追いかけるのは純粋に楽しかった。


最初は、言い出しっぺのお調子者が集めた3、4人で始めた会だったが、回を追うごとに人も集まってきて、時には10人近くでリーグ戦のようなものを組んで遊ぶようになっていった。
ただ、そうなってくると、集まれるメンバーもまばらになってきたり、ドタキャンも増えてきて、体育会の礼節を気にするメンバーの中で、一丁前に空気が悪くなる時とかも出てきたりした。


ある会では、その日初めて参加する、バドミントン経験者の同期内カップル2人が、集合時間直前になって「ごめん少し遅れるー」と気だるそうな連絡をよこしてきた。
まあ、しょうがないなーとは思いながら、先に集まっていたメンバーで念入りに準備体操をして、ゆるりとラリーを始めていた。
今日は集まりが悪目なので、僕と、言い出しっぺと、女子もう1人しかオンタイムに来ておらず、3人で、ゆるーりとやるラリーは、体育館の他の人々からはちょっと浮いてる感じ。ひたすら自分のコートに飛んでくるシャトルを追いかけて、遠くに弾き返したり、空ぶったり、明らかにレベルは低いやり取りなので、ちょっとした居心地の悪さを感じながら素人の独自ルールでエンジョイしていた。

そんなこんなで一時間ほど経ったが、遅刻カップルからの連絡は一向にこない。居心地の悪さは時間に増して高まっていた。
コートの数にも限りがあるので、1グループの占有時間は2時間半と決まっていた。その半分が過ぎようとしていた。「彼らは何をやってるのかね…」とイライラしているところ、またLINEで「今ウェアを買ってるところー」と連絡が来た。正直「買ってから来いよ…」と怒りも中々のレベルまできてたのだが、言っても仕方ない、彼らの到着を待つことにした。



残り時間は30分。ようやく彼らがやってきた。特に謝ることもなく、僕らの専有コートに走り込んできた。

「早くやろうぜ!」
…残り時間把握してたんかい。。。拍子抜けもいいとこである。。。


彼らはそそくさとジャージを脱ぎ捨て、準備運動もそこそこに、どうやらお揃いで買ったTシャツを身につけてコートインして来た。
彼は水色、彼女はピンクのTシャツ、その真ん中にはデカデカとナイキのスウィッシュロゴ。そしてその下にさらにデカデカとかかれたナイキお決まりの

「JUST DO IT.」


知らん。謝れ、まず。


バドミントンをする機会は自然消滅しましたが、
彼らとは今も仲良くやってます。


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