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エンジニアの開発単価の違いによるトラブルの話

ソフトウェアエンジニアの開発単価ってむずかしいですよね。
特定の商品なら、原材料費とか複雑性が発注者にもある程度明瞭になっているので、なんとなくそれが高いか低いかの判断がつきます。(つくような気がします)

しかし、エンジニアは人間なのでスキルが目に見えているわけではありません。提示された単価がどのくらい適正なのかを判断できる材料が明瞭ではないことが多いです。。

開発単価の齟齬によるトラブルは、割とよく起こっていることで今回はそんな話です。(具体的な金額の話をするわけではないので、そういったことを期待している方はすみません)

先日こんなお話を聞きました。

ITにそれほど詳しくない経営者の方がWordPressでHPを作りたいとあるエンジニアに依頼したそうです。
まずは、エンジニアに見積もりを依頼したところ「〇〇万円(あまり覚えてないけど数十万くらい)」との回答があり、経営者の方は、「流石にちょっと高いな。本当にWordPressでHPをつくるだけでそんなに掛かるのか?」と思ったそうです。ですが、色々と慣れない業種であることもあり、その仕事を発注することになりました。
結果として、納品されたものは希望したものには満たない中途半端なものだったようです。さらにそのエンジニアには訳あって追加依頼や修正依頼をできない状態となってしまいとても困っているというお話でした。

経営者の知人からは、「そんな金額は高すぎてありえない」という意見もああったらしく、高い金額に対してのアウトプットに全く納得できていないというのが非常に伝わってきました。

詳しく聞くと開発したエンジニアの人は、ソフトウェアエンジニアではありますが、WordPress開発を普段からやっているわけではなく、割と大きいシステムの開発をしていた人らしいです。今回のWordPress開発は手探りでやっていたということでした。

以上の話はまさに「発注者と依頼者との間で生まれた開発単価の認識齟齬」による話だと思います。

金額商談時には、高すぎるのではないかという話はあったそうなのですが、エンジニアの方が「普段からこのくらいの単価なので」という話をしたそうで、結局その金額で発注に落ち着いたとのことでした。

ではそもそも今回のケースはなぜ「金額感のアンマッチ」が発生したのでしょうか?

僕が考えるに原因の一つに「適正スキルのアンマッチ」があったのではないかと思います。

前述のとおり、今回開発されたエンジニアの方はWordPressの経験者ではありませんでした。
僕自身もWordPress開発経験はないので、適当なことはいえないのですが、一般的に見積もられるWordPressの開発単価は、今回見積もられた金額よりは平均的に安価であるように思います。(単機能のHP開発で100万とかはWordPressだとなかなかないように思います)
一方で、システムプログラミングのエンジニア単価はピンきりで、高い分野は非常に高いです。例えば、最近話題のAIエンジニアなどは年収数千万円の人もゴロゴロいます。これは単純に人月単価にすると100万以上になります。

今回のケースは、この例でいうとAIエンジニアにWordPress開発を依頼したようなものなのかなぁと思いました。
ソフトウェアエンジニアといっても裾野は膨大で、Webアプリケーションを開発する人から、組み込みロボットのソフトを開発する人までそのスキルセットの幅は膨大です。一人の人がすべてのスキルをもっていることはほぼありえないと言っていいと思います。
いくら超優秀のAIエンジニアだったとしても、全く触ったことがないWordPress開発をした場合、普段から慣れている人よりはパフォーマンスは出ないのが当然です。
だからといって、仕事として受注する場合、単価をWordPress開発単価に合わせるのが難しいことも当然理解できます。
今回は、このように各分野の単価相場の違いによるアンマッチが起こした事象なのではないでしょうか。

では、このようなことが起こらないようにするにはどうすればよかったのでしょうか?

エンジニアの僕の立場からすると今回必要だったのは、「エンジニアが自分のスキル分野と依頼されているスキル分野の単価相場の違いについてクライアントに説明する義務」があったと思います。さらにいうと「双方メリットが少ないことを納得してもらった上で仕事を受注しない。」という選択をすべきだったと思っています。

ITのリテラシーがあまりない人にとって、エンジニアスキルセットの違いは決して想像できるものではありません。だからこそエンジニア側が正しく状況を伝える義務があると思います。たとえ自分が開発することが可能であったとしても相手にとってそれが最善ではないのであれば、受注しないことも選択として必要でしょう。

日本のソフトウェアエンジニア業界は、近年ですごく注目され始めて一般的な職業になりました。しかし、その影響でこういった理解のギャップから生まれる問題も増えているのかなと、個人的には非常に学びがあったお話でした。

ソフトウェアエンジニアの世界はオープンであることが美徳の一つだと僕は考えています。自分たちが一番パフォーマンスを発揮できる環境でいいものを作るために、こういった違いもオープンにする努力をしていかなければいけないなぁと思っています。

以上、拙い文章ですが、読んでいただきありがとうございます。


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