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子供の頃の自分に戻って

子供の頃。本当に子供らしい子供だった頃。私は友達とごっこ遊びをよくやっていた。お花屋さんとかお医者さんとかお母さんではなく、魔法使いや神様や透明人間ごっこ。親友の久美子ちゃんと放課後ずっといろんなモノになりきっていた。口調も仕草も変えて思いつくまま物語を展開させていった。互いに何かを強いることなく、時には別々の世界に浸ったりもしていた。

大きくなるにつれてしなければならないことが増え、いろんな知識や常識を身につけ、いつしか人の目が気になり、誰かと比べたり誰かを気にしたりして、自由に動けなくなっていった。

けれどたぶん根底にあるものはずっと同じで、ただ忘れたり無くしたりしてしまうんだと思う。いつか余計なものが自分から取り除かれて、たくさんの傷が癒えて、他人の視線や攻撃や依存にしっかりと境界線を引けるようになったら、ひょっこりと子供の頃の自分が顔を出してくるのではないかなと思う。あの、ただ楽しかっただけの、何の意味もない役にも立たない時間がパワーアップして戻ってくるんだと思う。

私には今、子供の頃の自分が顔を出して話しかけてきている。空想好きな、その世界に入り込んだらなかなか抜け出せないような、何にでもなれる子供の自分が。いつのまにか根拠のない不安を根拠のない自信に変えてくれた。

なんか上手くいく気がするの。
きっと大丈夫よ。
そんなことより遊ぼう!
私、魔法使いね!
私、空を飛べることね!


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