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万分の1ではなく1分の1~手術室看護師1年目の感情日記~


今日の手術の患者さんは、いつも指導してくださっている先輩のお母さんだった。

その先輩はすごく熱心に教えてくださって、できそうなことがあれば積極的にやらせてくれる。
厳しい時も怒られる時ももちろんあるけど、しっかり見てくれて育ててくれているなと感じる。

頑張ってそれにこたえよう、見つけようと思わせてくれる。


今日見学についている手術が、その先輩のお母さんの手術だということを知ったとき、

自分の職場に大切な人を任せられるのはすごい

とふと思った。


それは、無意識に自分が働いている環境、携わっている医療チーム、自身が行っている看護に大切な人を安心して任せられる自信がない。信用できていないという気持ちを抱いていた証拠だと思う。


患者さんは皆平等なのに、一人一人が誰かにとっての大切な人なのに

丁寧な看護ができていなかった

先輩がいつも以上に丁寧に、慎重に、愛を持って服を畳んだり
身体を固定したりしている姿を見て、

本当は全員の患者さんに対して、自分の大切な人
だというつもりでかかわらないといけないのに

全然その意識を持てていなかった。

私たち手術室看護師にとっては当たり前でも
患者さんにとっては人生で1回あるかないかの手術なのに

自分は万分の1として捉えてしまっていた。

バイトしていた鮨屋の職人さんが最後の出勤日に教えてくれた言葉

「自分にとっては万分の1
でもお客さんにとっては1分の1」


まさに今日、それが意識できているか試される出来事が起きた。


自分が知っている人、大切な人だから特別扱いにするのではなく、

全ての人に対して1対1でかかわる。


ーーー

いつも私は
見学という立場でもできることは積極的にやろう

という気持ちで服を畳んだり、ガーゼを当てたり、気を利かせて動いているつもりだ。

でもその日、先輩は私に言った。

「この患者さんはね、〇〇さんのお母さんなの。
だからね、
私が全部責任もってやりたいというか。

何かやる時は声をかけてもらってもいい?」

それを言われた時、私はその言葉の裏に隠された

余計なことしないでほしい

というメッセージを受け取り、積極的に動くことは求められていないんだ、
むしろ迷惑。
余計なことはしないようにしよう。

確かに自分がメインの時、同期に手伝われると
仕事を奪われた
自分でやりたいのに…!

と少し嫌だなと思ってしまう時がある。

「自分が責任もってやりたい」

この言葉がすごくかっこいいと思った。


私もそう言えるように、その言葉に見合った看護ができるようになりたい。


その先輩がすることは全て抜け漏れなくとても丁寧だった。

記録用紙を書く字、テープの貼り方、カルテの記入まで。

私はよく、プレッシャーを感じて丁寧さよりもスピードを優先してしまう時があるが、

患者さんのこと、病棟看護師さんのこと、クラークさんや業者の方、この患者さんや手術にかかわるすべての人のことを考えると

たとえスピードが落ちたとしても丁寧さの方が何倍も大事であるし、求められていることなのだと感じる。

視野を広げて、どのように仕事が循環していくのかを想像する。

思いやりや温かさ、責任を持って仕事をする。

その余裕を持てるように、1日でも早く器械出しや外回り看護を身に付けていきたい。





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