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二宮翁夜話 巻之一、第十四節 できることを、しっかりとやる

勉強も兼ねて、二宮翁夜話についての不定期投稿。ニワカのやることなので、読み間違いなどありましたら、ご指摘いただけると助かります。

・最初に

二宮の思想の中心とも言うべき、積小為大の話です。

・抄訳

大事をなそうとするなら、小さなことこそ怠らず勤めなくてはならない。

小人物は、大きなことをやりたがり、目の前の小さなことを怠ける。
できもしないことを求めて、すぐできることをしようとしない。
大事が小事の積み重ねであると知らないためで、結局は大事をなすことができないのである。

広大な田を耕すのは一鍬(くわ)の繰り返しであり、千里の道は一歩ずつ歩いて至る。大きな山も一杯ずつの土の積み重ねである。

小さなことを怠らず行えば、大きなことは必ず成る。
小さなことをバカにするものに、大きなことは決してできないものだ。

・感想

この「大事は小事の積み重ね」は「凡事徹底」の意味と「目標の分割」の意味の両方を含んでいるように思われます。

凡事徹底は、誰でもできることをきちんとしよう、という話。
安全確認や、清掃、点検、挨拶などは、当たり前のことでありながら徹底するのが難しいものです。そんな凡事による少しの差が積み重なって、結局は非凡に至るという話です。

一方の目標の分割は、大きな目標を、実行可能な目標に分割しようというもの。
大きな目標を持っていても、あまりに現在の状況からかけ離れていると、どうやっていいかわからなくて、何もせずに終わってしまうものです。
そこで目標に向かう道筋を細かく分割して、すぐにできそうな大きさにして一歩ずつ進もうという考えです。
高いところに登るのに、階段を作るようなものですね。

二宮尊徳は、十代で両親も田畑も失いました。
家を興そうと考えた彼は、僅かな土地を開墾して人が捨てた苗を植え、収穫を得るところから始めます。そこからの収入でさらに畑を広げ、人に金を貸し、やがては財を大きくして家を再興します。
経歴から見ると、目標の分割のほうが比重が重いかもしれません。

私もとりあえず、できることのリストアップから始めようと、いま決意しました。

・原文

翁曰(いわく)、大事をなさんと欲せば、小さなる事を、怠らず勤むべし、小積りて大となればなり、凡(およそ)小人の常、大なる事を欲して、小さなる事を怠り、出来難き事を憂ひて、 出来易き事を勤めず、夫故(それゆえ)、 終(つい)に大なる事をなす事あたはず、 夫(それ) 大は小の積んで大となる事を知らぬ故なり、 譬(タトヘ)ば 百万石の米と雖(イヘド)も、粒の大なるにあらず、万町の田を耕すも、其(その)業(ワザ)は一鍬づゝの功にあり、千里の道も一歩づゝ歩みて至る、山を作るも一簣(ひトモツコ)の土よりなる事を明かに弁へて、励精(レイセイ)小さなる事を勤めば、 大なる事必(かならず)なるべし、 小さなる事を忽(ユルガセ)にする者、大なる事は必(カナラズ)出来ぬものなり   

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