「人」「行動」「言葉」で、世界は変わる。

先日、「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝ー永遠と自動手記人形ー」という映画を観てきました。

話題の映画なのでご存知の方も多いかと思いますが、とてつもなくざっくりと説明すると、「『愛』を知らなかった少女が『手紙の代筆』を通して『愛』を知る」という物語です。本当にこれはざっくりとした説明なので、気になる方は是非テレビシリーズの1〜3話だけでも観ていただければと思います。エピソード自体は1話完結が多いので雰囲気は掴めるかと(本音を言えばどのエピソードも素晴らしいので是非全部観ていただきたいですが)。

端的に言うと、本作は「『見方を変えるだけで、世界は美しい』ということを教えてくれる映画」だと感じました。

例えば、愛してくれる人、愛せる人がいるということ。

例えば、寄り添ってくれる人が傍にいるということ。

例えば、自分の人生を肯定してくれる人がいるということ。

それを知るだけで、世界がまるで一変する。この世界も捨てたものじゃない、そう思える。

そんなことを改めて気付かせてくれるエピソードが、そこかしこに散りばめられている映画です。ネタバレをしない程度に感想を言うって難しいですね……。

身近なところで例を出すと、仕事において「自分は何のためにこんなことをしているんだろう?」と思うことって結構あると思うんですね。ただ数字を打ち込むだけの事務処理とか、ノルマをこなすためだけにアポイントの電話をひたすらかけ続けるときとか。毎日が同じ繰り返しだと、物事の本質が見えにくくなって「やってらんねー」と投げ出したくなることもあると思います。わたしも事務職時代に100回くらい仕事を投げ出して会社の裏の川に飛び込みたくなったことがあります。なんでこんな必死に請求書の数字をシステムに入れてるんだ……とか、どうしても納期が間に合わなくて客先に頭を下げたときに、客先に「お前の仕事なんてクソほど価値もねえんだよ!」と言われたときとか。思い出して腹が立ってきたのでこのくらいにしておきますが(笑)。

でもそういう仕事も、本質を掘り下げると「何か」につながっているんですよね。わたしは割と「モノ」を手配するような仕事に従事することが多かったというか、突き詰めると現職に至るまで全部そうなんですけど、そういう仕事って華やかな要素は少なくて、どちらかといえばめちゃくちゃ地道です。それでもなんで続けられたかというと、「尊敬できる上司」と「人の笑顔」が「何か」につながっている実感を与えてくれたことが大きかったなーと思います。

わたしは新卒で入社した会社の上司が未だにめちゃくちゃ大好きなんですけど(笑顔が可愛いチャーミングなおじちゃんでした)、その上司はとにかく「人の本質」を見抜いて「良いところを伸ばす」ことにとても秀でている人で。だからこそ管理職のポストに就いていたんだと思うんですが、仕事でちょっとめげても「その人が褒めてくれてちゃんと見てくれてるから頑張ろう」と思えた部分が大きかった気がします。実際、1番長く勤めたのはその会社です。色んな事情があって退職せざるをえなかったんですが、この上司に巡り会えたのは非常に大きい財産だったなあと今でも思います。

逆に本質的なところを見抜くことをせずに自分の利益だけに走る上司はやばいです。そういう上司の下に就くと、もれなく胃腸に穴が開きます(開きました)。個人的にそのような上司と接すると選択肢のないとき◯モをプレイしている気分になります。お、お前この前その日にデート誘って断ってたのに今度はお前がその日を指定してデートのお誘いしてくるんか〜い!みたいなのはと◯メモあるあるだと思うんですが、利益に走る上司もそんな感じですよね。お前この前その資料オッケー出したくせに今日はダメなんか〜い!みたいな。しかもとメ◯は選択肢が出てくるのでまだいいんですけど、リアルって選択肢は自分で作らねばならないので、下手なもの作って選んじゃうと即バッドエンドみたいな……ハハ……。

胃がキリキリしてきたので話を戻します。

「世界の美しさ」に気が付くのは、ひとりではとても難しいことです。では、どうしたら気がつけるか。「(近くにいる)人」と「言葉」と「行動」、この3つが大切なんだと思います。

近くにいる、その人の価値観がどうあるか。

その価値観から生まれた言葉がどんなものなのか。

その言葉をどう体現するのか。

そこがつながったときに、「この世界は捨てたもんじゃないな」と思えるし、自分も周囲にそう思わせられる存在でありたい。それをストーリーと映像美で掛け合わせて見せてくれたのが、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」だったなあ、と思います。

そういう意味では、新海誠監督の「天気の子」もちょっと似たものを感じます。「晴れ」という事象って、なんとなく世界全体を肯定している気分になるんですけど、その「晴れ」の力を失ったヒロインすら肯定して「大丈夫」と言い切るヒーロー、みたいなところが。「天気の子」のストーリー自体は所謂「セカイ系」の図式ではあると思うんですが、ただ(所謂「セカイ系」と定義されている物語の)「その人がいてくれさえすればいい」みたいな世界観とはまた少し違う部分もあるように個人的には感じてます。あくまで個人の感想なんですけど。同じ意味では同じく新海誠監督の「言の葉の庭」の「私、あの場所であなたに救われてたの」という雪野さんのセリフもそんな感じがします。誰かが後押しをしてくれて、誰かを愛しいと思えて、そこでようやく物事の本質に気が付ける。

「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の、エイミーにとってのヴァイオレット、ベネディクトにとってのテイラー、エイミーとテイラーのような。

「天気の子」の、日菜にとっての帆高のような、帆高にとっての凪くんのような。

「言の葉の庭」の、雪野さんにとってのタカオのような。

そんな存在がひとりひとりにいるのが理想だなあ、と改めて考えさせられました。

それはともかく、本当に京都アニメーションの描写力は凄まじいので、そのためだけに見ても十分価値がある映画だと思います。星空の美しさや木々の美しさ、水面の美しさ……日常にあるひとつひとつも、京都アニメーションの方々が描くとこんなにも美しいんだなと。いろいろなことを考えてエンドロールでは大号泣でした。思えば「氷菓」も景色の描写がとても美しかったですね(わたしのアニメ人生でトップ3に入るくらい好きです)。

長々語りましたが、まとめると

・「人」「言葉」「行動」が世界の美しさを教えてくれる

・とき◯モの難易度激高地雷キャラみたいな上司からは即逃げてください

って感じですかね(端折りすぎ)。

「愛」つながりで次回は「おっさんずラブ」を観たいところです。ちなみにわたしは牧くん過激モンペ勢です。予告からはるたんの煽り度バリバリなんでめちゃくちゃ楽しみだお。

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