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販売を意識して見えてきたこと ハンドメイドの価格と制作の効率化

こんにちは。HAKUです。

現在制作中の二つ折り財布は、ご要望があれば制作したものの販売を考えています。そのため、試作をしながら「いくらで販売するか?」という点についてもアレコレ考えています。(いいから、はよ型紙FIXさせろ)

いやぁ、価格設定って難しいですね。

今日はそんな悩ましいハンドメイドの価格設定問題から思ったことを書いてみたいと思います。

「原価の3倍」は本当か?

よくハンドメイド界隈のノウハウを読むと「価格は原価の3倍程度に設定しましょう」と解説しているのをよく目にします。

最初にこの記述を見たときは「原価=原材料費」を指しているのだと思っていました。ですが、よくよく解説を見てみるとそうではなさそう。

解説する方によってばらつきはありますが、「原価」の中には原材料費だけでなく、梱包発送費、販売サイトへの支払い手数料、そして自身の制作費用(人件費)といった一連の経費も含むものが多いようです。

試しにこの「公式」に沿って原材料費・諸経費の合計を3倍してみると、私のこの二つ折り財布は8万円くらい…自分で言っちゃうけど…誰が買うねん!って話です。

たぶんですが、この「原価の3倍の公式」は比較的制作時間が短く済むもの、一個あたりの人件費が安く済むケースに当てはまるものなんじゃないかという気がします。

仮に時給5,000円と高単価を設定したとしても、1時間で5個作れるものであれば原価に含む人件費は1個あたり1,000円で済みます。

一方、時給を控えめに1,000円に設定したとしても、ひとつのアイテムを制作するのに10時間必要であれば人件費は1万円。

制作の所要時間によって金額も考え方も変わってきそうですよね。

革小物も色々とありますが、1時間のうちに複数個制作できるようなものは稀でしょう。特に私のように手断ち、手漉き、手縫いでコバ仕上げにもそれなりに時間をかけるような作り方をしていたらまず無理です。

なので、私の場合はこの「原価の3倍の公式」はいったん忘れて、自分なりに価格を設定することにしました。

具体的な設定方法・考え方についてはここでは触れないようにしておきます。まだ実際に販売を開始した訳ではなく、実体験の伴わない机上の空論ですからね。

きちんと経験を積んだ上でお話できるようになれたらいいなぁと思います。

「肝心なところを端折りやがって!」という方は、代わりと言っては何ですがittenさんのこちらの動画が参考になると思います。

制作も効率を意識しなければ

このように販売をするとなると価格に大きく影響するのが制作時間。

これまで私は純粋に趣味としてレザークラフトを楽しんできました。コスト(時間・原材料費)なんていくら掛けてもOKというかなり贅沢な状況だった訳です。

ところが、販売することを意識し始めるとそれではマズイ。時間をかければかけるほど制作コストが上がりますから、最終的にそれを価格に反映せざるを得なくなってしまいます。

それがお客様にとって価格妥当性がある範囲に収まっていれば良いですが、これまで趣味でやっていたのと同じように作業していては難しい気がします。

だからといって自分の人件費を安く見積もってしまうと、労基に刺されないまでも制作・販売活動を維持継続するモチベーションを保ちにくくなってしまいます。

価格妥当性を維持しつつ、自身が納得できる収益を確保する。なかなか難しい問題ですが、それを実現するためにはやはり制作の効率化も考えなければいけないな、と感じました。

効率化もメリハリ

ただ、効率化と言ってもここでもバランス感覚を意識したいところ。

例えば、今回のお財布制作も極端に効率偏重で考えてしまうとこんな感じになってしまいます。

手縫いは時間がかかるから、縫製箇所をなるべく減らしてカシメで代用してしまおう。

段差やアタリがでて、コバも分厚くなっちゃうかもしれないけど、漉きを入れなくてもひとまず形になるんだから漉き工程ごと省略しちゃえ。

ここは芯材を入れたいけれど、芯を使ったら裏貼りも必要になるな。工程も増えるし材料代も嵩む。全部1枚革の仕様でいいや。

コバも、とりあえず毛羽立ちが抑えられていてツヤが出ていればいいだろうからサクッと済ませちゃえ。

こんな考えで制作をすれば確かに製作効率は爆上がりします。利益率も上がってウハウハ。革製品についてあまり詳しくない方であればパッと見て気に入ってくれたら購入してくれるかもしれません。

でも、それはもはや「HAKUの作品」とは言えない気がします。きっと販売をして売れたとしても、達成感よりも後ろめたさを感じてしまいそうです。

いかにして「クオリティ」や「自分らしさ」と「効率」を両立させるか?言い換えると「理想と現実」のどこに落とし所を見つけるか?

とても難しいですが、プロの方はそれを様々な工夫を駆使して両立させています。やはり販売をするとなると避けられない問題ですね。

こちらは「クオリティ」と「効率」という面からATSUSHI YAMAMOTOさんの製品を私なりに分析した記事。ここでのテーマと通じるものなので、お時間があればぜひこちらもお楽しみください。

できることからコツコツと

効率化を図るといっても、いきなり革漉き機やミシン、抜き型、プレス機を導入するのは簡単ではありません。漉き機やミシンだって、導入すれば即・実践投入できるという訳ではないでしょう。

今はまず、できることからと思い制作と同時にいろいろな治具を試しています。

こちらはその一つ。切り出したパーツを挟むことで芯材を簡単に正しい位置に貼り付けられる治具です。

型紙を作る厚紙で作成すればカンタン

芯材を貼り込む際に必要なマーキング、位置調整の手間を省き効率化を図ることができます。

くり抜き部分に合わせれば狙った位置に芯材を貼り付けられます。

私は自分自身で手が遅いことは自覚しています。趣味のうちは良いですが、販売するとなると何かしら対策をしなければ、と思います。

自分のスキルが低く仕事が遅いのに、何の工夫も努力もせず「ハンドメイドだから」と長時間かかった作業分をそのまま価格に上乗せするのはちょっと違うのかな、と思うからです。

サラリーマンの世界で言えば、のんびりとダラダラ仕事をして当たり前のように残業代を請求するようなもの。手取りは増えるかもしれませんが、「能力・生産性が低いヤツ」と評されてしまうでしょう。

そうならないように、こうやって一つ一つできるところから制作の効率化を考えていこうと思っています。

いやー、販売って難しそうだな…。









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