正中線とはなにか。どう使うか⑥ ~ 細く集中した力でできること

手のひらに、ホウキを立てて遊んだこと、ありますよね。初めてやったひとでも、バランスをとって遊ぶのはそれほど難しくなかったはず。
これ、曲がった棒でやると、勝手に回ったり、思わぬ方向へ傾いたりと、びっくりするほど難しくなります。

・正確に崩すことで、動きを作り出せる

意外かもしれませんが、正中線をもつことの最大のメリットは、
「正確に崩すことができる」
だと思います。

先ほどのホウキの例ですが、少し慣れると手のひらにホウキを立てたまま歩いたり走ったりできるようになります。これから動き出す方向へ正確に傾けることができるからです。

重心が揃っていないと、曲がったホウキのように余分な力が発生してしまい、それを抑え込むために身体を固めて力を使わなくてはなりません。
正確に、動きたい方向へ崩れるには、ブレない軸が必要なのです。

地面からの力、他のものからの力を、中心軸からずらして作用させると、回転運動になります。これも、正確な軸があってこそ、必要な速度、大きさの回転になるのです。

拳や拳足を動かす時の反作用も同様。

・力の線が細くなることの意味

自分自身の中心を意識することで、外に向かって働きかける動きにも、精度が出てくるようです。

個人的な感想ですが、正中線を意識するようになってから、作用させる力のベクトルを、細く意識できるようになりました。

たとえば、合気揚げのような技を使う時、以前は腕全体が押さえられているように感じていました。今は、その力を腕の幅よりもずっと細く感じられて、すれ違うように自分の力を通せるようになりました。

木刀などを振っていても、木刀の重心とベクトルを一致させたり意図的にずらしたりすることで、軽く使うことができます。もっとも、全身を木刀と一致させるのは難しくて、打ち込みの力が漏れる(という感じがする)ことばかりではありますが。

そんなわけで、正中線は無いよりも、あった方がいい。
次回、万人向けかはわかりませんが、正中線を見つけるのに役立ちそうな練習をいくつか紹介したいと思います。



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