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ビルの屋上に止まったカラス

ビルの屋上に止まったカラス。

見上げるほどの高いビルの縁で
遠くを眺めている。

僕はそのカラスを見上げながら、
思う。

カラスには空の広さは、

自由に走り回る
夜の道路と同じ場所だ。

高ければ高いほど、
広ければ広いほど、
道路を自由に走り回れる。

右に、左に、上に、下に。

カラスの邪魔をするものは、
この空には何物もいない。

広げた羽は、大きな手のよう。

そして、自由に、泳ぐように、
優雅に空を舞う。

ビルの屋上から飛び立つカラスに、
なんの躊躇も感じられない。

地べたを歩く僕は、
歩くことに恐怖は感じない。

ビルを飛び立つカラスは、
飛ぶことに恐怖はないのか。

1つ手順を間違えば、
真っ逆さまに落ちるのに。

足場を蹴り、羽を広げ、風を捉えないと、
空は飛べない。

飛ぶたびに、
彼らは覚悟をしているのだろう。

ビルの屋上に止まったカラス。

飛ぶ前に遠くを眺めているのは、
覚悟を決めているのかもしれない。

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